高級ミニバンはいまやミニバン市場でも注目されています。なかでもトヨタ「アルファード」の販売台数は好調を維持していますが、ライバルとなるホンダ「オデッセイ」や日産「エルグランド」が2020年秋にほぼ同時期にマイナーチェンジを実施します。これにより、高級ミニバンの勢力図に変化はあるのでしょうか。

オデッセイ&エルグランドがほぼ同時期にマイナーチェンジでナニが起こる?

 2020年9月1日、ホンダは新型「オデッセイ」のティザーサイトを公開。さらに、同月10日には日産が新型「エルグランド」に関する特設サイトをオープンするなど、相次いで高級ミニバンのマイナーチェンジが実際される予定です。
 
 一方で、高級ミニバンの代名詞といわれるトヨタ「アルファード」は、最近の販売台数ランキングでもコンパクトカーやSUVといったジャンルに負けず、上位にランクインしています。
 
 オデッセイとエルグランドがマイナーチェンジすることで、高級ミニバンの勢力図に変化はあるのでしょうか。

 日本でミニバンは定番化したジャンルで、「エントリー/コンパクト」「ミドル/中級層」「ラージ/高級層」というようなサイズやターゲットの差別化が進み、さまざまなユーザーのニーズに対応するべく、いくつかのタイプを各社がラインナップしている状況です。

 そのなかで、アルファードは高価格帯ながらも、2020年8月販売台数ランキングでは7103台を記録し、登録車のなかで6位にランクイン。

 2020年の販売動向を見ても1月から3月では10位から15位だったのに対し、4月に6位、5月、6月が5位、7月が6位と、コロナ禍でも5000台から7000台と好調を維持し、上半期では3万6597台を記録しています。

 好調な要因としては、2020年1月にスマホ連携やディスプレイ変更、バックガイドモニターを全車種標準装備といった快適機能に関する一部改良が販売台数の増加に繋がっています。

 アルファードの姉妹車である「ヴェルファイア」も、2020年3月には2719台の販売を記録。アルファードには及ばないものの、最近では月間1200台から1700台ほどを売り上げる人気車です。

 また、販売店によると「最近ではアルファード自体が憧れの対象となっていて、一般のお客さまから法人のお客さまなど幅広く支持されています」といい、かつての「いつかはクラウン」から「いつかはアルファード」という現象が起こっていることも、高価格帯なモデルでも売れている要因です。

 一方のオデッセイは、1994年に発売された初代モデルがトヨタ「エスティマ」とともに日本でのミニバンジャンルを確立したとされています。

 その後、前述のようにサイズやターゲットの差別化が図られる形で、ホンダは2004年に高級ミニバンとして「エリシオン」を投入。クルーザーのラウンジをモチーフにデザインされたともいわれる豪華な内装が特徴的で、外観のデザイン、居住性、快適性、走行性能が評価されましたが、2013年に国内販売を終了しました。

 そして、現行モデルとなる5代目ではエリシオンと統合する形で、先代よりも低床化させたほか、歴代オデッセイとして初の両側スライドドアを採用するなど、大幅な進化を遂げて今に至ります。

 2017年11月には、先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」を全タイプで標準装備するとともに、デザインや装備、使い勝手などを向上させたマイナーチェンジを実施。

 とくに、フロントのバンパー、グリルのデザインを変更し、力強い印象のフロントマスクに仕上げたことが大きな話題となりましたが、大きく販売台数を伸ばすことは出来ていません。

 自販連が毎月発表する販売台数ではトップ50までを公表しており、2020年のオデッセイは、1月43位、2月圏外、3月49位、4月39位、5月45位、6月7月42位、8月47位と、月によってはトップ50ぎりぎりな状況です。

 最近のオデッセイについて、ホンダの販売店は次のように話します。

「最近は同ブランド内でもコンパクトで扱いやすいフリードが人気です。2019年秋にマイナーチェンジしてデザインが刷新されたことや、新グレードとしてクロスターが加わったことで人気を博しています。

 一方、7年目を迎えるオデッセイはデザインや機能の古さなどもあり、販売面では苦しい状況が続いています。

 今回、マイナーチェンジのティザーサイトが公開されたことでいくつかのお問合せを頂いています。これによって、少しでも販売台数が伸びてくれればと思っています」

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 今回のマイナーチェンジでは、外観デザインの変更が施されており、先行公開されたティザーイメージでは、現行では最上級グレードとなる「ハイブリッド アブソルート EX」をお披露目しました。

 機能面では、パワースライドドアにあるセンサーが光っているときにジェスチャー操作をおこなうと、車両に触れずにドアの開閉が可能な「ジェスチャーコントロール・パワースライドドア」を国内モデルのホンダ車で初採用しました。

 また、「予約ロック」では、あらかじめ施錠操作をすることでパワースライドドアなどを閉めた後、自動で施錠する機能がホンダとして初めて搭載されます。

 装備面では、メーター表示がこれまで1眼メーターでしたが、マイナーチェンジ後では見やすい大径2眼メーターに変更しているほか、大画面10インチナビをディーラーオプションで設定するなど、さまざまな部分が刷新されています。

 今回のマイナーチェンジによって、オデッセイ人気が再燃するのか注目です。

10年目のエルグランド。マイナーチェンジでどこまで健闘出来るか

 一方のエルグランドは、1997年にフルモデルチェンジをおこなった2代目モデル(E51型)で「夢とくつろぎと感動を提供できる最高級ミニバン」をコンセプトとし、エルグランドの特徴であるスタイリングや室内空間を実現。この2代目モデルの登場によって現在の高級ミニバンが確立されました。

 その後、2010年に発売された3代目の現行エルグランドは、「ダイナミックでラグジュアリーな真の高級車」として開発。

 エルグランドらしい外観や、高揚感と快適性を追求した室内空間、当時のクラストップレベルの燃費を実現した「キング・オブ・ミニバン」です。

 自販連によると、2020年のエルグランドは、1月から8月時点で1度もトップ50にランクインしていません。最後にランクインしたのは、2019年12月の50位(588台)で、ユーザーからは存続が危ぶまれていました。

 しかし、今回明らかにされた特設Webサイトでは、新しいデザインを採用した「ハイウェイスター」と「ハイウェイスターアーバンクロム」の外観デザインをお披露目しています。

 フロントのデザインは、2019年8月にマイナーチェンジをした同社ミニバン「セレナハイウェイスター」と同様の大型メッキグリルを採用。これまでの水平基調とは違うデザインとなっているほか、新しいボディカラーも設定されました。

 内装は、インパネとシートを一新し、ワイドな広がりを感じられるように水平基調に仕立てたブラックとブラック/ダークブラウンのふたつを用意。

 安全面では、全方位360度に張り巡らされた先進安全装備を設定し、従来モデルよりも安心感が増しています。

 また、10インチに拡大したナビゲーションはディーラーオプションで設定されるほか、地図画面の見やすさや、インテリジェントアラウンドビューモニターの映像も大きく映し出します。

 なお、特設Webサイトでは、新型エルグランドの発売に先駆け、一部の先行情報が公開。さらに、来店予約が可能で、9月14日より予約注文の受付を開始しています。

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 オデッセイとエルグランドはともに高級ミニバンとして、進化し続けているモデルです。その2台がほぼ同時期にマイナーチェンジを実施するということで、販売面では頭ひとつ飛び抜けているアルファードを含めて、高級ミニバン市場が盛り上がることに期待です。