トヨタ「86」やスバル「BRZ」、日産「フェアレディZ」など、現行モデルのスポーツカーにはNAエンジンが搭載されています。そんなNAエンジンの魅力はいったいどこにあるのでしょうか?

NAエンジンの魅力は、自然な吹け上がりとレスポンスの良さ

 トヨタ「86」やスバル「BRZ」、日産「フェアレディZ」やマツダ「ロードスター」など、扱いやすく走りを楽しめる国産FRスポーツカーの現行モデルにはNAエンジンが搭載されています。その魅力は、いったいどこにあるのでしょうか。

 まず、NAエンジンとターボエンジンの違いは、燃料をエンジン内部で燃焼させるための空気の取り込み方法にあります。

 NAはナチュラルアスピレーションの略で、自然吸気。つまり、大気圧のみでシリンダーに空気を送り込み、燃料を燃焼させるのに対し、ターボエンジンは、NAエンジンに排気ガスのエネルギーを利用したターボチャージャー(過給機)を搭載し、ターボの羽根となるタービンを回転させると同時にコンプレッサーを起動させ、吸気を圧縮して強制的により多くの空気をエンジン内部に送り込み、燃料を燃焼させる仕組みです。

 燃料と空気が混ざった大量の混合気をエンジン内に送るということは、排気量をアップさせたことと同じ効果を生むため、同一排気量のNAエンジンにくらべて必然的にパワーアップにつながります。

 そう考えると、ターボエンジンの方がスポーツカーには向いているのではないかと考えられますが、現行でラインナップされている国産FRスポーツカーの魅力は「扱いやすさ」。単純にハイパワーであればいいという訳ではないため、未だにNAエンジンのモデルも存在します。

 また、近年はかなり改善されていますが、ターボエンジンにはターボの回転が上がるまでの「ターボラグ」を感じるものが多く、アクセルを踏み込んだ時の加速のわずかな時差のようなものを、アクセルレスポンスの悪さと感じるドライバーも多くいます。

 それらの理由によりスポーツカーには、高回転までムラなく一気に回すことができ、アクセルに対してレスポンスの良い、刺激的なNAエンジンも好まれるのです。

 一方で、ホンダ「NSX」や日産「GT-R」、トヨタ「スープラ」など、メーカーのフラッグシップを担うスポーツカーには、ターボエンジンが搭載されています。

 さらに2020年9月、12年振りにプロトタイプが公開された新型「フェアレディZ」も、次期型にはV型6気筒ツインターボエンジンが搭載されることが発表されています。

 そういった流れからも、スポーツカーのエンジンは今後、ターボ化が加速すると予想されます。

 その理由は、ターボ技術の発展によるエンジンレスポンスの向上やコストの削減と、高回転のNAエンジンの騒音規制問題が挙げられます。

 しかし、現在主流となっているダウンサイジングターボエンジンも、ターボラグはかなり軽減されているとはいえ、一切無いとはいいきれないのが現状です。

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 かつてホンダ「S2000」に搭載された、最高出力250馬力を8300rpmで発揮する2リッター直列4気筒DOHC VTECエンジンや、トヨタ「セリカ」に搭載された、最高出力190馬力を7600rpmで発揮する1.8リッター直列4気筒DOHCエンジンなどの、高回転NAエンジンが現在のスポーツカーに搭載されなくなった理由の大部分は騒音規制やコストの問題です。

 パワートレインの電動化もそうですが、コストの削減や環境問題に対応するために、心から運転を楽しめるスポーツカーは今後、どんどん減少していくのかもしれません。