日産が海外で展開している高級ブランドのインフィニティ。2020年11月18日に新型クーペSUVとなる「QX55」を世界初公開しました。日本でもお披露目されたこのQX55は日本でも発売する可能性はゼロではないといいます。

美しすぎる「QX55」。日本での発売はあるの?

 2020年11月18日、インフィニティの新型SUV「QX55」が世界に向けてお披露目されました。
 
 このQX55は、「FX50(QX70)」の遺伝子を受け継ぐ、ミッドサイズのクロスオーバーです。どのような経緯で誕生したのでしょうか。

 FX50は2003年に誕生したモデルで、スポーツクーペとプレミアムSUVの融合をテーマに開発されました。

 市場でのライバルはBMW「X5」やポルシェ「カイエン」でしたが、あまりにもスポーティなデザインにしたために、スペースユーティリティを十分に確保できなかったという反省点が日産内にはあったようです。

 2代目モデルを経てバトンを渡されたQX55ですが、そのボディデザインはクーペスタイルをさらにブラッシュアップした美しいものとなりました。

 インフィニティには「Q60」というクーペがラインナップされていますが、そのフォルムに劣らぬ流麗さをたたえています。

 QX55のシニア・デザイン・ダイレクターである中村泰介氏によれば「ボディの長手方向にアクセントラインを集めることで、伸びやかさを表現している」ということでした。

 フロント周りのデザインは、かつて日本でも販売されていた「スカイラインクロスオーバー」の後継となる「QX50」などと共通ですが、さらに押し出し感を強めています。

 日本の折り紙の手法からインスパイヤされたというフロントグリルの形状は、非常に緻密であり、日本的な美を持っています。

 リアビューも兄弟モデルの意匠を受け継ぎながらも、より深いアクセントラインと、デジタルピアノキーと呼ばれているコンビネーションランプのデザインによって、若々しい雰囲気を目指しています。

 美しいボディデザインに目を奪われがちですが、QX55は車内にこそ特徴があり、最大5名が快適にできるようスペースユーティリティを確保し、リアシートは最大38.7センチのレッグスペースを持っています。

 最大と書いたことでも想像が付くと思いますが、リアシートはスライドさせることができ、用途に合わせてリアシートスペースとラゲッジスペースを可変させることができるのです。

 その目的について、前出の中村氏はユーザー層の拡大のためと語ります。

「FXシリーズはスポーティなデザインを意識しすぎて、車内のユーティリティが犠牲になったところがありました。

 QX55ではそれを改善し、スポーティなデザインでありながら、十分なスペースユーティリティも確保しています。

 これはクロスオーバーSUVがダイバシティな価値感を持つべきだという弊社のコンセプトに加えて、生活様式の広い30代の若い層にアピールするためです」

日本発売…「可能性はゼロではない」

 アメリカでは高級ブランドに位置づけられるインフィニティですが、同ブランドのSUVユーザーは当然ながら年齢層が高くなっています。

 そのため日産としては、QX55によって独身の若いユーザー層まで裾野を広げたいという狙いがあるようです。

 スポーティな雰囲気をより高めている20インチホイールや、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応したデュアルスクリーンのインフィニティ・InTouchなどの採用もその顕れといっていいかもしれません。

 QX55は、インフィニティの本社機能が香港から日本に移管してから発売された初のモデルであり、より日本の「おもてなし」という価値感が込められた商品になっています。

 2021年春に北米で発売され、その後、ロシアや中東、アジアで発売される予定となっています。

 ですが、これだけ魅力的なモデルでありながら、日本では販売されないのでしょうか。「その可能性はゼロではない」と、インフィニティ事業本部・商品戦略企画部長のエリック・リゴー氏はいいます。

「それには、まずインフィニティの認知度を上げるという行程が必要です。

 私たちも日本のユーザーに乗ってもらいたいという希望を持っていますが、今はまだそのタイミングではありません。

 ただ、日本で発売される可能性もゼロではありません」

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 日本でのインフィニティチャネルの展開は、多くの日産ファンが長年待ち望んでいることです。

 日産は現在、事業構造改革「Nissan NEXT」を推進中ですが、そのロードマップのなかで、ホームマーケット(日本)の再強化を挙げています。

 近年の日産は、国内向け車種を大幅に削減し、海外マーケットに注力してきました。

 その結果、多くのユーザーの日産離れに繋がりましたが、Nissan NEXTでは、主要マーケットのなかに米国、中国と並んで日本を入れています。

 リゴー氏の言葉を額面通りに受け取るのであれば、今後一定期間の認知活動をおこなった後、インフィニティチャネルが日本で開設される可能性が十分にあるのではないでしょうか。

 このQX55をはじめ、魅力的なインフィニティモデルに気軽に乗れる日が来るのが楽しみです。