扱いやすいボディサイズで手頃な設定のコンパクトカーは、人気の高いカテゴリで、多くの競合車がひしめき合う激戦区です。今回は、コンパクトなサイズながら荷室容量が多い順に、5台のモデルを紹介します。

小さいけれど、いちばん多く荷物を積めるコンパクトカーは?

 日常で取り回しやすいボディサイズや排気量で、お手頃な価格の国産コンパクトカーは、販売台数もカテゴリだけあって、激戦区となっています。

 コンパクトカーは小さなボディで取り回し性能に優れていますが、使い勝手を考えると、荷室の容量も気になるところです。

 そこで今回は、各メーカーを代表する売れ筋コンパクトカーのなかから、荷室容量が多い順にベスト5を紹介します。

1位:ホンダ「フィット」(4代目)

 コンパクトな外観からは想像できないような広い車内空間を持つホンダ「フィット」は、2020年2月にフルモデルチェンジして4代目へと進化しました。

 3代目までのスポーティ路線ではなく、4代目フィットは愛嬌のあるデザインで登場。日々の相棒として最適なモデルだといえます。

 ボディサイズは全長3995mm×全幅1695mm×全高1515mmの5ナンバーサイズですが、SUVテイストの「クロスター」は前後バンパーやオーバーフェンダーなどでボディが拡大して3ナンバーサイズとなります。

 フィットのパワーユニットは、98馬力の1.3リッターガソリンエンジンと、2基のモーターと1.5リッターエンジンを組み合わせたパワーユニット「e:HEV」があり、駆動方式はFFと4WDが選べます。

 e:HEVは、発進時はモーターによるEV走行ですが、状況に応じてガソリンエンジンを発電用にも走行用にも切り替える賢いハイブリッドシステム。

 高速巡行などでは力強いエンジンパワーを活用できるため、気持ちいい走りと高い環境性能を両立しているのがポイントです。

 WLTCモード燃費は、e:HEVモデル(FF)が29.4km/L、1.3ガソリンモデル(FF)が20.4km/Lとなっており、やはりハイブリッドの環境性能の高さが目立ちます。

 居住性に大きく影響する室内高は1260mmもあり、広々とした空間を実現しています。

 インテリアは、速度や各種車両情報を表示するディスプレ―をナビ画面と並列で配置し、ホンダらしいクリーンで分かりやすいレイアウトのデザインで構築。

 5つのグレードに応じて、素材や質感やカラーが違うインテリアが設定されているのも、フィットの魅力です。

 利便性の目安のひとつでもあるラゲッジスペースは、VDA方式で427リットルもの大容量。これはホンダ「CR-V」の499リットルにも迫る広さになっております。

 さらに前席を中心に各部に小物入れなども充実し、長尺物も積めるシートアレンジも可能で、ミニバンのような実用性の高さを誇ります。

2位:日産「ノート」

 日産のコンパクトカーとして人気を誇る「ノート」は、現行型は2012年にデビューした2代目です。

 そろそろフルモデルチェンジの話も聞こえていますが、相変わらず堅調な売れ行きをキープしています。

 2012年の登場当初は、1.2リッター3気筒エンジンと、同エンジンにスーパーチャージャーを組み合わせたパワーユニットが設定されましたが、昨今のノート人気をけん引しているのは、2016年に追加された「e-POWER」です。

 e-POWERは、ガソリンエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドですが、走行するときの動力はモーターのみ、エンジンは発電用に使用するシリーズハイブリッドと呼ばれる方式を採用。電気自動車の「リーフ」で培った技術が応用されました。

 なおJC08モード燃費は、ガソリン車が23.4km/L、スーパーチャージャー車が26.2km/L、e-POWER車が34.0km/Lです。

 ボディサイズは全長4100mm×全幅1695mm×全高1525mmで、ライバル車と比べると少し大きめであることも特徴のひとつですが、小回りが利いて運転しやすいクルマです。

 そして室内高も1255mmと、頭上空間も広く確保しました。

 ラゲッジ容量はVDA方式で約330リットル。開口部も大きく、使いやすいラゲッジスペースを備えています。

 装備面では、フロントワイパーと連動したオートライト機能「インテリジェントオートライトシステム」を装備。

 また、e-POWERモデルでは、アクセルだけでスピードをコントロールできる「ワンペダルドライブ」楽しめます。

3位:マツダ「マツダ2」

 最近の自動車業界では、海外向けのグローバルな車名に統一するのが一種のトレンドになっているようです。

 その流れでマツダは、「デミオ」として長く愛されてきたコンパクトカーを、2019年のマイナーチェンジに合わせて「マツダ2」と名称変更しました。

 
 マツダ2のボディサイズは、全長4065mm×全幅1695mm×全高1500mm。現在のマツダらしい「魂動デザイン」を取り入れたフロントマスクで、上質感のあるモデルです。

 パワーユニットは、1.5リッターガソリンエンジンと、このクラスの国産車で唯一となる1.5リッターディーゼルエンジンをラインナップしました。

 どちらも「SKYACTIVテクノロジー」が採用されており、WLTCモード燃費はガソリンモデル(FF)が19.0km/L、ディーゼルモデルが21.6km/Lと、ハイブリッドでなくても良好な数値となっています。

 また、マツダ2では6速MTが選べるのも、ロードスターでMTの楽しさを継承しているマツダならではのこだわりの部分だといえます。

 ラゲッジ容量は、VDA方式で280リットルと、国産コンパクトカーのなかでは平均点。2014年デビューのデミオベースということも、影響しているのかもしれません。

 それでも、スタイリッシュなデザインを採用し、ディーゼル車も設定されているマツダ2は、個性的なモデルだといえるでしょう。

意外! 一番売れてるモデルが荷室容量では最下位!?

4位:スズキ「スイフト」

 軽自動車のイメージが強いスズキですが、コンパクトカーにおいても秀逸なモデルを作り続けています。

 コンパクトカーというより、「コンパクトハッチ」と呼びたくなるスポーティなイメージなのが「スイフト」です。

 もともとは、「ワゴンRプラス」のプラットフォームに「Kei」のサイドパネルやドアなどを流用したSUV風モデルとして、2000年に初代スイフトが誕生しました。

 当時はあまり注目度が高くなかったのですが、その状況が一変したのは、2005年に発売された2代目からでしょう。

 スズキの世界戦略車として、新設計のプラットフォームを採用。基本性能を底上げし、デザインもSUV風から都会的な洗練されたデザインへと大幅に方向転換しました。

 現行モデルは2016年にフルモデルチェンジした4代目で、洗練されたデザインが特徴です。

 軽量化および高剛性化された新たなプラットフォーム「HEATECT(ハーテクト)」を採用し、ノーマルモデルでも約120kgものダイエットに成功しています。

 スイフトのパワートレインは、1.2リッターエンジンを軸とし、ガソリン車、マイルドハイブリッド車、ハイブリッド車を設定。

 低燃費の「ハイブリッドSZ」はFFのみの設定ですが、ほかのグレードはすべてFFと4WDが選べます。

 WLTCモード燃費は、ガソリン車が21.8km/L、マイルドハイブリッド車が21.0km/L、ハイブリッド車が23.0km/Lです。

 ボディサイズは全長3885mm×全幅1695mm×全高1500mmと、全長は短く全高がやや高いスタイルでクーペのようなフォルムにも見えます。

 残念なのは、この美しいスタイリングと引き換えに実用性が少々犠牲になっていることです。
 後部座席の頭上が狭く感じたり、ラゲッジ容量はVDA方式で約265リットルという狭さ。

 もっともフロントグリルが大型化され、よりスポーティなデザインを優先させた「スイフト」ですので、ある種の割り切りは必要たっだのかもしれません。

5位:トヨタ「ヤリス」

 トヨタは、1970年から1990年代の「スターレット」、2000年から2010年代の「ヴィッツ」など、時代に合わせた魅力的なコンパクトカーを送り出してきました。

 そして今回、新プラットフォーム「GA-Bプラットフォーム」を採用して、2020年2月に登場したのが「ヤリス」です。

 もともとヤリスはヴィッツの海外名だったのですが、今回のモデルチェンジを機に国内でもヤリスという名称に統一されました。

 新型ヤリスは「Bダッシュ」と名付けられたデザインコンセプトを採用し、ヴィッツの少し優しい雰囲気から一変し、スポーティなルックスへと変身を遂げています。

 まるでフランス車のような挑戦的なデザインですが、全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mmというコンパクトなサイズで、日常での取り回し性能は抜群です。

 搭載されるパワーユニットは、1リッターおよび1.5リッター直列3気筒ガソリンエンジンと、1.5リッターガソリン+モーターのハイブリッド。

 しかも、トランスミッションはCVTだけでなく、1.5リッターガソリンには6速MTモデルもラインナップしています。

 WLTCモード燃費は、1リッターガソリンが20.2 km/L、1.5リッターガソリンが21.6km/L、1.5リッターハイブリッドが36.0km/Lと、世界トップレベルの低燃費を実現しているところもヤリスの魅力のひとつです。

 先進の安全装備や、ハイブリッド車にはコンパクトカー初の電子式4WD「E-Four」を採用するなど、さまざまな部分が進化しました。

 全高が1500mmと、意外と背が高いヤリスですが、ラゲッジ容量は、VDA方式で209リットルと、ライバルであるフィットと比較すると半分程度の容量しかありません。

 しかし、必要十分な実用性は確保されており、走りも楽しめるモデルというところがヤリスの魅力だといえるでしょう。

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 国産コンパクトカーは、コンパクトゆえのさまざまな工夫が盛り込まれている、優秀なクルマばかりです。

 スポーティなモデルか、親しみやすいモデルかなど、さまざまな選択肢があり、選ぶのが難しい状況です。

 逆にどれを選んでも間違いがないといえる、魅力的なモデルばかりのエリート集団ともいえるのではないでしょうか。