地方には、料金の支払い方法が現金のみという有料道路がたびたび存在し、不便を感じたことがある人も多いと思います。一方で、ETC対応にはならないものの、スイカやパスモなどの電子マネーには対応しているという道路も存在するようです。いったいなぜなのでしょうか。

ETCへの対応の遅れはコストの問題

 ETCにはいつまでたっても対応しないけど、パスモやスイカなどの電子マネー決済は可能な有料道路があると、SNSで話題となっています。いったいなぜ、なのでしょうか。

 写真を見てみると、写っているのは横須賀市にある三浦縦貫道路の料金所。一見、ETCレーンの無い一般的な有料道路の料金所ですが、よく見ると「Suica・PASMO使えます」の看板が立てられています。

 いったいなぜ、ETCではなくスイカやパスモといった電子マネーでの支払いに対応させたのでしょうか。

 そもそも、この三浦縦貫道路は神奈川県道路公社が管理する有料道路で、「道路整備特別措置法」に基づく有料道路です。そのため、国の無利子貸付金や金融機関からの借入金などで建設されており、通行料金は料金徴収期間内における道路建設資金等の償還や道路の維持補修・交通管理など、安全な道路の運行に必要な費用をもとに算定され、国土交通大臣の認可を受けて供用されている道路です。

 それらの経緯により、借入金等の償還が終了したのち、一定の料金徴収期間が満了となった時点で無料開放となることが予定されており、三浦縦貫道路の料金徴収期間は30年間で、令和12年3月3日が満了日となっています。

 そうなると、約10年は有料道路のままということになるのですが、ではなぜETCを導入しないのでしょうか。三浦縦貫道路を管理する神奈川県道路公社は次のように説明します。

「ETCシステムは、高速道路会社の高速道路等に導入するためにシステム開発されたもので、地方道路公社が同システムを導入するためには、初期投資や維持管理に多大な費用負担が生じます。

 そうなると、事業許可を受けた事業計画に影響を及ぼすことから、当公社ではETCシステムの設置を現段階では見合わせており、今後は公社の経営状況を睨みながら順次導入を図っていきたいと考えています」

 ではなぜ、パスモやスイカを導入したのでしょうか。

「ひとつには、交通系ICカードを導入する方がETCより安かったからです。また、通行料金は数百円なので、チャージを基本とする交通系ICカードの特性にも合っていたという点も挙げられます。

 ちなみに、クレジットカードの導入については、セキュリティーに係る費用及び手数料などに多額の費用負担が発生することから、導入していません」(神奈川県道路公社)

 これらの理由により、三浦縦貫道路の通行料金の支払い方法は、現金、回数券、スイカ、パスモというラインナップとなったようです。

 実際の利用者は、これらの支払い方法についてどう感じているのでしょうか。

 ツイッターに三浦縦貫道路について投稿していた、れを@WhyLeonさんは次のように話します。

「私は、スイカを利用しました。料金所のなかのおじさんがICカードリーダーを出してくれます。

 この道路は、そこまで混んでいる印象は無かったし、お釣りを受けとらなくていいのと、スマホやスマートウォッチをかざせばいいので、現金のみよりは煩わしくはないですね。

 QRコードとかになると、難易度は高くなるかもです」

※ ※ ※

 地方の道を走っていると、ふとしたタイミングで遭遇する支払い方法が現金のみの有料道路。普段ETCを利用していると、財布が手元にないなどの理由で焦った経験がある人も多いのではないでしょうか。

 初期費用や維持管理費の問題で、それらの料金所すべてにETCを導入することは難しいようですが、スイカやパスモなどの電子マネーの利用が広がれば、その煩わしさは激減するかもしれません。