最近では、スマホで誰でも気軽に撮影が出来、SNSでその写真や情報を世界中に拡散出来る時代になりました。とくに、スーパーカーなど高級車や激レア車を勝手に撮影してSNS上にアップする「カースポッター」という人達が話題となっています。いったい、どのような迷惑行為がおこなわれているのでしょうか。

街中の激レア車を勝手に撮影&SNSアップ!? 迷惑行為が増えている。

 街中で通りすがりのクルマを無断で撮影する人を「カースポッター(CAR SPOTTER)」といい、欧米では50年以上の歴史を持つ言葉です。

 鉄道ファンでいうところの「撮り鉄」のクルマ版とはえ、ほとんどはクルマ好きの若者が個人のコレクションとしてレアなクルマの写真を撮る行為ですが、なかには法的にアウトな撮影もおこなわれているようです。

 CAR SPOTTERを直訳すると「クルマを見つける人」という意味になります。

 spot(スポット)は「場所」や「地点」という意味のほかに、「見つける・探す」という意味もあり、欧米では1970年代から「カースポッターズガイド」と名付けられた本が多数、発行されてきました。

 簡単にいえばクルマ好きのための車種解説のガイドブックですが、子ども向けに「レアなクルマ探し」をゲーム感覚で楽しめる構成になっている本もあります。

 2000年以降、インターネットやデジカメ、スマホのカメラなどが普及してからは、街中で見つけた珍しいクルマの写真を撮る人のことをカースポッターと呼ぶようになりました。

 近年はスーパーカーやレアなクルマの写真を撮ってSNSで公開するほか、「Exotic Spotter」や「Auto gespot」など、カースポッター専門サイトに投稿するケースが増えています。

 カースポッターは世界各地で増加傾向にありますが、とくに、ロンドン、パリ、ミラノ、ドバイ、ジュネーブ、モナコ、東京、ニューヨーク、ビバリーヒルズ、香港などスーパーカーが多く集まる裕福な国や都市に存在しているようです。

 日本ではSNSが普及してきた2010年以降、カースポッターが急増しており、悪質カースポッターの割合もじわじわと上がってきています。

 一般的に、公道を走るクルマの写真を撮ってSNSなどにあげる場合、ほとんどのカースポッターは以下のマナーを守っているようです。

 ・場所が特定されないようにする
 ・ナンバープレートを隠す
 ・ドライバーや同乗者の存在が分からないように配慮する

 しかし、このような配慮がないのはもちろん、高級車が多く駐車している高級マンションの地下駐車場など私有地に入りこんで撮影し、動画を公開するなど悪質なカースポッターも少なからず存在しています。

 複数のスーパーカーを所有するX氏はスーパーカー仲間と箱根へツーリングに行った際、とんでもない経験をしました。

「悪質カースポッター対策も兼ねて、集合場所、ツーリングルートなども完全非公開にして出かけました。

 目的地近くの高速ICで降りようとしたところ、なんとIC(出口)周辺に7、8名のカースポッターがカメラを構えていたのです。

 しかも歩行者の立ち入りが禁止されている場所です。びっくりしました」

 非公開にしていたのにタイミングよく多くのカースポッターが集まっていたことに驚いたXさんですが、後日、もっと驚く経験をしました。

「IC出口で撮影していた1人からSNSのメッセージを通じて連絡があったのです。

『あなたのクルマを撮影しました。写真を買ってくれませんか?』という内容でした。もちろん買いませんでした」(前述のX氏)

 X氏はその際、なぜ場所が分かったのかを聞いたところ、「途中のPAで休憩をしていたときに別のカースポッターから連絡が回って来たので、先回りしてICの出口で待ち構えていた」と答えたそうです。

私有地に入っての撮影は法的にどのような問題になる?

 このような迷惑行為や悪質カースポッターへの対策について、一般社団法人日本スーパーカー協会代表理事の須山氏は、次のように話します。

――悪質なカースポッターについてどう思いますか?

 当協会においても、一部のスーパーカーオーナーやファンからの報告により悪質なカースポッターが存在することは認識していました。

 所有者としては、自宅駐車場など、安全が確保されている場所が侵害されることを快く思う人はいないはずです。

――どのような撮影スタイルが望ましいでしょうか?

 駐車場等の私有地や立入りが制限されている場所に侵入しないことは当然として、公共の場に展示されているクルマであっても、所有者が近くにいる場合には一言声をかけてから撮影することが望ましいです。

 他人の所有物に対して何かをするなら、一言声をかけるのがクルマに限らず当然のマナーだと考えています。

 そこから車好き同士の会話や交流に発展することも多く、車文化醸成の一端にもなると考えています。

――実際、どのような啓もう活動をおこなっていますか?

 当協会ではメディア登録制度を設けております。

 制度を開始して最初のイベントとなった『TOKYO SUPERCAR DAY 2020 in お台場』(2020年11月)では前もって情報配信し腕章を貸与することで一般立入禁止エリアでの撮影も実施いただきました。

 ルールやマナーを守ることでより良い環境で撮影ができるということを多くの人に知っていただくことができたと思います。

 ところで、私有地である駐車場などに勝手に侵入し、動画や写真をSNSなどにアップロードすることは法的にどのような問題になるのでしょうか。

 法的な観点から事情に詳しい光麗法律事務所の村松遼弁護士に話を伺いました。

「判例上、他人の看守する建造物等に管理権者の意思に反して立ち入る場合には建造物侵入罪(刑法130条)が成立し得ます。

『月極駐車場に侵入し撮影を行う行為』は、建造物等の管理権者の承諾を得ていない場合には、通常、『管理権者の意思に反する立入り』に当たるものと考えられ、建造物侵入罪が成立し得るものと考えられます。

 また、民事上の問題としてプライバシー権侵害の問題となり得ます。

 外部から容易に確認し得ない月極駐車場に置かれている車両は、公道を走行している車両と異なり、公衆の面前にさらされることを前提としておらず、そうした場合に比して、プライバシー権侵害となる可能性が高くなるものといえます。

 加えて、これらの動画について、特段ナンバープレートなどを加工することなくSNSや動画サイトにアップロードすることによりさらに侵害性が増すものと考えらえます」

※ ※ ※

 世界有数のクルマ王国である日本には多種多様なクルマが存在しており、それらのほとんどにオーナーがいます。

 珍しいクルマに遭遇したら写真を撮りたくなる気持ちは理解できますが、誰もが見られるSNSなどで公開する際には、撮影場所やオーナーが特定されないよう十分な配慮をすべきです。

 これには「見る人が見れば誰のクルマかわかる」ということも含まれると筆者(加藤久美子)は考えます。