昨今、信号機のない横断歩道で歩行者がいる際に一時停止をしない行為が話題となっています。そのなかで、三重県は2019年の調査で47都道府県中最下位となっていましたが、2020年の調査では14位まで浮上したといいます。なぜ、急激に順位が上がったのでしょうか。

歩行者横断のクルマの停車率を上げた三重県の行った施策とは一体?

 2019年の調査では、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとしている際にクルマが一時停止する割合が47都道府県中でもっとも低い県が三重県でした。
 
 しかし、2020年にはとある方法で劇的に改善し14位まで浮上したといいますが、どのような方法で改善されたのでしょうか。

「道路は歩行者優先」というのは、普通自動車免許を取る際に、誰しもが教わることです。

 とくに、歩行者がもっとも安全に歩行できる場所として、交通量の多い幹線道路などを重点的に安全性を重視した横断歩道の整備が進められています。

 しかし、信号機のない横断歩道をクルマが通過する際、歩行者との衝突事故が起こる事例が近年多く発生しています。

 警察庁によると、2015年から2019年までの5年間で、クルマと歩行者が衝突した交通死亡事故は5931件となっており、その内歩行者が横断中の事故は4278件と7割にものぼります。

 また、JAFが2019年に発表している「信号機のない横断歩道における歩行者優先についての実態調査」の統計データによると、歩行者が横断歩道を渡ろうとしている際に一時停止したクルマはわずか17.3%といった結果でした。

 全体の約8割のクルマが、信号機のない横断歩道で一時停止をせずに通過してしまうのは非常に危険といえます。

 そんななか、三重県では2019年の一時停止率が3.4%と、日本全国のなかでもっとも低い数値となっていました。

 そんな一時停止率の低さを受け、三重県交通安全協会では、「まもってくれてありがとう運動」という運動を強化させました。

 この運動は、信号機のない横断歩道で車両が一時停止した際に、横断を終えた歩行者がドライバーに会釈や「ありがとう」とあいさつをするものです。

 そうすることで、ドライバーのイライラを防止し、交通事故の減少を図ることが目的とされています。

 横断歩道の一時停止率の改善について、三重県交通安全協会の担当者は以下のように話します。

「三重県警察と協力をして2018年の秋頃からこの『まもってくれてありがとう運動』を実施しています。

 小学校をメインに指導をおこなっており、ネットニュースの影響もあり、最近では中学生、高校生も取り組んでくれるようになっています。

 それまで三重県では歩行者よりもクルマが優先され、ドライバーが停止するという意識が少なかったのですが、この運動を強化したこともあり、最近ではクルマが一時停止するようになったという声も届くようになりました。

 今後もこの運動を継続して、さらに一時停止率を上げられるようにしていきたいと思っています」

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 三重県警察の交通指導課の発行する「三重交通安全情報」の資料によると、「子供たちがお礼をいう姿を見て、ドライバーはルールを守る重要性を再認識し、交通安全意識の高揚に効果が期待できます。

 また、将来ドライバーになる子供については、大人がルールを守り、横断歩道の安全が確保されることに安心と感謝をすることで、正しい交通ルールが身につくことを期待しています」と書かれています。

 この運動は、2018年から市内小学校で取り組まれており、2019年1年間でさらに運動を推進させました。

 その結果、2020年には27.1%という数値で14位となり、最下位だった2019年と比べて大幅に改善されました。

 本来であれば、歩行者が横断歩道を渡ろうとしている際に一時停止することは、ドライバーにとって守らなければ違法となる義務です。

 しかし、つい「信号機がないから」「歩行者が通っていないから」などと、安易な気持ちで、ルールを守っていないドライバーがいることは事実です。

 三重県では「まもってくれてありがとう運動」により改善が見られましたが、全国各地では今後も歩行者の横断歩道の一時停止について、徹底した意識改善が必要といえそうです。