ファミリーカーとしてミニバンが定着してすでに25年ほど経ち、現在はSUVが人気車種として市場を席巻しています。その影響で、ステーションワゴンは激減してしまいました。しかし、優れたドライビングプレジャーを持ち味とする、高性能ステーションワゴンの魅力は色褪せていません。そこで、2000年代以降に登場した高出力ターボエンジン搭載のステーションワゴンを、5車種ピックアップして紹介します。

いまでは絶滅危惧種の国産高性能ステーションワゴンを振り返る

 1990年代の中頃、ミニバンが普及すると一気にファミリーカーとしてのポジションに定着しました。さらに、近年はSUV人気が急激に高まり、現在はミニバンとSUVが国内の自動車市場で主流となっています。

 その影響で、かつて隆盛を極めていたステーションワゴンは激減し、すでに市場から撤退してしまったメーカーもあります。

 欧州ではステーションワゴンはファミリーカーやパーソナルカーとして需要が高く、まだまだ豊富なラインナップが展開されていますが、国内メーカーでは減少の一途を辿っています。

 しかし、使い勝手が良く、セダンに近い優れたドライビングプレジャーがあるステーションワゴンの魅力が、失われたわけではありません。

 そこで、2000年代以降に登場した高出力ターボエンジン搭載のステーションワゴンを、5車種ピックアップして紹介します。

●スバル「レガシィツーリングワゴン 2.0GT DIT」

 1989年に発売されたスバル初代「レガシィ」は高性能なエンジンを搭載し、フルタイム4WDによる道を選ばない走行性能の高さが高く評価され、大ヒットを記録。

 なかでもステーションワゴンの「レガシィツーリングワゴン」の存在は他メーカーにも大きな影響を及ぼし、次々と高性能なステーションワゴンが登場するという、ブームの先駆者となりました。

 その後、初代から続く高性能モデルというコンセプトを継承しながら代を重ね、2009年に登場した5代目では北米市場に主眼を置いたことで、ボディの大型化という大きな転機を迎えました。

 一方、パワーユニットも大きく進化し、2012年には2リッター水平対向4気筒直噴ターボエンジンを搭載した「2.0GT DIT」が登場します。量産グレードでは歴代最高となる300馬力を誇り、大型化が不評ながらもスポーティさを取り戻します。

 しかし、「レヴォーグ」にスイッチするかたちで、レガシィツーリングワゴンは2014年に5代目をもって国内販売を終了。

 一時代を築いたレガシィツーリングワゴンですが、25年続いた歴史に幕を閉じました。

●日産「ステージア 250t RS FOUR V」

 現在、日産のラインナップで、ステーションワゴンは消滅してしまいました。しかし、かつては小型なモデルから、大型なモデルまで数多くのステーションワゴンを展開。なかでもフラッグシップに君臨していたのが、「ステージア」です。

 1996年に発売された初代ステージアは、「R33型 スカイライン」と主要なコンポーネンツを共用することで開発されました。

 ステージアの登場によって、輸入車が席巻していたLクラス・ステーションワゴン市場に新風を巻き起こし、一躍ヒット作となります。

 そして、2001年には2代目が登場。ボディはより大型化かつ洗練されたデザインとなり、エンジンは直列6気筒から3リッターと2.5リッターのV型6気筒にスイッチされました。

 2代目ステージアで大きなトピックスだったのが、最高出力280馬力を発揮する2.5リッターV型6気筒ターボを搭載する「250t RS FOUR V」が設定されたことで、このエンジンはステージア専用に開発されるという、日産渾身の一台です。

 さらに、コーナリング性能を高める4輪操舵システム「電動SUPER HICAS」を搭載した「250t RS FOUR V/HICAS」がラインナップされるなど、スポーティさに磨きをかけます。

 しかし、2004年のマイナーチェンジで2.5リッターターボモデルは廃止となり、2007年には販売低迷からステージアは生産終了となってしまいました。

●マツダ「マツダ6 2.5T」

 今回、唯一の現行モデルとして紹介するのがマツダ「マツダ6」モデルです。

 マツダ6の源流となるモデルは2002年に誕生した初代「アテンザ」で、ボディは4ドアセダン、5ドアハッチバック、ステーションワゴンの3タイプをラインナップし、欧州市場を意識したスポーティなスタイルが特徴でした。

 2012年に登場した3代目では、マツダのデザインコンセプトである「魂動デザイン」を採用し、新世代技術の「SKYACTIV TECHNOLOGY」を搭載。そして、2019年8月からはグローバルで車名を統一する「マツダ6」に改められました。

 ボディバリエーションはセダンとステーションワゴンで、どちらも大柄なサイズを生かした流麗なフォルムが特徴です。

 パワーユニットは、190馬力を発揮する2.2リッター直列4気筒ターボディーゼル、156馬力の2リッター直列4気筒ガソリン自然吸気、190馬力の2.5リッター直列4気筒ガソリン自然吸気、そして、最高峰に位置するのが、230馬力を誇る2.5リッター直列4気筒ターボです。

 トルクフルで経済性にも優れたターボディーゼルは魅力的ですが、スムーズに吹け上がるパワフルなガソリンターボも、甲乙つけがたいエンジンといえます。

 また、マツダ独自の車両姿勢制御技術である「Gベクタリング コントロール」や、「アダプティブLEDヘッドライト」、「スマートブレーキサポート」などの先進安全技術を標準装備するなど、フラッグシップにふさわしい安定した走りと高い安全性も確保。

 そして、ディーゼルモデルでは6速ATに加えて6速MTが設定されているのも、マツダ6の大きな特徴のひとつです。

性能を競い合ったライバル関係の2台とは

●スバル「インプレッサ スポーツワゴンSTi」

 初代レガシィの登場によって、スバルのクルマづくりに対する設計思想は大きく変わりました。そうして1992年に誕生したのが、初代「インプレッサ」です。

 レガシィと同様に、パワフルなエンジンにフルタイム4WDシステムを組み合わせたグレードを設定した、セダン/ステーションワゴンとして人気となりました。

 とくに「インプレッサ WRX」が世界ラリー選手権で勝利を重ねたことで、インプレッサ=高性能車というイメージが確立します。

 このインプレッサ WRXをベースに、スバルテクニカインターナショナルがさらにチューニングしたモデルが「インプレッサ WRX STi」で、わずかな期間のみステーションワゴンにも設定されました。それが「インプレッサ スポーツワゴンSTi」です。

 2000年に登場したスポーツワゴンSTiは、基本的にセダンのWRX STiと同等のシャシ性能と動力性能が与えられ、エンジンはインタークーラーウォータースプレーを備えた2リッター水平対向4気筒ターボを搭載し、280馬力を発揮。

 組み合わせるトランスミッションは6速MTのみで、駆動系ではセンターデフにビスカスLSDを用いたフルタイム4WDを採用しています。

 その後、2代目インプッサは2002年にフロントフェイスを一新する(「丸目」から「涙目」)ビッグマイナーチェンジがおこなわれましたが、それと同時にスポーツワゴンSTiはラインナップから外され、販売期間はわずか2年だけで、いまではかなりレアなモデルです。

 なお、初代インプレッサ スポーツワゴンには、限定車として「STiバージョン」が設定され、後にカタログモデルになっています。

●三菱「ランサーエボリューションワゴン GT」

 前述のインプレッサと同時期である1992年に登場した三菱「ランサーエボリューション」は、モータースポーツで勝つことを目的に開発された高性能セダンです。

 ライバルのインプレッサ WRXと世界ラリー選手権を競い合ったことで、両車とも短期間のうちに性能向上を繰り返すという、いまでは考えられないほどハイペースな開発合戦が繰り広げられました。

 一方で、ランサーエボリューションはセダン専用車だったことから、インプレッサに対抗するため、2005年に、第3世代の「ランサーエボリューションIX」のシャシと「ランサーワゴン」のボディパネルを融合させた「ランサーエボリューションワゴン」を発売。

 搭載されたエンジンは2リッター直列4気筒ターボで、6速MT仕様の「GT」は最高出力280馬力を発揮。駆動方式も当然フルタイム4WDを採用し、セダンに比べ若干の重量増となっていたものの、高い走行性能を誇りました。

 また、5速ATを搭載した「GT-A」が設定され、イージードライブも可能な高性能ステーションワゴンとして、ユーザー層を広げます。

 2006年にはさらに進化した「ランサーエボリューションワゴン MR」が登場しましたが、2007年にすべてを一新した「ランサーエボリューションX」が登場すると、ステーションワゴンは廃止。

 ランサーエボリューションワゴンの生産期間はわずか2年という、今では希少なモデルです。

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 今回、紹介したモデル以外でも、トヨタ「マークIIブリット」や「カルディナGT-FOUR」など、高性能な国産ステーションワゴンが存在しましたが、やはり廃止されてしまいました。

 もはや、高性能ステーションワゴンの復権は難しい状況ですが、現行モデルではトヨタ「カローラツーリング」に1.2リッターながらターボエンジンが設定されており、スバル新型「レヴォーグ」も、1.8リッターにダウンサイジングされたものの、ターボエンジンを搭載しています。

 どちらも、往年の高性能モデルほどのパワーではありませんが、今後に期待できるといっていいでしょう。