最近のクルマはモデルサイクルが長期化しており、トヨタ「ランドクルーザー」のように、長い間フルモデルチェンジをせずに販売され続けているモデルがあります。登場から随分と時間が経っているのにも関わらず、フルモデルチェンジせずにマイナーチェンジだけで生き長らえているご長寿モデルを紹介します。

ロングセラーには色褪せない魅力を持ったクルマが多い

 トヨタ「ランドクルーザー」などはロングセラーモデルとして有名ですが、ほかにも長い間フルモデルチェンジをせずに販売され続けているモデルがあります。

 最近はモデルチェンジのタイミングが長期化している傾向はありますが、時間が経っても色褪せない魅力がきっとあるからこそロングセラーになり得ているのではないでしょうか?

 そこで今回は、マイナーチェンジこそしているものの、登場から何年も続いているロングセラーモデルを5台ピックアップして紹介します。

●日産「GT-R」

 日本の高性能スポーツカーの頂点ともいえる日産「GT-R」は、もともとは「スカイライン」の1グレード扱いでしたが、2007年に完全に独立。GT-Rとして誕生してから14年が経過しました。

 フェラーリやポルシェなどのプレミアムスポーツカーブランドにも負けない動力性能を持ちながら、日本の道路事情に適した実用性と信頼性を併せ持ち、開発コンセプトである「誰でも、どこでも、どんなときでも楽しめる最高のスーパーカーライフ」を具現化したモデルとして、登場以来変わらずクルマ好きから熱い注目を集め続けています。

 そして日産はモデルチェンジを繰り返すのではなく、毎年改良を加える「イヤーモデル制」を導入。

 絶対的な人気を誇るスーパーカーだけに、大きく変化させるのではなく、熟成させていくイヤーモデル制は、オーナーの満足度や熟成させる喜びもあります。

 職人の手作業で組み立てられる3.8リッターV型6気筒ツインターボエンジンは、初期の480馬力から現在では570馬力にまでパワーアップするなど、大幅に熟成、進化し続けています。

 全長4710mm×全幅1895mm×全高1370mmのボディサイズの中身は、エンジンを前方に、クラッチやトランスミッション、トランスファーを後方に配置した世界初の「独立型トランスアクスル4WD」を採用することで最適な重量配分を実現。

 リアルスポーツカーとしてベースの完成度の高さがあってこそ、ロングセラーモデルとなっているといえます。

●トヨタ「アクア」

 いまでは選択肢のひとつとして定着した「ハイブリッド」ですが、このハイブリッドを「プリウス」とともにここまでポピュラーにした立役者がトヨタ「アクア」です。

 トヨタが世界初の量産型ハイブリッド専用車としてプリウスを発売したのは1997年。

 その後モデルチェンジによりボディが3ナンバーサイズ化されたことで、空白になった5ナンバーサイズのハイブリッド車の穴を埋めるべく、コンパクトなアクアがハイブリッド専用モデルとして2011年に誕生しました。

 アクアは実用的なハッチバックスタイルを採用し、全長4050mm×全幅1695mm×全高1455mmの扱いやすいサイズに、小型&軽量化・高効率化されたハイブリッドシステム「THS-II」を搭載。

 WLTCモードで29.8km/L(Lグレード)という低燃費を実現しながら、200万円前後から購入できるとあって、登場から10年経過したいまでも売れ続けている真のロングセラーモデルです。

 ロングセラーになった理由はいくつかありますが、優れた環境性能、求めやすい価格はもちろん、最大の理由は飽きの来ないデザインと見た目以上に使い勝手の良い居住空間が挙げられます。

 コンパクトカーのスタンダードともいえる、流麗だけど華美すぎないボディラインや、乗り込むと意外に広い車内など、どんな人にも受け入れられる素質を持っているといえるでしょう。

 2020年に同じトヨタのコンパクトカーとして「ヤリス」が登場。ヤリスにもハイブリッド車があることから、ハイブリッド専用モデルとしてのアクアの存在意義が薄れている部分もあります。

 しかし、2021年にもアクアはフルモデルチェンジするともいわれており、新型アクアの動向が注目されています。

●レクサス「CT」

 トヨタが展開しているプレミアムブランドのレクサス。このレクサスのエントリーモデルであり、国産プレミアムコンパクトとして初のハイブリッド専用車種として登場したのが「CT」です。

 2011年のデビュー以来、2度のマイナーチェンジと複数の一部改良を加えながら、現行モデルとして10年以上販売されているロングセラーモデルとなりました。

 低い全高やロングルーフ、低重心というレクサスブランドのデザイン哲学を踏襲したボディは、全長4355mm×全幅1765mm×全高1450mm(CT200h)と一般的な5ドアハッチバックのサイズながら、2014年のマイナーチェンジから採用された「スピンドルグリル」が高級感を演出。

 搭載されるハイブリッドシステムは、3代目プリウスに搭載された1.8リッターハイブリッド「THS II」を採用し、現在ではシステム全体で181馬力にまで性能をアップさせつつ、23.9km/L(WLTCモード)の低燃費を実現しています。

 内装は2011年のデビュー時と同じデザインですが、内装色もグレードごとに3、4色から選択可能など、プレミアムカーらしい仕様になっています。

 CTはプレミアムコンパクトらしい高級感のあるインテリアや扱いやすいサイズ、トップクラスの環境性能、充実した安全装備などが人気で、CTからCTに乗り換える人もいるといいます。

 また、メインのクルマでレクサスの大型モデルに乗っている人がセカンドカーとして購入することもあり、同ブランドにとってなくてはならない存在とされています。

ミニバン界のロングセラーモデルとは?

●ホンダ「オデッセイ」

 1980年代後半から1990年代前半のホンダは、当時大ブームだったF1での圧倒的な強さと高回転ハイパワーVTECエンジンの投入もあり、スポーティで都会的なスペシャリティ路線に強いメーカーでした。

 しかしその後のRV(レジャーヴィークル)ブームやさらにその後やってきたミニバンブームにも乗り遅れていましたが、そんななか起死回生を狙うミニバンとして1994年に初代「オデッセイ」が登場しました。

 それまでのワンボックスベースから派生したライバル車と違い、オデッセイは「アコード」のプラットフォームを採用。

 セダンベースであったためにスライドドアが採用できなかったのですが、それが逆に「低床」「低重心」をウリにした、新ジャンルの低ルーフミニバンとして大ヒットとなりました。

 低ルーフミニバンのパイオニアが大きく転換したのが、2013年から現在まで販売されている5代目で、一番大きく変わったことはスライドドアの採用です。

 それまではセダンと同じ感覚にこだわってきたオデッセイですが、使い勝手の良いスライドドアを搭載し、超低床プラットフォームと組み合わせた広い車内空間を持つミニバンへと進化しました。

 そして2020年には2度目となる大規模なマイナーチェンジを実施し、フルモデルチェンジ並みに外装デザインを変更しています。

 とくにフロントまわりはボンネットの位置が上がって全体的な厚みがアップ。最新トレンドの薄めのヘッドライトを採用するなど、迫力と精悍さがプラスされました。

 ボディサイズは全長4855mm×全幅1820mm×全高1695mm(アブソルートEX)。2リッターガソリンと2.4リッターハイブリッドをラインナップしています。

 オデッセイのハイブリッドは、現在のホンダでもっとも進化した2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を採用。

 安全面では予防安全システム「ホンダセンシング」を全車標準搭載し、ロングセラーといえども最新の装備の数々が取り入れられました。

●三菱「デリカ D:5」

 現在の三菱は、ルノー&日産と提携してプラットフォームの共通化などを進めていますが、それでも頑なに守っているアイデンティティがあります。それはタフなオフロード性能です。

 1980年代に登場し大ヒットした本格四駆「パジェロ」のイメージを継承し、オフロード走行が可能な車高や強靭な4WD機構を採用したミニバンとして、独自路線を突き進んでいるのが「デリカ D:5」です。

 現行モデルは2007年にデビューした超ロングセラーですが、2019年にビッグマイナーチェンジを受けて、現在の三菱顔である「ダイナミックシールド」を採用してダイナミックなスタイルに刷新されました。

 ワンボックスを連想させる直線基調のボディは、全長4800mm×全幅1795mm×全高1875mmと車高の高さが目を引き、さらにクロカンの強靭な足腰を組み合わせたSUVのような高めの最低地上高(185mm)も特徴です。

 デビュー当初は2.4リッターガソリンエンジンやFFモデルなども販売されていましたが、現在はガソリン車が廃止され、2.2リッタークリーンディーゼルターボエンジン&4WDのみというパワートレインになっています。

 SUVのような本格的なオフロード走行性能を持つミニバンは直接的なライバルがおらず、とくにアウトドア好きのファミリー層からデリカD:5が支持されているのも納得です。

 快適さや便利さ、燃費だけならほかのミニバンがありますが、そういった部分よりも、どんな道でも走れるという頼もしさがデリカ D:5最大の魅力だといえます。

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 10年以上経過してもなお魅力的ということは、それだけクルマの性能やコンセプト、ルックスなどの完成度が高いということでもあります。

 最新トレンドを盛り込んだクルマもいいですが、1台を長く乗り続けたい人にとっては、ロングセラーモデルを選ぶことが最適なのかもしれません。