米スバルは2021年3月30日(日本時間)に、オフロード性能を高めた「アウトバック ウィルダネス」を発表しました。文字どおりワイルドさを強調したクロスオーバーSUVですが、これまでもオフロード性能に特化したモデルが存在。そこで、アウトバック ウィルダネスを含めたワイルドなSUVを3車種ピックアップして紹介します。

オフロード性能を高めて見た目もタフなSUVを振り返る

 2021年3月30日(日本時間)に、アメリカスバルはオフロード性能を高めた新バージョンの「アウトバック ウィルダネス(Wilderness)」を発表しました。

 車名のとおりワイルドな見た目だけでなく、悪路走破性を高める改良が随所に施されています。

 現在、世界的に人気が高いSUVにはいくつもの種類がありますが、各社主力商品となっているのはオンロード性能に特化したクロスオーバーです。

 一方、本格的なクロスカントリー車もあり、過酷な環境での実用性の高さだけでなく、本物だけが持つ機能美からも人気となっています。

 そこで、アウトバック ウィルダネスを含めたワイルドなSUVを3車種ピックアップして紹介します。

●スバル「アウトバック ウィルダネス」

 スバル「アウトバック」はもともと1994年に北米市場向けとして開発されたモデルで、2代目「レガシィ」をベースにSUVへ仕立てられたセダンとステーションワゴン(後にセダンは廃止)をラインナップ。

 その後、日本でもステーションワゴンの「レガシィ グランドワゴン」として発売され、「レガシィ ランカスター」、「レガシィ アウトバック」と車名が改められて現在も販売中です。

 今回発表されたアウトバック ウィルダネスは、北米で販売されている6代目アウトバックをベースに開発されました。ちなみに国内仕様のレガシィ アウトバックは先代の5代目のままです。

 アウトバック ウィルダネスの外観は、さらにリフトアップされたボディによって高いオフロード性能を予感させます。実際に最低地上高は標準モデルの8.7インチ(約220mm)から9.5インチ(約240mm)まで高められており、悪路走破性が向上。

 また、前後バンパー、フロントグリル、大型化されたホイールアーチのプレテクター、フロントスキッドプレート、六角形のLEDフォグランプなど、専用のアイテムが装着されワイルドさを演出しています。

 内装ではブラックとグレーのダークトーンで全体をコーディネートしつつ、随所にイエローの差し色をあしらうことでアウトドアギアのイメージを強調。

 エンジンは263馬力(米規格から仏馬力に換算)を発揮する2.4リッター水平対向4気筒直噴ターボを搭載し、トランスミッションはCVTの「リニアトロニック」のみとされ、標準モデルに対し極低速時のトラクション性能を強化したといいます。

 駆動方式はAWDで、悪路走破性を向上させる「X-MODE」も「DEEP SNOW/MUDモード」の対応速度域を広げるなど、オフロードでの実用性が高められました。

 なお、このアウトバック ウィルダネスは2021年後半に北米市場で発売予定となっており、「ウィルダネス」シリーズの第一弾ともアナウンスされていることから、今後は他のモデルにも展開するとみられています。

●スズキ「ジムニー」

 現行モデルの4代目スズキ「ジムニー」は軽自動車で唯一無二のクロスカントリーSUVとして、日本のみならず海外でも(「ジムニーシエラ」に相当)高い人気を誇っています。

 そもそも悪路走破性に特化したジムニーですが、ブラジルでは非常にユニークなモデルを展開。

 現在、ブラジルスズキでは現行モデルをジムニーシエラの名で販売していますが、それと並行して先代の3代目ジムニーを継続して販売しており、さらにオフロード性能を高めた仕様にモデファイして現地生産されています。

 このブラジル製ジムニーは4つのバリエーションがあり、もっともワイルドでタフな外観の「フォレスト」では、専用デザインの角型オーバーフェンダーやより力強い印象のバンパー、サイドシルガード、渡河時に威力を発揮する吸気用シュノーケル、大径オフロードタイヤ、ルーフラックなどが標準装備され、まるでカスタマイズカーのようです。

 エンジンは各モデルとも共通で、最高出力85馬力の1.3リッター直列4気筒を搭載。トランスミッションは5速MTのみで、駆動方式はパートタイム式4WDとなっています。

 ブラジル製ジムニーは日本円で約194万円から230万円と少々高めですが、モディファイの内容を考えると意外とリーズナブルかもしれません。

大衆車を豹変させたワイルドな1台とは?

●フォルクスワーゲン「ゴルフ カントリー」

 1974年に誕生したフォルクスワーゲン初代「ゴルフ」は、同社を代表する大衆車「タイプ1(ビートル)」の後継車としてデビュー。

 後にコンパクトカーのベンチマークとなるなど、優れたパッケージングと走りの良さで世界的な大ヒットを記録しました。

 1983年には初代のコンセプトを受け継いだ2代目が発売され、1986年にシリーズ初の4WD車「ゴルフ シンクロ」を追加ラインナップ。センターデフにビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDシステムを搭載し、主に濡れた路面や雪道などの走破性が高められています。

 そして1990年には、このゴルフ シンクロをベースにしたワイルドな派生車「ゴルフ カントリー」が登場。

 ゴルフ カントリーは最低地上高210mmまでリフトアップされ、フロントにスチール製のグリルガードと下まわりを保護するアンダーガード、リアにはスペアタイヤキャリアが装着されるなど、本格的クロスカントリー車のイメージに仕立てられています。

 また、実際に悪路走破性も高められており、補強によるシャシの剛性アップや、タイヤはブロックパターンのオフロードタイヤが標準装備されるなど本格的です。

 開発と生産は、現行モデルのメルセデス・ベンツ「Gクラス」やトヨタ「スープラ」の製造をおこなっている、オーストリアのマグナシュタイア(当時の社名はシュタイアプフ)が担当し、1991年には日本でも正規輸入されましたが販売的には成功したといえず、いまでは中古車市場でも滅多にお目にかかれない激レアなモデルとなっています。

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 日本の道路で本格的なオフロード車が活躍するシーンは滅多にありませんが、そのオーバースペックな部分は大いに魅力的です。

 前出のジムニーやトヨタ「ランドクルーザー」が、いまも不動の人気を保っているのもうなずけます。

 オンロードでの走りに特化したクロスオーバーも使い勝手が良く、高速性能も優れていて普段使いには申し分ないクルマですが、やはり「本物」が持つオーラにはかなわないのではないでしょうか。