昨今では、新型コロナ禍の影響でさまざまな分野の業績が左右されています。そうしたなかで、新車販売では同じメーカーやモデルのなかでも、上位グレード・モデルのほうが売れているというケースが多いといいます。なぜ、新車価格の高いほうが売れているのでしょうか。

なぜ人は「良いほう」を選ぶのか

 近年、同じメーカーやモデルのなかでも、上位グレード・モデルのほうが売れているというケースが多いといいます。
 
 当然、上位グレードになるほど高額となりますが、なぜ「高いほうが売れる」という現象が起きているのでしょうか。

 クルマは、新車・中古車問わず高額な商品となり、昔から「家の次に高い買い物」といわれています。

 そのため、自分の用途に合った条件と予算のなかで葛藤して購入に至ることが大半です。

 しかし、近年ではエントリーグレードから最上級グレードと設定されるモデルのなかで、比較的上位のグレードを選ぶ人が増えているのではないかといわれています。

 例えば、2020年8月31日に発売されたトヨタ「ヤリスクロス」は、ガソリン車とハイブリッド車が設定されており、その価格差は約37万円です。

 しかし、発売から2021年3月までの登録台数は、トヨタの資料によるとガソリン車が約2万1690台だったのに対して、ハイブリッド車は約4万2860台と2倍ほどの差が存在します。

 上位グレードが売れる要因について、首都圏のトヨタ販売店は次のように話します。

「ヤリスクロスの場合、ハイブリッド車は国産車のなかでも高い燃費性能を誇り、人気のSUVという部分と燃費を気にするお客さまからの関心が高いです。

 ヤリスクロスに限りませんが、新型コロナ禍以降にクルマでの移動が注目されたことで『購入するなら良いものが良い』という声が増えている印象です」

 また、日産の販売店でも「上位グレードにオプションてんこ盛りにする人が増えている印象はあります。新型『ノート』は複数のセットオプションを設定していますが、まとめて付けられるお客さまも多くおります」

 日本自動車販売協会連合会が公表した2020年度の登録車販売台数トップ10の上位は、価格帯が安く、サイズが小さなコンパクトカーで占められています。

 しかし、そのなかで国産高級ミニバンのトヨタ「アルファード」が4位に、元祖国産高級SUVのトヨタ「ハリアー」が7位にそれぞれランクインするなど、価格帯が高価なモデルも比較的に順調な売れ行きを示しているのです。

 直近の国内新車市場は、2020年3月頃から、新型コロナ禍の感染拡大で1回目の緊急事態宣言が発出されたことなどが影響し、自動車工場の操業停止や新型モデルの投入先送りなどの影響が見られました。

 同時に、ユーザーの消費も落ち込んだことで、4月の新車登録台数は前年同月比25.5%減、5月は同40.2%減と市場に大きな打撃を与えていることが日本自動車販売協会連合会の統計データで分かっています。

 登録台数はその後、徐々に回復しており、2021年4月現在では例年並みといえる状況です。

 このように新型コロナに翻弄される期間が続きましたが、そのなかでも前述のアルファードは販売台数上位を維持し続けました。

 アルファードが好調な要因について、前出とは別のトヨタ販売店は次のように話しています。

「アルファードは、2020年1月の改良や5月の全店での併売化などにより、好調を維持しています。

 検討されるお客さまとしては、個人・法人どちらもおりますが、個人では新型コロナ禍の最中に自粛をすることで出費が抑えられたことと、クルマの移動が注目されていることにより、思い切って選んだという人もいます」

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 昨今は、新型コロナ禍により収入が減少した人がいる一方で、自粛による出費低減やコロナバブルで好調な人などさまざまなようです。

 そのなかで、密を避ける移動手段としてクルマへの関心が高まると同時に、「買うなら良いものを」という考え方によって、上位グレードや高級モデルが売れている要因となっているといえそうです。