昨今人気のコンパクトSUVですが、トヨタ「ヤリスクロス」、日産「キックス」に加え、2021年4月にホンダ新型「ヴェゼル」が登場します。それぞれのSUVにはどのような特徴があるのでしょうか。

コンパクトSUVでしのぎを削るトヨタ・日産・ホンダ

 いまもっとも勢いがあるカテゴリーのひとつといえばSUVです。そのなかでも売れ筋はコンパクトSUVと呼ばれるジャンルで、2020年にはトヨタ「ヤリスクロス」や日産「キックス」といったモデルが新たに発売されました。

 そして2021年4月には、ホンダのコンパクトSUV「ヴェゼル」がフルモデルチェンジして2代目モデルが登場します。

 コンパクトSUVヤリスクロス、キックス、新型ヴェゼルは、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

 2020年8月に発売されたヤリスクロスは、同年2月にフルモデルチェンジしたコンパクトカー「ヤリス」をベースとしたSUVです。

 ボディサイズは全長4180mm×全幅1765mm×全高1590mm。「ライズ」と「C-HR」の中間に位置するSUVです。

 ヤリスシリーズならではの「軽快な走り」「先進の安全・安心技術」「低燃費」を受け継ぎつつ、これからの時代に求められるコンパクトSUVの新たな価値を追求することを目指したといいます。

 外観デザインはアクティブで洗練された、バランスの良いプロポーションを実現。立体的なフロントビューが精悍な印象を与えるとともに、強調されたフェンダーによって踏ん張り感を演出するなど、SUVらしさを強調しているのが特徴です。

 内装はヤリスに準じた比較的シンプルなデザインですが、センターコンソールからディスプレイオーディオ(DA)にかけての縦方向の流れを強調することで、力強さを表現。シートやステアリングなどを適切に配置し、ヘッドアップディスプレイ(HUD)などを採用することにより、ドライバーの視線移動を最小限に抑えて運転に集中できるインテリアとしました。

 パワートレインでは、1.5リッターのガソリン車とハイブリッド車を用意。駆動方式はそれぞれ2WDと4WD(ハイブリッド車のみ電気式のE-Four)を設定しています。

 ガソリン車の4WDシステムとして、路面状況に応じた走行支援を3つのモードから選択できるマルチテレインセレクトなど、SUVの走りを堪能できる機能を搭載しているのも特徴です。

 燃費性能については、ガソリン車が17.4km/Lから20.2km/L、ハイブリッド車が26.0km/Lから30.8km/Lとクラス世界トップレベルの低燃費を達成しました(WLTCモード)。

 安全・安心技術についても、最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備(X“Bパッケージ”を除く)。

 全車速追従機能付のレーダークルーズコントロール、アダプティブハイビームシステム(AHS)をはじめ、高度運転支援「トヨタチームメイト(アドバンストパーク)」を、ヤリスに続き採用しています。

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 日産が2020年6月に発売した新型キックスは、それまでの「ジューク」に代わるコンパクトSUVとして日本市場に投入。

 もともとキックスは南米やアジアなどで販売されていた海外モデルでしたが、マイナーチェンジのタイミングで、10年ぶりの新規車種として日本へ導入されることになりました。

 全長4290mm×全幅1760mm×全高1610mm。外観はグリル内部にクロームをちりばめた大型の「ダブルVモーショングリル」を採用した迫力のあるデザインです。

 フローティングルーフやシャープな形状のLEDヘッドランプが施されることで、力強くスタイリッシュなデザインへと仕上げました。

 内装は「モダンプレミアム」をコンセプトとし、肌触りの良いシートやインパネなどに上質さを感じさせるダブルステッチを施しています。

 さらにハンドルは、操作性の良いDカット型にするとともに本革巻を採用することで、スポーティさを強調しました。

 新型キックスのパワートレインは、1.2リッターガソリンエンジンを発電用に使うe-POWER車(ハイブリッド)のみのラインナップ。駆動方式は2WDです。

 e-POWERは「ノート」や「セレナ」にも搭載されていますが、キックスのe-POWERの最大出力を約20%向上。バッテリーやモーターなどの制御を磨き上げ、レスポンスが良く力強い走りを可能としています。燃費はWLTCモードで21.6km/Lです。

 キックスの安全装備は「プロパイロット」が全車に装備されています。

 ミリ波レーダーの採用によって、より遠くの先行車の状況を検知し、スムーズな制御をおこなうことでドライバーをアシスト。

 また、前方の状況を監視し、車両や歩行者との衝突回避・衝突による被害軽減を支援する「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」や「踏み間違い衝突防止アシスト」などを標準装備しました。

 さらに、もしもの事故の際の自動通報はもちろん、あおり運転や急病などの緊急事態にも手動で通報できる「SOSコール」も全車標準装備となります。

新型ヴェゼルはどんなクルマに生まれ変わる?

 そしてホンダ「ヴェゼル」は初代モデルが2014年に登場。都会派SUVの代表として人気を博し、日本自動車販売協会連合会が発表する登録車販売台数ランキングにおいて、2014年、2015年、2016年、2019年と4度のSUV販売台数ナンバー1を獲得しました。

 2021年4月にフルモデルチェンジして2代目となる新型ヴェゼルが登場する予定ですが、新型はクリーンな上質さとSUVの力強さを兼ね備えたデザインへと生まれ変わります。

 ボディサイズについては明らかになっていないものの、従来型ヴェゼルの全長4330-4340mm×全幅1770-1790mm×全高1605mmとあまり変更していないとホンダは説明。

 立体感のあるボンネットやシャープなLEDヘッドライト、ボディ同色のルーバーグリルなど、堂々としたスタイルを採用。車格以上の存在感を放っています。

 リアのデザインも一新され、横一文字に光るリアコンビネーションランプを備えるなど、先進的な印象へと生まれ変わりました。

 内装は水平基調のインパネでスッキリとした視界を確保するとともに、洗練されたインテリアを実現。

 さらに、ルーフには大きな「パノラマルーフ」を装備(グレード別装備)。大開口ながら日差しの熱のほとんどをカットするLow-Eガラスを採用し、開放感のある室内が広がります。

 新型ヴェゼルのパワートレインは1.5リッターのガソリン車と1.5リッターハイブリッドが設定されています。

 メインとなるハイブリッド車は、2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を採用。

 モーター走行とエンジン走行を状況に応じて切り替えることで、スムーズな走りから安定感のある走り、モーターによるパワフルな走りなど、さまざまな走行性能を味わうことができます。

 駆動方式は2WDと4WD(最上級グレード除く)が用意されていますが、4WDは「リアルタイムAWD」を設定。

 とくにe:HEV車のリアルタイムAWDは、エンジンの特徴である素早くリニアなトルク発生と、四輪に最適な駆動力配分をおこなうことで、悪路や雪道などにおいても安定したドライビングが可能になりました。

 安全装備について、新型ヴェゼルは「ホンダセンシング」を全車標準装備。広角カメラと高速画像処理チップを採用したことでこれまで以上に機能が進化しています。

 後方誤発進抑制機能や近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビームが新設定されるとともに、従来モデルにも装備されていたアダプティブクルーズコントロール(ACC)には渋滞追従機能を追加しました。

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 ヤリスクロスと新型ヴェゼルはガソリン車とハイブリッド車をラインナップしていますが、キックスはハイブリッドのみ。駆動方式もヤリスクロスと新型ヴェゼルは2WDと4WDがありますが、キックスは2WDだけという違いがあります。

 価格(消費税込)は、ヤリスクロスが179万8000円から281万5000円、キックスが275万9900円から286万9900円です。

 新型ヴェゼルの価格は明らかになっていませんが、従来モデルは211万3426円から298万186円でした。

 ホンダ販売店のスタッフは、新型ヴェゼルについて次のように話します。

「新型ヴェゼルは装備が充実しており、従来モデルよりも価格が上がってしまうと思います。

 しかし、ヤリスクロスやキックスなど、同クラスのライバルよりも優れている点が多くあるのは間違いないと思います」

 2020年度の登録台数は、ヤリスクロスが6万4550台(トヨタ資料より、ひと月あたり約9221台)、キックスが3万2863台(自販連データより、ひと月あたり3651台)。

 ヴェゼルはモデル末期だったこともあり2万8110台(自販連データより、ひと月あたり2342台)となっています。新型モデルが登場する4月以降、3車種の勝負がますます激化しそうです。

 2020年にトヨタ・日産・ホンダはコンパクトカーでも熾烈な争いを展開。2月に登場した「ヤリス」「フィット」、12月にフルモデルチェンジした「ノート」でライバル競争を繰り広げています。

 コンパクトカーでは日産が遅れて登場しましたが、コンパクトSUVではホンダが後発となります。新型ヴェゼルがヤリスクロスとキックスにどこまで迫れるかが注目されています。