2000年代は数多くの名車、とくにスポーティなモデルが消えたことからクルマ好きには冬の時代だったといえます。そこで、2000年代に惜しまれつつ姿を消したクルマのなかから、高性能な2リッターエンジン搭載車を、5車種ピックアップして紹介します。

失われてわかる貴重さ? 2リッター高性能車を振り返る

 日本では、1989年の自動車税改正以前は3ナンバー車の税額は8万1500円と非常に高額だったことから、2リッター車の高性能化が著しく進みました。

 自動車税が改正されて税額が下がった後も、2リッター車はしばらく高性能車の主力のままラインナップされ、いまも一部の車種で続いています。

 とくに1990年代は高性能2リッター車が隆盛を極めていましたが、2000年代に排出ガス規制の強化やニーズの低下などの影響で、次々と姿を消してしまいました。

 そこで、2000年代に惜しまれつつ消滅した高性能な2リッターエンジン搭載車を、5車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「インテグラ タイプR」

 ホンダを代表するスポーツモデルといえば「タイプR」シリーズですが、その普及拡大に貢献したのがタイプRシリーズ第2弾として1995年に登場した初代「インテグラ タイプR」です。

 サーキット走行にも適応するようにエンジン、サスペンション、シャシ、ブレーキと各部が強化・チューニングされると同時に、大幅な軽量化がおこなわれたストイックなモデルで、人気を博しました。

 そして、2001年には初代と同様なコンセプトの2代目インテグラ タイプRが登場。

 エンジンは専用にチューニングされ、220馬力を誇る2リッター直列4気筒DOHC VTEC自然吸気エンジンを搭載し、トランスミッションは6速MTのみです。

 外観では大型リアスポイラーや各種エアロパーツが装着され戦闘的なフォルムを演出し、内装ではレカロ製シート、MOMO製ステアリングホイール、アルミ製シフトノブといったタイプRならではのアイテムが装着されています。

 足まわりはフロントにストラット、リアがダブルウイッシュボーンの4輪独立懸架で、一般道での乗り心地を無視したかのように強化され、ブレンボ製フロントブレーキキャリパーと相まって当時は「世界最速のFF車」と呼ばれたほどです。

 しかし、次第に3ドアクーペの需要が低下していたことから販売は低迷し、2006年に生産を終了。この代をもってインテグラの歴史も幕を閉じました。

●三菱「FTO」

 かつて三菱の主力車種として君臨していた「ギャラン」ですが、このギャランの下位に位置するモデルとして1971年に登場した2ドアクーペが「ギャランクーペFTO」です。

 ギャランクーペFTOは1975年に一代限りで消滅してしまいましたが、1994年に三菱「FTO」として復活を果たしました。

 FTOはFFの2ドアクーペで、ボリューム感のある曲線を多用したデザインと、ワイドトレッド、ショートホイールベースの美しいプロポーションが特徴です。

 トップグレードには最高出力200馬力を誇る2リッターV型6気筒DOHC MIVECという贅沢なエンジンを搭載し、トランスミッションは5速MTに加え、日本初のマニュアルモード付きAT(4速と5速があり)を設定。

 サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクの4輪独立懸架で、優れたセッティングに加えて、トラクションコントロールシステムにはトレースコントロール機能とスリップコントロール機能を採用したことで、FF車随一のコーナリング性能と評されました。

 デビューイヤーには「1994-1995 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど好調なセールスを記録しましたが、やはりクーペ人気の低迷から兄貴分の「GTO」とともに2000年をもって販売を終了しました。

●マツダ「マツダスピード ファミリア」

 かつて、マツダのラインナップで主力車種として「ファミリア」があり、2004年に9代目をもって生産を終了しました。後継車は「アクセラ」で、現在の「マツダ3」です。

 この最終モデルの9代目では2001年に100台限定でホットモデルの「マツダスピード ファミリア」が販売されました。

 マツダスピード ファミリアは1.5リッターセダンをベースとし、ステーションワゴンの「Sワゴン」用の2リッター直列4気筒エンジンに換装され、トランスミッションは5速MTのみです。

 エンジン内部に手が加えられ、ハイコンプピストン、専用のカムシャフト、軽量フライホイール、吸排気ポート加工、ステンレス製エキゾーストマニホールドの採用などのメカチューンにより、最高出力は175馬力を誇りました。

 また、スポーツサスペンション、専用の前後スタビライザー、大径ディスクブレーキなど、シャシ性能も強化。

 外装色は専用の「スターリーブルーマイカ」のみで、ゴールドのホイール、リアウイングを含めた専用のエアロパーツが装着されるなど、見た目にもスポーティです。

 かなり本格的に仕立てられていたマツダスピード ファミリアですが、この100台のみで打ち切りとなり、現在ではかなりレアなモデルです。

コンセプトが異なる2台の2リッターFRスポーツ車とは?

●日産「シルビア」

 日産が誇るFRスポーツカーとして今も高い人気をキープしている「シルビア」は、1988年発売された5代目の「S13型」が大きな転換期となったといえるでしょう、

 この5代目のイメージを踏襲して、1999年に7代目のS15型 シルビアが登場しました。

 ボディはS13型以降で共通の2ドアクーペのみで、全長4520mm×全幅1730mm×全高1295mmと3ナンバーサイズだった6代目から全長4445mm×全幅1695mm×全高1285mmへとダウンサイジングされ、再び5ナンバーサイズに戻されただけでなくボディラインもエッジの効いたフォルムとすることで、シャープな印象を取り戻しました。

 搭載されたエンジンは6代目と同型の2リッター直列4気筒ターボ「SR20DET型」ですが、最高出力は220馬力から250馬力へとパワーアップを果たし、新たに採用された6速MTと車重を20kgほど軽量化したことも相まって、FRスポーツとして走りのポテンシャルは格段に向上。

 しかし、S15型 シルビアは排出ガス規制強化などの対応が困難なことや日産の業績悪化もあって、発売からわずか3年7か月後の2002年に生産終了となり、歴史に幕を閉じました。

●トヨタ「アルテッツァ」

 近年、国内のラインナップから数を減らしているセダンですが、1990年代はスポーティなセダンの全盛期だったといえます。

 そのなかの1台が1998年に発売されたコンパクトボディのFRスポーツセダン、トヨタ「アルテッツァ」です。

 やみくもに速さを競い合うことよりドライビングそのものを楽しむことをコンセプトに開発され、「AE86型レビン/トレノ」の再来という期待の高さからヒットを記録します。

 流麗でダイナミックなフォルムが特徴のボディに搭載されたエンジンは、2リッターの直列4気筒DOHCと直列6気筒DOHCで、なかでも4気筒モデルはスポーツユニットとして誉れ高い「3S-GE型」を搭載し、最高出力は210馬力(MT)を発揮。

 トランスミッションは4気筒車では6速MTとステアマチック付の5速AT、6気筒車は当初5速ATのみでしたが、遅れて6速MTが設定されました。

 足まわりは4輪ダブルウイッシュボーンとし、ドイツのニュルブルクリンクで磨きをかけ、優れた高速安定性と高いコーナリング性能を両立。

 また、バッテリーをフロントサスペンションタワーの後方へ、燃料タンクはリアシートの下に配置するなど、重量物をホイールベース内に収めることによって最適な前後重量配分とするなど、かなりこだわった設計でした。

 2001年にはファイナルギアの変更や足まわりを改善するマイナーチェンジがおこなわれますが、2005年をもって販売を終了。

 後継車は国内でも展開されたレクサスブランドの「IS」で、プレミアムなスポーツセダンへとコンセプトは変化しました。

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 国内メーカーの現行モデルで2リッターエンジンの高性能車というと、すでに生産終了が決定したホンダ「シビックタイプR」や、トヨタ「スープラ SZ/SZ-R」くらいです。

 2021年秋にデビュー予定の新型トヨタ「86」、スバル「BRZ」は2.4リッターエンジンとなるため、高性能な2リッターエンジンの減少に歯止めがかからない状況といえます。

 それでも、トヨタが「カローラツーリング」の限定車に2リッターエンジンを搭載すると、あっという間に完売するなどまだまだニーズはあるようですが、ダウンサイジングターボやハイブリッド車が主流となった今、劇的な復活は難しそうです。