2021年5月14日におこなわれたマツダの2021年3月期決算において、2030年の電気自動車(EV)比率の目標を25%へと一気に引き上げると発表しました。現時点でマツダのEVは「MX-30 EV」のみとなりますが、この高い目標をどのようにして実現させるのでしょうか。

マツダがEV比率の目標を一気に5倍へ!? 実現できる?

 マツダは、2021年5月14日、2021年3月期決算をおこないましたが、丸本明社長は記者との質疑応答のなかで、「2030年までに電気自動車(EV)販売比率(グローバルで)4分の1を目指す」と発言しました。

 マツダは、2018年10月におこなった技術説明会で「サスティナブルZoom-Zoom宣言2030」の電動化戦略を発表した際、2030年には新車100%を電動化するとしたうえで「EVは5%程度」していましたが、それから2年7か月が経過し、2030年のEV比率の目標が5%から25%へと一気に5倍になったのです。

 それほどまでに、世の中の状況が大きく変わっているということになります。

 なお、マツダは近日中に、「サスティナブルZoom-Zoom宣言2030」のアップデートについて技術説明会を開き、2030年までにEV販売25%を含めた新たな指針を示すといいます。

 マツダの直近における電動化戦略のロードマップはどのようになっているのでしょうか。

 2019年11月1日に発表した中期経営計画(2020年3月期から2025年3月期)では、2020年から2021年以降にかけてBEV(電気自動車)と、エンジンを発電機として使うBEVを導入すると明記しています。

 これは「MX-30 EV」のことで、2020年夏に欧州、2021年1月に日本へ導入されました。

 さらに、ロータリーエンジンを発電機とする「MX-30レンジエクステンダー」を2022年に日本導入することが決まっています。

 一方、2021年以降にプラグインハイブリッド車の導入が計画されていますが、これは
エンジンをこれまでの横置きから縦置きに変更して、「ラージ商品群」で採用することになっています。

 具体的には次期「マツダ6」、また同車とプラットフォームを共通化する新たなるFRのSUV(CX-50?)が、直列6気筒と直列4気筒プラグインハイブリッドの2本立てになる可能性が高いと思われます。

 マツダとしては、新投入のラージ商品群で高付加価値に対して納得いく価格を設定することで収益性のアップを狙っています。

 同時に、既存客のラージ商品群への乗り換え需要もスムーズにおこなえるようにするため、商品グレード多角化による価格帯の拡大を実施、お求め安いグレードも設定する予定です。

トヨタのEV向けプラットフォーム「e-TNGA」をマツダが活用!?

 現時点で明らかになっているマツダ電動化戦略では、EVについては「MX-30 EV」しか具体的な方向性が示されていません。

 しかし、日本政府による2050年カーボンニュートラル実現に向けた「グリーン成長戦略」発表や、欧州でのCAFE(企業毎平均燃費)の強化により、たとえばボルボやジャガーのように、2030年に100%EV化を宣言するメーカーが一気に増えてきました。

 国産メーカーでは、ホンダが2040年までにグローバルで新車100%をEVと燃料電池車にすることを表明しています。

 こうして、世の中の様子が大きく変化しているなか、マツダとしても早急にEVモデル開発を進める必要があります。

 その手段としては考えられるのが、トヨタとの連携強化です。

 2019年発表の中期経営計画のなかで、「仲間づくりへの投資」という項目で、「EV C.A. Sprit社でEVに関する共同基盤技術開発を推進」という表記があります。

 このEV C.A.Sprit社はトヨタやマツダが共同出資した企業で、すでにその使命を終えていますが、この「共同基盤」とはトヨタでいうEV向けプラットフォームの「e-TNGA」を指します。

 e-TNGAの協業では、トヨタが2021年4月の中国上海モーターショーでスバルと共同開発した四輪駆動EV「bZ4X」を世界初公開しました。

 その半月後の同年5月には、スバルが「bZ4X」の事実上の兄弟車と見られる「ソルテラ」の存在を明らかにしており、両モデルとも2022年年央に日本を含むグローバルで発売予定です。

 こうした考え方を、今後はトヨタとマツダでもおこなう可能性が高いのではないでしょうか。

 トヨタの電動化戦略の基本姿勢については、2019年6月に「EV普及を目指して」という記者会見をおこなっています。

 そのなかで他メーカーとの共同企画として、ミディアムSUV(現在のbZ4X・ソルテラ)でスバルと、コンパクトカーでスズキとダイハツとの連携が示されています。

 そのほかに、ラージSUV、ミドルサイズセダン、ミドルサイズクロスオーバー、ミドルサイズミニバンと合計6つのEVバリエーションを想定しています。

 これらのいくつかにおいてマツダがe-TNGAを活用することで、2030年までにグローバル販売25%のEV化を実現することは十分に可能だと思います。

 それからもうひとつ、今回のマツダの決算発表の質疑応答では水素の活用についても質問が出ました。

 トヨタが国内モータースポーツのスーパー耐久に「カローラスポーツ」の水素エンジン仕様を導入しているほか、日本自動車工業会として水素を活用したe-fuel導入を促進するという発表があったからです。

 これについて丸本社長は、「カーボンニュートラルに向けては、マルチソル―ションが必要だ。ロータリーエンジンと水素の相性が良いことは(過去の車両開発で)実証済み。水素やCNGのインフラを活用する、カーボンニュートラルに向けたひとつの技術として(マツダとして)担保している」というに留めました。

 マツダの電動化戦略の最新情報のさらなる紹介については、近日中に開催予定の技術説明会を待ちたいと思います。