信号待ちを避けるために、交差点角地にあるコンビニを通り抜ける行為は「コンビニワープ」と呼ばれ、近年では死亡事故も発生していて社会問題化しています。これほど危険なコンビニワープを道路交通法違反で取り締まることはできないのでしょうか。

「コンビニワープ」で死亡事故も!道路交通法で取り締まることは難しい?

 信号を通らずに交差点角地にあるコンビニを通り抜ける行為は、「コンビニワープ」と呼ばれており、近年では死亡事故も発生していて社会問題化しています。

 これほど危険なコンビニワープを道路交通法違反で取り締まることはできないのでしょうか。

 赤信号の待ち時間を短縮するためにおこなわれる「コンビニワープ」は、近年問題視されています。

 コンビニワープとは、進行方向にある信号が黄色から赤に変わりそうな際に、信号が青に変わるのを待って右左折せずに、信号機の直前にある角地のコンビニエンスストアの駐車場を通り抜けて、右左折する行為を指します。

 通り抜けるのはコンビニに限らず、ガソリンスタンドやファミリーレストランなど、比較的広い駐車場や施設となります。このため、「ガソスタワープ」などとも呼ばれています。

 実際に、2020年3月に大分県宇佐市の飲食店の駐車場で3歳の女児が、走ってきた軽トラックにはねられて死亡したという痛ましい事故も起きています。

 軽トラックを運転していた男性は、警察の調べに対して「近道をしようとした。女児に気づいてブレーキを踏んだが、間に合わなかった」と話していたといい、赤信号待ちを避けるために駐車場に進入したようです。

 重傷事故や死亡事故にもつながるコンビニワープはとても危険な行為ですが、道路交通法などで取り締まることはできないのでしょうか。

 コンビニなどの駐車場に入るには歩道や路側帯を横切ることになります。

 その際は、歩道や路側帯に通行人がいないか、または駐車場に人がいないかの確認が必要です。

 歩道や路側帯を横切る前に一時停止をすることは、道路交通法第17条第2項で「車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない」と定められています。

 一方でコンビニワープをおこなう人は、一時停止せずにそのまま歩道や路側帯を横切り、店舗駐車場に侵入してくることもあり得ます。

 このようなドライバーは路側帯を走るバイクや自転車、歩道にいる歩行者、駐車場内のクルマの動きなどをしっかりと確認できているとはいえません。

 実際のところ、コンビニワープは多発しているのでしょうか。中部圏にあるコンビニオーナーは次のように話しています。

「当店は、交差点に面して広い駐車場があるのでショートカットをする人は多いです。

 1日の具体的な台数など把握できていませんが頻繁にその様子を見かけます。

 迷惑していますが、すぐに通り過ぎてしまうために注意はできません。また、借りている土地ということもあり、『ここは通っちゃダメ』ともいえないのが現状です」

 では、実際にコンビニワープを道路交通法で取り締まることは可能なのでしょうか。

 道路交通法は公道上での運転について定められた法律です。この場合の公道とは、駐車場などの私有地や私道は道路交通法の適用範囲外となります。

 とある警察署の交通課の担当者は「コンビニワープそのものの件数は把握していないが、管内のコンビニからの相談は受けています」と話しています。

 一方で、道路交通法で道路は「不特定多数が行き交う場所」とも定義されています。

 前出の交通課の担当者は、「コンビニやスーパー、ファミレスの駐車場は、私有地ではあるが、不特定多数の人が行き交う場所でもあり、道路と判断されることもあります」と指摘しています。

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 コンビニワープは、時間短縮のためにドライバーが一時的におこなっているため、現場を目撃しない限り直接取り締まるということは難しいといえるでしょう。

 一方で、実際に痛ましい事故も起きており、ドライバーの事情だけで公道ではない場所を走行することは非常に危険なので、おこなわないように努めることが大切です。

コンビニワープをなくすためにできる対策は?

「信号待ちを回避したい」というドライバーの身勝手な理由で、死亡事故や重傷事故を引き起こす危険性があるコンビニワープ。

 道路交通法の適用が難しいとなれば、ほかに取れる対策はないのでしょうか。

 駐車場内で人身事故を起こすと刑法上の責任も問われ、人をはねれば刑法の自動車過失運転致死傷罪となり、7年以下の懲役または禁固もしくは100万円以下の罰金が適用されます。

 また、コンビニやファミレスの駐車場は、店舗側がそこで買い物をしたり、食事をしたりする人のための場所といえます。

 そのため、赤信号の信号待ちを回避するドライバーのために用意した場所ではなく、コンビニ側の意図に反した駐車場の利用は建造物侵入罪に問われる可能性もあります。

 ただ、不特定多数の人が訪れるコンビニやファミレスの駐車場で、訪れる人の駐車の目的をチェックすることは現実的ではないかもしれません。

 また、コンビニによっては駐車場と歩道の間にポールを置いて区切ったり、時間帯によって片方の出入り口を塞いだりするなどして、通り抜けできないようにするといった対策を取っているところもあります。

 最近では、駐車場の運営会社に委託して、店舗の利用者は駐車無料として、それ以外の用途で駐車場内に入るクルマからは駐車料金を取るファミレスも都心部では目立っています。

 駐車場を店舗利用者以外は有料とすることで、赤信号待ちを回避するためのコンビニワープを防止することができるといえます。

 コンビニでも駐車場の一部を有料化する動きも出ていますが、そもそも買い物客の滞在時間の短いコンビニでは、すべての駐車場を有料化することは現実的ではありません。

 無人化が進み、駐車するクルマがほとんどいないガソリンスタンドではなおさらです

 ただ、最近では防犯カメラを駐車場に設置しているケースもあります。

 前出とは別の警察関係者は、コンビニワープの対策として「駐車場の入り口に『コンビニ利用者以外の駐車場利用禁止』や、『防犯カメラ作動中』などといった看板を出しておくだけで、コンビニワープの抑止効果はあるかもしれません」と話します。

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 わずか数秒、数十秒の時間短縮のために、人の命を奪うことにもなりかねないコンビニワープ。

 重大事故を起こせば、ドライバーも刑法で罪が問われることになりますが、抑止としては店舗側の自衛策に頼らざるを得ないのが実情といえます。

 重大事故を起こせば、自分や自分の周囲の人だけでなく、被害者やその周囲の人の一生を台無しにしてしまうことになります。

 ドライバーは時間に余裕を持って運転計画を立て、モラルを守った持った安全運転を心がけましょう。