高速道路上で目的ICを通過したり誤って高速道路に進入したりしても余計な通行料金を支払うことなく戻ることが可能な「特別転回」という制度が存在します。近年では、この特別転回が増加傾向にあり1か月に全国で3万5000件も発生しているようです。特別転回とは、どのような制度なのでしょうか。

1か月に全国で3万5000件発生する「特別転回」とは?

 高速道路で降りるIC(インターチェンジ)を間違えた場合や、誤って高速道路に進入した際は多くの場合「特別転回」という制度を利用して追加料金を支払うことなく元の場所に戻ることができます。

 近年、この特別転回件数が急増しているといいますが、どのような背景があるのでしょうか。

 目的の高速道路ICを通り過ぎてしまったり、利用するつもりがない高速道路に間違って入ってしまったり、というように高速道路の出入り口で諸々の「誤り」が起こった場合、余計な通行料金を支払うことなく「特別転回」という扱いで本来のルートに戻れる制度が存在します。

 例えば、東名高速道路に東京ICから乗って、横浜青葉ICで降りるつもりだったのについうっかり横浜青葉ICを過ぎてしまったような場合、次のICで特別転回の申し出をすれば余計な料金を支払うことなく本来の目的地である横浜青葉ICに戻ることができます。

 この制度について、「知らなかった。これまで普通に次の料金所で出て、また高速に乗りなおしていた!」という人もいるかもしれません。

 具体的には、横浜青葉ICの次、横浜町田ICを出る際、ETCレーンではなく有人ブースがある一般レーンに進みます。

 そこで料金所スタッフに「横浜青葉ICで降りるつもりが通り越した」ことを伝えます。

 その際、最初に乗ったICや本来降りる予定だったICを改めて聞かれるので正確に答えましょう。

 その後、料金所スタッフから指示された方法で再び東名(上り線)に乗り次の横浜青葉ICでETCレーンを利用して降りると、余計な料金(横浜青葉→横浜町田→横浜青葉)を支払うことなく、本来降りる予定だった横浜青葉ICから降りることができます。

 また、間違えて高速道路に入ってしまった場合は、入口料金所の通行券を受け取る機械にインターホンがあるのでこれを通じて料金所スタッフに申し出ましょう。料金所スタッフの指示に従って、安全に元の道路に戻ることができます。

 ちなみに特別転回の方法にはいくつかのパターンがあります。ICのすぐ近くに高速バスのバス停がある場合は、バス専用道路を使ってのUターンを指示されることもあります。

 また、最近はIC[太田1]付近に特別転回車用の一時待機スペースが用意されているところもあります。

 なお、道路の構造、またはほかの理由で特別転回ができないケースもあることも知っておきましょう。

 特別転回を申し出るケースは、大きく分けて「誤流出」(降りるべき出口を間違えた)と「誤進入」(入るつもりはないのに高速道路に入ってしまった)このふたつに大別されます。

 割合からいうと「誤流出 5:誤進入 2」と、圧倒的に誤流出が多くなっています。

 2019年1-2月の1か月間におけるNEXCO3社と本四高速における申出件数は、次のとおりです。

 東日本:誤流出1万1565/誤進入4039=合計1万5604
 中日本:誤流出9457/誤進入4355=合計1万3812
 西日本:誤流出4073/誤進入1386=合計5459
 本四国:誤流出269/誤進入231=合計500
 全合計:誤流出2万5364/誤進入1万11

 1か月あたりの特別転回申し出の総合計は3万5375件です。1日あたりだと約1200件もの特別転回がおこなわれていることになります。

 予想外に多い数字ですが、実はこの申し出回数はさらに増加傾向にあるそうです。

「逆走対策」によって特別転回が増えている!

 特別転回が増加傾向にある理由は、全国各地のICで「逆走対策」が進められてきたことに大きな要因があります。

 実は、「特別転回の数が増える=逆走対策がうまくいっている」ことを意味しています。

 逆走対策を強化することによって、「これまで高速道路を間違えて利用していたクルマが、逆走せずに特別転回を申し出るようになった」ということです。

 具体的に誤流出・誤進入などの道間違いによる逆走事案が発生したICに対してどのような対策が施されてきたのでしょうか。

 NEXCO3社によると、道間違いによる逆走事案が発生したICは全国158か所あり、これらを特別転回の優先対策箇所として設定し特別転回の周知(料金所前後の逆走対策)をおこないました。

 最近、料金所近辺に「降りるICを間違えた方一般レーンで係員へお申し出を」など、焦って逆走をしないよう呼び掛ける看板を見かけることが増えてきましたが、これも重要な逆走対策のひとつです。

 NEXCO3社では、2021年3月末までに構造上対応可能なすべてのICに特別転回を促して逆走を防止する案内を全国約900施設に掲出。

 現在は予定したすべての施設に特別転回を促す案内設置が完了し、続々と全国各地で効果が報告されています。

 実際に、秋田自動車道(秋田道)の秋田南ICでは、2015から2018年に誤進入・誤流出が原因となった逆走事案は3件発生しています。

 対策前(2019年1月16日から2月15日)は、特別転回の申し出が5件だったのに対し、対策後(2019年6月17日から7月16日)は25件に増加。逆走事案の発生はゼロとなりました。

 また、日本海東北自動車道(日東道)の新潟亀田ICでは、前述の秋田道と同じ期間で逆走事案が5件発生。

 しかし、対策前では51件だった特別転回の申し出が、対策後は53件に増え、逆走事案の発生はゼロになっています。

※ ※ ※

 高速道路上ではUターンやバック、そして逆走はもちろん厳禁です。逆走事故はほかの高速道路上の事故に比べて死亡率が約15倍になるというデータも出ています。

 もし、特別転回ができないICであっても、いったん高速を降りて再度乗り直しても数百円から1000円前後の高速料金を余分に払うだけで、大惨事のリスクは大きく軽減します。

 初めて出入口間違いを起こしてしまうと、焦ってパニックになってしまいそうですが特別転回の制度を思い出して冷静に行動をしましょう。