高速道路などにおいて、一番右車線を走行し続けることは違反行為となります。巷では「2kmまでなら走行しても問題ない」という話もありますが、実際にはどのような状況で違反となり、どのような罰則が定められているのでしょうか。

追い越し車線をずっと走ることはどんな交通違反になる?

 高速道路(自動車専用道路含む)を走っていると、スピードの速いクルマが一番右側の追い越し車線を走って、ほかの車線のクルマを追い越す場面を見かけます。
 
 では、追い越し車線を利用する際、左側の車線に移らずに追い越し車線を走り続ける行為は、どのような違反に当たるのでしょうか。

 通常、高速道路や自動車専用道路などの車道では、複数の車線が設けられている場合、走行する車線が定められています。

 道路交通法第20条では、「車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない」という規定があります。

 ただし、第20条には続きがあり、「当該道路(略)の左側部分に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる」とされ、3つ以上の車線がある場合は、一番右側以外の2車線を走行することとなります。

 一方で、高速道路では追い越し車線が設けられています。この追い越し車線とは、高速道路で一番右側の車線のことを指し、走行車線を走っている際に、前方のクルマを追い越すための車線です。

 追い越しをおこなう際は、道路交通法第20条第3項で「追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない」とあり、一番右側の車線を走行することが規定されています。

 このように、法律による追い越しをおこなう以外は、左の2車線を使うよう定められていますが、追い越し車線を走り続ける行為は、どのような違反なるのでしょうか。

 追い越し車線を走り続けることは「車両通行帯違反」に該当し、違反点数は1点、反則金は普通車の場合6000円が科されます。

 警視庁の「高速道路における交通違反取締り状況」の資料をみると、2018年の法令違反総数49万4528件のうち、2番目に多い違反が「車両通行帯違反(6万1773件/12.5%)」であることが分かっています。

 また、追い越し車線を長時間走行すると、スピードが速い状態で走り続けることになるため、最高速度違反で取り締まられやすくなることも考えられます。前出の資料でもっとも多い違反は「最高速度違反(33万6406件/68%)」です。

 さらに、追い越し車線を走行し続けることで、スピードが上がった状態が続き、その結果、前のクルマとの距離が縮まり、車間距離不保持で取り締まられる可能性もあります。

 前出資料で3番目に多い違反は「車間距離不保持(1万1793件/2.4%)」です。

 このように、追い越し車線を走行すること自体違反行為につながり、走行し続けることで別の法令に抵触する可能性があるため、十分に注意する必要があります。

 追い越し車線の長時間の走行について、都内警察署の交通課担当者は以下のように話します。

「高速道路は、基本的に左側2車線は走行車線、一番右側は追い越し車線と決まっています。

 そのため、一定の追い越しをおこなったら、走行車線に移るよう心がけましょう。最近は、あおり運転などのトラブルにつながりかねないため、より一層注意が必要です」

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 車両通行帯違反に関して「2kmまでなら走行しても問題ない」という話がありますが、前述とは別の警察関係者は「厳密に●●kmという数字は決まっておらず、その状況次第によって異なります」と話します。

 しかし、いくつかの自動車教習所などでは「あくまでもひとつの説明として『おおむね2km以下』という話をしている」といい、それらの話が「2km以下なら問題ない」というふうに広まったと考えられます。

右がダメなら左は? 左側から追い越すのは交通違反になる?

 追い越し車線は一時的に利用する車線であり、通常は左2車線を走るよう定められています。

 一方で、追い越し車線をゆっくりと走行しているクルマを見かけた場合、左から追い越すのは違反になるのでしょうか。

 通常、追い越しは一番右側の車線と決まっているため、左側から追い越す行為は違反に当たります。

 道路交通法第28条でも、「車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(略)の右側を通行しなければならない」と定められています。仮に違反した場合、違反点数は2点、反則金は普通車の場合9000円が科されます。

 左側の追い越しについて、前出の警察署の交通課担当者は、次のように話しています。

「追い越し車線は基本的に一番右側と決まっているため、左から追い越すのも交通違反となります。

 道路交通法は違反を取り締まるものではありますが、事故が起きないためのルールでもあります。トラブルにならないためにも、個人が気をつける必要があります」

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 道路交通法第20条では、基本的には走行車線を走るように定められています。また、追い越し車線をずっと走ることは、道路交通法違反に該当します。

 そのため、高速道路などでは、追い越し車線の長時間の走行は避けるよう心がけましょう。