現行モデルで5代目となるスバル「フォレスター」がD型へと大幅改良しました。新型フォレスターはどこが進化したのでしょうか。

ネットで賛否のフロントフェイス 実物を見るとなかなか好印象!?

 個性派揃いのスバル車のなかでは「フォレスター」は質実剛健なキャラクターですが、1997年に初代モデルが登場して以降、着実にユーザーを獲得。いまやグローバル販売台数トップとスバルのエースへと成長しました。

 現行モデルは2018年に登場した5代目となり、スバルの年次改良のサイクルに合わせてアップデートを実施。

 2019年の改良(通称:B型)は利便性の向上、2020年の改良(C型)は1.8リッター直噴ターボ(CB18)を搭載した「スポーツ」グレード追加が主でしたが、今回の改良(D型)はスバルお得意の大幅改良になります。ではフォレスターはどのような進化を遂げたのでしょうか。

 ひとつ目は「見た目のアップデート」です。フォレスターは多種多彩なクロスオーバーSUVのなかで「直球勝負」なポジションのモデルですが、だからこそ周りに埋もれない“個性”をプラスさせたということでしょう。

 現行モデルはひと目でスバルとわかる統一感を目指した「ダイナミック&ソリッド」を全面採用していますが、今回はフロントマスクをその進化版となる「ボールダー」を一部盛り込んだデザインにアップデート。

 ボールダーとはユーザーの「楽しい心の動き」を表現したデザイン手法で、新型「レヴォーグ」から採用されています。

 具体的には大型化されたヘキサゴングリルと鋭さがプラスされたヘッドランプ、立体感をさらに高めたフロントバンパー(全長は従来モデル+15mmですが、アプローチアングルは21.3°から21.4°に拡大)、サイドへの連続性を高めたLEDフォグランプ&フォグランプカバーなどの変更で、よりシャープで、より力強いデザインに仕上がっています。

 このフロントマスクはネット界隈では賛否があるようですが、実車を日の光の下で見た筆者(山本シンヤ)は好意的に受け止めています。

 とくに最上級グレードの「アドバンス」は新形状のアルミホイールの採用も相まって先進性もあるなと感じましたが、欲をいえばリアランプ周りにも手を入れて欲しかったです。

 一方、インテリアは小変更に留まりますが、アクティブな「X-BREAK」グレードはシート表皮の変更(防水性のあるポリウレタン素材)や加飾の見直し(レッドオレンジステッチ&ブレインズガンメタリック塗装)、アドバンスはナッパレザー採用の本革シート(ブラウン内装はブラウン&ブラックの2トーン仕様に変更)などの採用がおこなわれており、グレード毎のキャラクターがより明確になりました。

新型レヴォーグ同様に「新世代アイサイト」搭載で安心・安全も向上

 ふたつ目は「運転支援システム&安全装備のアップデート」です。アイサイトは新型レヴォーグから採用の「新世代アイサイト」へと刷新。ちなみにステレオカメラはヴィオニア製で従来比約2倍の画角を誇ります。

 さらに、このカメラに採用される半導体はザイリンクス(アメリカ)、CMOSセンサーはオンセミコンダクター(アメリカ)を採用することで画像認識・制御ともに大きくレベルアップ。

 その結果、プリクラッシュブレーキの作動領域拡大(交差点での右左折時の衝突回避をサポート)や「アイサイトツーリングアシスト」の性能向上(より精度高く、より滑らか、より自然に)、衝突回避速度差のアップ、緊急時プリクラッシュステアリング、エマージェンシーレーンキープアシストなどの新機能の追加など、安心・安全がより高められました。

 ただし「アイサイトX」は非搭載となっています。この辺りはクルマのキャラクターを考慮した判断だと思いますが、高精度マップを含めた複雑な追加デバイスが必要になるので、改良レベルではなかなか厳しいのでしょう。

 また、従来モデルにも採用されていたアダプティブドライビングビームは細かい遮光が可能なアレイ式に変更され、従来式(ロータリー式)よりもハイビーム照射範囲の拡大と切り替えが素早くなっています。

 細かいところでは、スマートリアビューミラーの機能向上(よりクリアな映像と視認範囲の拡大)、緊急時エンジン停止割り込み表示(運転走行中にプッシュスタートボタンを3回連続押すと、エンジン緊急停止をおこなう)なども追加。

 加えて、ドライバーモニタリングシステムを用いたジェスチャーコントロールも追加されました。

 手を「パー」の状態で設定温度アップ、「グー」の状態で設定温度ダウン(共に調整ダイヤル4操作分=2度きざみ)が可能になります。

 実際に試してみましたが、一度コツを掴むことができるとほぼ百発百中の精度です。フォレスターは操作系と表示部が分かれているので、ジェスチャーは視線移動が抑えられることから便利なだけでなく、安全運転にも高く寄与してくれるはずです。

 これらのアイテムはフルモデルチェンジなどのタイミングでもなかなか刷新が難しいといわれていますが、改良レベルでも大きく手を加えてくる姿勢は安全・安心にこだわるスバルらしい進化といえるでしょう。

 みっつ目は「走りのアップデート」です。サスペンションセットアップの見直しにより、ハンドリングの純度アップと乗り心地の向上がおこなわれているといいます。

 恐らく、新型レヴォーグや新型「BRZ」の開発で培ったノウハウや知見がフィードバックしているのは間違いないですが、こればかりは実際に乗ってみないとわかりません。しかし、我々の期待は裏切ることはないでしょう。

 さらに従来モデルではX-BREAKのみの設定だったSIドライブと協調したアダプティブ変速制御「e-アクティブコントロール」がすべてのe-BOXERモデルに拡大展開されたのもポイントです。

 オフロード走行に役立つ「X-MODE」もアップデートされており、従来モデルは40km/h以上で自動的に解除されましたが、新型は自動復帰(速度に応じて制御の有無を切り替え)やヒルディセントコントロールの制御変更で速度のコントロール性が引き上げられており、結果的に安心・安全に繋がっています。

 このように総合力をより引き上げた新型フォレスターですが、個人的には従来モデルから“箱代え”したくなる価値がある一台だと思っています。

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 ちなみに今回の事前撮影会がおこなわれた場所は、こちらも初披露となるスバルのオープンスタジオ「SUBARU里山スタジオ」になります。

 元キャンプ場とその取り付け道路を活用したリアルなアウトドアシーンを模した施設で、さまざまな用途に活用できそうな雰囲気。

 現在はメディア向けのみの対応ですが、将来的にはユーザー参加型イベントへの活用も検討しているといいます。それが実現できたら、新たな「スバルの聖地」になる予感もしています。