トヨタ「スープラ」といえば世界中に多くのファンが存在する名車ですが、自動車オークションでは、さまざまな個体が高値で落札されています。そのなかには、どのようなモデルが存在したのでしょうか。

もはや手が届かないレベルになりつつある「スープラ」

 トヨタのスポーツカーを代表する「スープラ」。2019年には17年ぶりとなる新型「スープラ(A90)」がBMWと共同開発される形で発表されました。
 
 また、先代となるA80は人気映画などで活躍したことなどもあり、オークションなどで高額な価格を付けて取引されています。
 
 歴代スープラにはどのような伝説があるのでしょうか。

 世界中には、さまざま自動車オークションが存在します。そのなかでも、コレクター向けオークションとして有名なのが「バレット・ジャクソン」です。

 バレット・ジャクソンとは、米国アリゾナ州スコッツデールに本社を置く自動車コレクターを対象にした世界最大のオークションです。

 1960年代初頭、アリゾナに住む2人の自動車愛好家、ラス・ジャクソン氏とトム・バレット氏の軽い雑談から始まり、1971年よりコレクター向けの自動車オークションとして本格的にスタートしました。

 本拠地であるスコッツデールのほか、ネバダ州ラスベガスやテキサス州ヒューストンなどで開催されており、世界中からオンラインでの入札も可能で、2021年で50年の歴史あるコレクター向けオークションです。

 なかでも、1980年から1990年代の右ハンドル仕様、オレンジ色のウィンカー、サイドバイザー、車検ステッカーなどの日本独自の装備や仕様や、「25年ルール」が適用されてアメリカでの輸入販売登録が許可されたクルマそのものを指す「JDM(Japanese Domestic Market)」と呼ばれるクルマの人気が急激に高まっているため、国産スポーツカーなどは人気となっています。

 とくに近年は映画「Fast&Furious」(邦題:ワイルド・スピード)に登場する日産「スカイラインGT-R」をはじめ、歴代スープラなどがバレット・ジャクソンに出品され高額で落札される機会も増えているのです。

 直近では、2021年6月にラスベガスで開催されたバレット・ジャクソンで、ワイルド・スピード1作目のストック1号車(撮影予備1号車)が、主演のポール・ウォーカーが実際に劇中で運転したこともあって日本円約6000万円で落札されたことで大きな話題を集めました。

 そのほかにどのような歴代スープラがバレット・ジャクソンに出品されていたのでしょうか。

 ●「A80(1997年式)」
 落札価格:8万8000ドル(約968万円)
 走行距離:5万8240マイル(約9万3184km)

 こちらは1997年8月に旧関東自動車工業(2012年にトヨタ自動車東日本に社名変更)で製造されたA80のタルガトップモデルです。

 2021年6月にラスベガスで開催されたオークションにて約968万円で落札されました。

「15周年モデル」の意味は諸説ありますが、もっとも有力なのは設計を一新したA60型セリカスープラ(日本では2代目セリカXXとして発売)のデビュー(1981年)から15年という説です。

「1981+15=1996では?」と思う人もいるかもしれませんが、アメリカではA60型セリカスープラが1981年夏に「1982年モデル」として販売が始まったため、1997年で15周年となります。

 なお、1997年にアメリカで販売されたスープラはすべて「15周年記念モデル」との名前がついています。

 合計1379台のうち特別色の「ディープジュエルグリーンパール塗装」のモデルは384台が販売されていますが、外装色はそのディープジュエルグリーンパールで、内装色はブラック&タンレザー。

 3リッター2JZ-GTE型直列6気筒ツインターボエンジン、ゲトラグ233(V160型)6速MTを搭載し、最高出力320hp(約324馬力)を発生。

 約968万円で落札されたこのスープラは、走行距離が9万kmを超えていますが、A80型スープラの人気を反映した高額車といえるでしょう。

 なお、アメリカでは1998年に排ガス規制が強化されたことでスープラ(ターボモデル)の販売を終了しています。

 ●「A80(1997年式)」
 落札価格:17万6000ドル(約1936万円)
 走行距離:6万9891マイル(約11万2477km)

 こちらも同じ「15周年記念仕様」のA80ですがボディはタルガではなくクーペです。

 前述のアニバーサリーエディションに比べてちょうど2倍の1936万円で落札されています。

 クーペモデルであることや、外装が非常にきれいなことなどが高値で落札された理由と考えられます。

 社外パーツとなる排気システムとローダウンスプリング以外はノーマル状態です。

過去には2億円超えで落札されたスープラも存在!

 ●「A70(1993年式)」
 落札価格:7万4800ドル(約823万円)
 走行距離:191マイル(約305キロ)

 2021年6月にラスベガスで開催されたオークションでは、30年前のスープラも登場しました。

 走行距離わずか300キロというほぼ新車のA70のタルガトップです。アメリカでのスープラとして3世代目。

 日本ではこのA70でセリカから独立してスープラという新しい車名が与えられました。

 このスープラのすごいところはほぼ新車ということです。最初のオーナーに納車されたのは1990年8月31日で、長い間コレクションとして保管されていました。

 3リッター7M-GTEU型直列6気筒ターボエンジンは5速MTと組み合わされ、メーカーオプションのスポーツパッケージ(電子サスペンション、本革パワーシートなど)が装備されています。

 ダブルウィッシュボーンサスペンション、プログレッシブパワーステアリング、オートエアコン、デフォッガー付きのデュアルカラーコーディネートされた外部電動ミラー、LEDタイプのハイマウントブレーキライト付きリアスポイラーなど豪華装備が満載されています。

 新車時からずっと同じ状態ということで新品のオーナーマニュアルに始まり、納車時のプラスチックカバーまでが残っているという非常に珍しい個体です。

 ●「A60(1985年式)」
 落札価格:8250ドル(約90万7500円)
 走行距離:不明

 1985年式のA60はアメリカでは2世代目となり、日本では2代目「セリカXX」の車名で販売されていたモデルです。

 製造から35年経過しているこのような古いモデルは「サバイバーカー」と呼ばれます。

 走行距離が不明なのか記載がなく、一度全塗装されているとのことで、価格は約90万円で落札されています。

 ●「A90(2020年式)」
 落札価格:11万ドル(約1210万円)
 走行距離:739マイル(約1182キロ)

 バレット・ジャクソンで落札されたA90(GRスープラ)は過去に2台あり、いずれも非常に高額です。

 1台は、2019年1月19日に米国アリゾナ州で開催されたオークションで、落札されたのはA90の「生産ライン1号車」。

 マットグレーのボディカラーに赤いドアミラーが装着され、ツヤ消しブラックのアルミホイールを履いた世界に1台しかない特別なモデルです

 このA90は、210万ドル(約2億3100万円)という途方もない価格で落札されています。

 もう1台は、A90が2019年夏に販売した1500台限定の「ローンチエディション」をベースにしたモデルです。

 これは、トヨタがニューヨークヤンキースの殿堂入り選手となるマリアノ・リベラ氏のために特別に製作した1台。

 ドアに貼られた42番はリベラ選手の背番号ですが、シリアル番号も1500台作られたローンチエディションの42番目となっているなど、細かな部分まで配慮されたモデルです。

※ ※ ※

 これまで多くの歴代スープラがオークションにかけられてきましたが、それぞれに個性的なエピソードが存在します。

 今後も新たなスープラ伝説が築かれていくのかもしれません。