2021年6月10日から13日にかけてイタリア・ミラノで開催された「ミラノ・モンツァ・モーターショー(MIMO)」で、1台のクルマが観客の目を引いていた。その名は「Pambuffetti PJ-01」。いかにも戦闘的なスタイリングを持つこのクルマの正体を解説しよう。

ブガッティやパガーニと並んで注目された「パンブフェッティ」とは

 ブガッティ「ボライド」やパガーニ「イモラ」などとともに、MIMOに展示された「Pambuffetti(パンブフェッティ)PJ-01」は非常に多くの注目を集めた。このパンブフェッティという会社は、1985年にジュゼッペ・パンブフェッティが創業し、当初はバスのカスタマイズをメインの業務としていたそうで、今日までに1600台以上のバスを顧客のオーダーに合わせて製作している。

●パンブフェッティとはどんな会社なのか?

 その後、パンブフェッティは事業規模を拡大。自動車整備工場の床面積を2000平方メートルに広げたほか、ウルトラライトプレーン「C205」の生産もおこなっている。

 このレシプロ単発の航空機はウルトラライトプレーンとはいうものの、全長7.1m、翼間8.3mという大きさがあり、最高速度は260km/h、巡航速度は230km/h、航続時間は5時間という本格的なものである。

 このC205を開発するために、自社敷地内に850mの滑走路を持つ飛行場をつくり、さらには飛行学校やレストランまでオープンしている。いまなお成長を続けている新興企業グループということだ。

 そんなパンブフェッティ家に生まれたジュリ・パンブフェッティは、会社の成長を目の当たりにして育ってきた。5歳の時に父であるジュゼッペの膝の上でクルマの運転を覚え、6歳でワイヤー溶接をマスターし、13歳のときにはフィアット「500」のフレームをベースにバギーを製作したという逸話を持っている。

 そんなジュリ・パンブフェッティがスポーツカーに目覚めたのは、17歳の時に経験したシングルシーターフォーミュラカーでのサーキット走行がきっかけだったという。

 そしてジュリ・パンブフェッティが現在開発を進めているのが、このパンブフェッティPJ−01である。ボディには「PROTOTIPO 01」とあるので、試作第1号車ということだ。したがって、仕様は今後変更されていく可能性もあるわけだが、基本コンセプトに大きな変更は加えられないであろう。そこで、現在分かっている範囲で、このPJ−01を紹介していこう。

ランボルギーニ「ウラカン」のV10エンジン搭載か!?

●PJ−01のサイズは?

 まず、PJ−01のボディの構成だが、高張力鋼板とプリブレグカーボンのハイブリッドとなっている。

 ボディサイズは、全長4700mm×全幅2060mm×全高1150mm、車重は1100kgと発表されている。

 シートポジションは、F1からインスパイアされたもので、脚の位置が高くなっているのが特長。アクセル/ブレーキ/クラッチの3ペダルは、すべてオルガン式を採用している。

●PJ−01のエンジンは?

 搭載しているのは、5200ccV型10気筒自然吸気エンジンで、最高出力820ps、最大トルク800Nmである。ターボではないのは、マルチシリンダーエンジンのサウンドをそのまま楽しみたいというジュリ・パンブフェッティの思いがそこにあるからだ。

 確証はないのだが、どうもこのエンジン、ランボルギーニ「ウラカン」に搭載されている5.2リッターエンジンがベースとなっているのではないかという噂だ。

 ミラノ・モンツァ・モーターショーでは、パワーウエイトレシオは1.5kg/psに近いと発表されていたが、公表されているスペックを信じるならばパワーウエイトレシオは1.34kg/psとなる。このあたりはプロトタイプでありがちな誤差、と考えていいだろう。

●PJ−01の性能は?

 最高速度は320km/h、0-100km/h加速は3秒とのことだが、トランスミッションのギアレシオはカスタマイズが可能となっているため、走行するコースに合わせた最適なチョイスができるはずだ。

 そのトランスミッションは6速MTだが、シフトチェンジはスティックではなく、電動式アクチュエーターを介しておこなわれ、ドライバーはステアリングのパドルでシフト操作することになる。

 クイックリリース機構付きのステアリングは、カーボン製で中央に情報表示用3.5インチモニターを持つ。各種スイッチを内蔵していることもあって、デザイン的にはF1マシン用ステアリングにそっくりな、レーシーなものとなっている。

 サスペンションは4輪ともプッシュロッド式のダブルウィッシュボーンが採用されていて、ショックアブソーバーは減衰力調整式となっている。

●PJ−01のデザインの出発点は?

 ボディデザインを含めたエアロダイナミクス面においても、レーシングマシンからさまざまな技術がフィードバックされている。現在のボディデザインでのテストでは、280km/h走行時に500kgを超えるダウンフォースが発生するとのこと。

 その強大なダウンフォースとエンジンの出力を受け止めるホイールは、フロントに19インチ、リアには20インチというサイズのOZスーパーフォージアータがセットされている。ブレーキローターは、フロントΦ380mm、リアΦ365mmがセットされ、ブレーキにはアジャスタブルABSを装備している。

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 若い日に「フォーミュラカーのように操作ができるハイパーカーをつくりたい」と夢見たジュリ・パンブフェッティ。その第一歩となるハイパーカーが、このPJ−01だ。

 こうしたエピソードは、パガーニの生みの親であるオラチオ・パガーニにも通じるものがある。ひょっとしたら、これからパンブフェッティはパガーニのようなハイパーカーメーカーに成長するかもしれない。

 市販モデルとしてのハイパーカーではなく、フォーミュラカーから派生したハイパーカーをつくることで、これまでにはないカテゴリーを超えたパフォーマンス、スポーツドライビングの可能性を実現するべく、パンブフェッティでは現在も開発が進められている。