2021年7月12日から13日に掛けてマツダ「RX-7」が目の前で盗まれるという盗難事件がTwitter経由で大きな話題となりました。事件翌日には発見されたといいますが、どのような流れがあったのでしょうか。

大切な愛車(RX-7)が目の前で盗まれるという事件が発生…

 2021年7月12日未明、オーナーの目の前で愛車のマツダ「RX-7(FD3S)」が盗まれていく事件が発生しました。
 
 事件としては、翌13日には盗難されたRX-7が発見されたようですが、どのような状況下で発生した盗難事件だったのでしょうか。

 被害者となるオーナーのK氏は、当時の様子を次のように振り返っています。

「午前1時頃、自宅で食事をしていたらクラクションが鳴ったので窓を開けたら自分のFDのドアが開いていて頭が真っ白になりました。(クラクションが鳴ったのは犯人の手が当たったなどの理由。防犯アラームでなどが作動したわけではありません)

 動画を録りながら叫ぶことしかできませんでした。大きな声を出したら(窃盗犯が)諦めて逃げていくんじゃないかと思ったのです」

 しかし、犯人グループはK氏の絶叫に似た叫びに一瞬ビクッとしたものの、動じることなくその後、乗って来たと思われるSUVと共に逃げ去ってしまいました。K氏は茫然としながらも、Twitterに動画をあげて拡散を呼びかけました。

 この事件はすぐさまTwitterを中心にすさまじい勢いで拡散されていきました。

 筆者(加藤久美子)は、12日朝に知人のTVディレクターからの連絡でこの件を知り、被害者K氏にTwitterのDMを使って連絡をしてみたところすぐに返事が来て状況を聞くことができました。

 ほかにもTVの情報番組を中心に多くのメディアが今回の盗難事件を取り上げ、Twitterでもさらに拡散されていくなか、13日の夕方、愛知県稲沢市のコインパーキングでRX-7が発見されたというニュースが飛び込んできました。

 RX-7の発見から間もなくのタイミングでK氏と連絡が取れ、発見時の様子をうかがったところ、「一部、キーシリンダー周りが壊されていたもののほかに大きな損傷はなかった」といい、一安心です。

 SNSで話題になるとテレビ局も注目することになり、ニュース番組などに取り上げられるとケタ違いの拡散数となります。

 K氏の場合、盗難されてから(速報レベルではありましたが)数時間後の朝のニュース番組で紹介されていました。

 また、筆者が出演したフジテレビの「めざまし8」の場合は、ディレクターが名古屋まで取材に出向き、K氏の動画のほかに周辺の防犯カメラの映像を独自入手して番組内で何度も流されていました。

 わずか数時間で動画再生が100万回を超え、テレビ番組がこぞって取り上げる結果となり、それが車両発見につながった可能性も大きいでしょう。

 Twitterで同様に盗難報告をしてもそれほど拡散されないこともありますが、K氏の盗難の事実が広く拡散された理由は何だったのでしょうか。それには以下のことが考えられます。

 1. K氏が撮影した動画があったこと。K氏自身の声や犯人グループが逃走していく様子が生々しく残されていた。(テレビの場合は「動画」がマストといってもいいでしょう)

 2. K氏がTwitterのDM(ダイレクトメッセージ)を開放していたこと。(メディア側から連絡がとりやすい)

 3.K氏自身の対応が素早く取材に協力的だった。(DMで取材依頼をしたら速攻でOKの返事と電話番号含む連絡先を送ってくれた)

※ ※ ※

 これらのほかに、K氏自身のRX-7への思い入れや愛情、盗まれた悲しさと怒りがストレートに伝わってくるツイートを随時あげてきたことも多くのクルマ好き、旧車好き、マツダ車ファンの共感を広げたと考えられます。

国産旧車スポーツカーが連日のように盗難被害に遭っている!

 Twitterには毎日のように盗難車の報告と拡散を希望するツイートが流れてきます。

 SNSを使いこなす若い年代のオーナーが多い、ということも考えられますが国産旧車スポーツカーの盗難がとくに増えている印象です。

 この傾向は2020年春頃から一時とまっていましたが、2021年に入ってから再び増加傾向にあります。

 2021年6月以降、主な国産旧車スポーツカーとして以下の盗難被害が自動車盗難情報局に報告されています。

 愛知県:マツダ「RX-7(FD3S)」※K氏のクルマ
 愛知県:日産「スカイラインGT-R(BNR32)」
 愛知県:日産「スカイラインGT-R」
 愛知県:トヨタ「マークII(JZX100)」
 愛知県:トヨタ「チェイサー(JZX100)」
 茨城県:日産「スカイラインGTS-t」
 茨城県:ホンダ「S2000(AP1)」
 茨城県:ホンダ「S2000」
 東京都:日産「スカイラインGT-R(BCNR33)」
 東京都:トヨタ「スープラ(JZA80)」 
 東京都:日産「スカイラインGT-R」
 千葉県:日産「シルビア(S15)」
 静岡県:日産「シルビア(S14)」
 大阪府:ホンダ「インテグラタイプR(DC2)」
 奈良県:ホンダ「インテグラタイプR」

 また、上記以外にまだ自動車盗難情報局に登録されていない盗難車として7月10日以降、以下の車両の盗難がTwitter上で報告されています。

 日産「スカイラインGT-R(BNR32)」(愛知県名古屋市)、スバル「インプレッサ(GDA)」(大阪市)、日産「シルビア(S15)」(東京都足立区)など。

 ところで、自動車盗難の車種別盗難台数のランキングではトヨタ「ランドクルーザー」、「プリウス」、「アルファード」やレクサス「LX」などが毎回トップの常連に出てきます。

 1位から10位までのランキングを見ても前述のスカイラインGT-R(32/33/34)、シルビアやRX-7などの古い国産スポーツカーの名前は出てきません。

 これには理由があります。この「車名別盗難状況〜車両本体盗難」という統計は日本自動車損害保険協会が作成したもので、車名別のランキングに上がってくる盗難車は「盗難と認められて自動車保険を支払ったケース」のみがカウントされ、未遂などは含まれません。

 車両保険はそのクルマの「時価」で保険をつけることになるため、古いクルマはスポーツカーかどうか、盗難率が高いかどうかに関わらず自動車保険の車両保険をつけることが困難です。

 とくに、チューリッヒやSBI、ソニー損保など通販型自動車保険の場合、初度登録から15年から20年以上経過したクルマはほぼ一律に車両保険が不可。(新規ではなく継続して車両保険を付帯している場合は少額ですが付帯できる場合もあります)

 一方、代理店型保険のなかには旧車であっても交渉次第で購入価格と同レベルの車両保険を付帯することが可能な場合があります。

 警察庁にも聞いてみましたが、「車名別の自動車盗難認知件数は出していない」との回答でした。

 各都道府県単位で公表しているところもありますが、全国の数字をまとめたものは存在しないといいます。

 つまり、旧車盗難台数の正確なところはわかりづらく表に出てきにくく社会問題になりにくいのです。オーナーの防犯意識も低く、結果として盗難被害に遭いやすくなると考えられます。

 国産スポーツカーの価値は海外でどんどん上がっており、完成車もちろん部品としての需要も高まっています。

 SNSを介して「あなたのクルマ素敵ですね。JDM大好きです」などとメッセージを送って友達申請をおこない、クルマの場所を聞き出して盗まれるというような手口も増えて来ました。

 そのような価値のある国産スポーツカーに乗っているユーザーは、自分自身の盗難対策も今一度見直したほうがいいのかもしれません。