トヨタ「カローラ」は1966年の誕生以来、常に「売れるクルマ」としてトヨタの看板を背負ってきました。現在では、さまざまな車種がラインナップするものの、そのブランド力は衰えていません。では、なぜカローラは着実に売れ続けているのでしょうか。

トヨタの代名詞「カローラ」は今も着実に売れている

 トヨタ「カローラ」シリーズは、2021年上半期(1月-6月)において、5万3864台を記録して登録車全体で4位を誇ります。
 
 1966年の初代モデル誕生以来、着実に売れ続けている理由はどこにあるのでしょうか。

 カローラシリーズは、1966年に誕生し、33年間連続で新車販売台数1位を記録するなど、日本の国民車的存在のモデルです。

 2021年7月現在、現行となる12代目として、2018年8月に5ドアハッチバックの「カローラスポーツ」、2019年9月にセダンの「カローラ」、ステーションワゴンの「カローラツーリング」。

 さらに、法人ユーザー向けに先代となる11代目の「カローラアクシオ(セダン)及び「カローラフィールダー(ワゴン)」を合わせてカローラシリーズとして販売されています。

 そんなカローラは、2020年度の新車販売台数で11万2777台を販売し、同じトヨタの「ヤリス」、「ライズ」に続く第3位にランクインするなど、順調な販売実績を記録。

 SUVやコンパクトカーが人気の中心となっている国内市場で、カローラが根強い人気を維持している理由は一体どういった点があるのでしょうか。

 理由として考えられるのは、新プラットフォーム「TNGA」の採用により基本性能に磨きをかけたことや、昨今の定番となりつつあるハイブリッド車を発売当初からラインナップするなど商品性を向上させたことが挙げられます。

 また、今回から3ナンバーサイズに移行されたものの、ボディパネルなどは国内専用にすることでボディサイズの拡大を最小限に抑えたうえで、従来同様の小回り性能を確保するなど、国内での使い勝手を徹底的に重視し、これまでのユーザーへの配慮も忘れていません。

 こういったクルマ自体の性能の高さに加えて、同じクラスでライバルとなるセダンやステーションワゴンの人気が低下し、車種が削減されていったことも大きく影響しているといえるでしょう。

 セダンでは、かつてライバルだった日産「サニー」のように、すでにラインナップから消滅したり、あるいはホンダ「シビック」のように米国市場向けにボディサイズや価格を1クラス上に移行するなどにより、カローラと直接競合するクルマが存在しない状況です。

 他社だけではなく、同じトヨタ内でも5ナンバーサイズのセダンである「プレミオ」「アリオン」が生産中止になったため、トヨタで小型のセダンを購入するならカローラ以外に選択肢が少ないといえます。

 ステーションワゴンについてもこれは当てはまり、かつては数多くのモデルが各社から販売されていましたが、現在ではスバル「レヴォーグ」、ホンダ「シャトル」、マツダ「マツダ6(ワゴン)」のみとなっています。

 また、マツダ6ワゴンはボディ、排気量もカローラツーリングよりも1クラス上で、近い車格のレヴォーグは価格が310万2000円からと、201万3000円から購入できるカローラツーリングよりも100万円以上の価格の差があります。

 一方のシャトルは、先代の「フィット」をベースにしているので、車格は1クラス下でデザインもワゴンというよりもミニバンに近いため、比較対象として考えづらいといえるのではないでしょうか。

 さらに、これらのステーションワゴンはガソリン車もしくはディーゼル車となりハイブリッド車を希望する場合にはカローラツーリング一択となるのです。

 このように、他社の車種の消滅なども含めて、カローラシリーズが選ばれやすくなっている要素があるといえます。

 現在のカローラシリーズの販売状況について、トヨタ販売店の営業スタッフは次のように話しています。

「セダンのユーザーは比較的年齢層が高めで、これまで代々カローラを乗り継いでこられたお客さまの代替需要が主流となっています。

 ツーリングについては、30代のユーザーもいらっしゃるなど年齢層も幅広くなっています。

 ツーリングの場合では、手頃な価格とサイズで使い勝手のよいワゴンを探していたら、たまたまそれがツーリングだったという場合もあるようです。
 カローラのなかでもいちばん人気なのはツーリングで、販売台数の半分以上を占めています。

 セダンは先代モデルを含めても全体の2割、スポーツは1割程度という状況です。

 意外に人気があるのが先代のワゴンのフィールダーで、全体の約1割を占めています。

 価格が安く荷物も積めるということから営業車として購入されるケースが中心です」

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 カローラは、常に時代のニーズに合わせた商品展開をおこなってきました。これにより、日本以外でも「売れるクルマ」かつ「トヨタを代表するクルマ」としてカローラブランドが構築されています。
 
 こうした、ユーザーのニーズに対応し続けることが、誕生から半世紀経っても愛され続ける理由なのです。

約20年ぶりに「カローラ」が販売台数No.1に返り咲く?

 堅調に販売を続けるカローラシリーズに、新たなバリエーションとして「カローラクロス」が2021年秋に登場するといわれています。

 これは海外では既に販売を開始しているカローラをベースにしたコンパクトSUVモデルです。

 カローラ(セダン)のボディサイズが全長4495mm×全幅1745mm×全高1435mmなのに対して、カローラクロスは全長4460mm×全幅1825mm×全高1620mmと、全長こそ若干短くなったものの、全幅と全高が一回り大きくなったことで後席や荷室容量も拡大されています。

 同じトヨタのSUVとしては、コンパクトクラスの「ヤリスクロス」とミドルクラスの「RAV4」の中間という絶妙のサイズで、同等サイズの「C-HR」がスタイリッシュ&スポーティ、カローラクロスは日常の使い勝手といった差別化も出来ているようです。

 そのため、カローラシリーズとしてはこれまでとは異なるユーザー層にもアプローチが可能になるでしょう。

 SUVは欲しいけれどヤリスクロスでは少し小さい、かといってRAV4では大きくて取り回しに不安があると考えていたユーザーには魅力的な選択肢となると考えられます。

 冒頭の登録車販売台数では、カローラに前述のツーリング、スポーツ、アクシオ、フィールダーを合算した台数で公表されています。

 また、首位を独走しているヤリスではヤリスクロスと「GRヤリス」が合わさったことで、販売台数を大幅に増やしたという例も存在。

 そのため、売れ筋のコンパクトSUVとなるカローラクロスが加わることで、かつて2001年まで連続33年間にわたり登録車販売台数1位という記録を持っていたカローラが、2021年、2022年で約20年ぶりに登録車販売台数でトップに返り咲くことも決してありえない話ではないでしょう。

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 カローラが現在でもベストセラーにランクインするのは、国内でのユーザーのニーズに丁寧に対応してきたことに加えて競合車の不在が理由といえます。

 さらに、今後はカローラクロスが追加されることで、販売台数を伸ばすことが期待されます。