2021年7月19日にトヨタ「アクア」がフルモデルチェンジして発売されました。新型アクアとライバルとなるホンダ「フィット」にはどのような違いがあるのでしょうか。

「アクア」vs「フィット」違いはどこに?

 トヨタのハイブリッド専用コンパクトカー「アクア」がフルモデルチェンジし、2代目となる新型モデルが2021年7月19日に発表・発売されました。

 トヨタのハイブリッド車の元祖「プリウス」よりコンパクトなサイズで登場した初代アクアですが、2011年のデビュー以来、187万台を超える販売台数を記録し、多くのユーザーに支持されています。

 最近はコンパクトカーが次々とフルモデルチェンジしており、2020年2月にトヨタ「ヤリス」とホンダ「フィット」、同年12月に日産「ノート」の新型モデルが登場しており、ロングセラーモデルとなったアクアの新型モデルに期待を寄せる声も多くあったのです。

 そんな、ライバル車がひしめくコンパクトカテゴリーにおいて、新型アクアはどのような特徴を打ち出しているのでしょうか。今回は、フィットと比較してみます。

 新型アクアは、さらなる上質感と先進性を演出するデザインへと進化しました。

 コンパクトなボディサイズはそのままに、TNGA(GA-B)プラットフォームを採用。高いボディ剛性と静粛性に加え安定感のある走りを実現しています。

 さらに、日本の道路環境にぴったりな全長4050mm×全幅1695mm×全高1485mm-1505mmというコンパクトなボディサイズを継承する一方、ホイールベースは従来モデルから50mm延長した2600mmへと変更。これにより、とくに後席の居住空間や荷室空間が拡大し、利便性を向上しました。

 また、「Harmo-tech」(知性・感性を刺激する、人に寄り添う先進)をコンセプトにした上質・シンプル・クラスレスなデザインに変更。

 前後に伸びやかなモノフォルムシルエットのキャビンと、左右に張り出したリアフェンダーの組み合わせで、スマートでエモーショナルかつ動感のあるエクステリアとしました。

 インテリアは機能をひとくくりに集約し、シンプル・クリーンかつ上質な空間を表現。またソフトな合皮巻きのオーナメントやアームレスト、便利で快適な合皮パワーシートなど、クラスレスで上質なデザインを採用しています。

 さらに、操作性や視認性に優れた10.5インチ大型ディスプレイオーディオをトヨタのコンパクトカーとして初めて採用しました。

 対するフィットは、2020年2月に4代目モデルが登場。初代モデルデビューは2001年と、アクアより10年早くホンダのコンパクトカーとして人気を集めてきました。

 現行モデルは、歴代フィットが築き上げた性能や広い室内空間、使い勝手の良さなどを受け継ぎつつ、より満足感の高いモデルへと生まれ変わっています。

 とくに、「心地よさ」という新たな価値を提供。クルマでの移動においてもリラックスや癒しを求めるというユーザーのニーズに応えるべく、ホンダの独創的な技術を盛り込みました。

 フィットのボディサイズは、全長3995mm×全幅1695mm×全高1515mm-1565mm。新型アクアのほうが全長が長く、全高が低く設定されています。また、フィットのホイールベースは2530mmです。

 フィットのデザインは、クルマ全体にわたるシームレスなサーフェスと、シンプルでありながらぬくもりを感じさせるフロントフェイスで親しみやすさを表現しました。

 また、ユーザーのライフスタイルに合わせた5つのタイプを設定。シンプルな「ベーシック」、生活になじむデザインと快適性を備えた「ホーム」、アクティブな雰囲気の「ネス」、SUV風の「クロスター」、洗練と上質を兼ね備えた「リュクス」という、好みに応じて選択することができます。

 インテリアは、乗員が明るく過ごせるよう、大きな視界を確保。Aピラーの太さを従来の半分以下にしたり、水平・直線基調のインパネやシンプルで見やすいバイザーレスメーターの採用などにより、「心地よい視界」を実現。

 さらに、前席には骨盤から腰椎までを樹脂製マットで支えるボディースタビライジングシートをホンダ初採用するとともに、リアシートには厚みのあるやわらかなパッドを採用し、長距離ドライブでも疲れにくい快適な座り心地を備えました。

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 新型アクアのグレードは、「B」「X」「G」「Z」の4つです。

 従来モデルには、フィット クロスターのようなSUV風の「クロスオーバー」に加え、スポーティグレードの「GRスポーツ」が設定されていましたが、新型では標準仕様のみとなっています。

HVのみのアクアとガソリン・HVを設定するフィット

 新型アクアは、これまで同車が担ってきた役割を発展させ、「さらに次の10年を見据えたコンパクトカー」として、毎日楽しく、安全・安心で快適に乗ることができる充実した装備と、より高度な環境性能を追求しました。

 新型アクアは、高出力な「バイポーラ型ニッケル水素電池」を駆動用車載電池として世界初採用。

 従来モデルに搭載されていたニッケル水素電池に比べてバッテリー出力が約2倍に向上したほか、アクセル操作への応答性が向上し、低速からリニアでスムーズな加速が可能になりました。

 また、電気だけでの走行可能速度域を拡大したことで、街中の多くのシーンでエンジンを使わず電気だけで走行できます。

 そして、「快感ペダル」をトヨタ初採用。「POWER+モード」選択時に、アクセルを緩めるだけで滑らかに減速することが可能になるとともに、アクセル・ブレーキペダルの踏みかえ頻度を減らし、ドライバーの負担を軽減しつつ意のままの走りを実現しました。

 パワートレインは1.5リッターダイナミックフォースエンジンと最適化したハイブリッドシステムを組み合わせ、「B」グレード(リチウムイオン電池搭載)はコンパクトカークラストップレベルとなるWLTCモード燃費35.8km/Lという低燃費を達成しています。

 さらに、駆動方式は2WD(FF)に加え、アクア初となるE-Four(電気式4WDシステム)を採用し、雪道でもより安心して走行することができといいます。

 一方フィットのパワートレインには、1.5リッターエンジン+2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」をコンパクトカーとして初めて搭載しました。

 エンジンで発電しモーターで走行するシリーズ式の「ハイブリッドドライブ」を基本とし、バッテリー電力のみで走行する「EVドライブ」や、エンジンで直接タイヤを駆動する「エンジンドライブ」など、状況に応じて高効率な走行を実現

 WLTCモード燃費は28.8km/Lと、優れた燃費性能と走る楽しさを両立しました。

 なお、フィットはハイブリッド専用車の新型アクアと異なり、ガソリン車(1.3リッター)も設定されています。

 フィットの駆動方式は、ハイブリッド・ガソリンともに2WD(FF)と4WDが用意されました。

 予防安全装備として、新型アクアは最新の「トヨタセーフティセンス」を標準装備。交差点での右左折時の事故に対応範囲を拡大した「プリクラッシュセーフティ」や、「全車速追従型レーダークルーズコントロール」、「レーントレーシングアシスト」、ペダル踏み間違い時の急加速を抑制する「プラスサポート」を搭載しています。

 さらに駐車時における操作を車両が支援する「トヨタチームメイト アドバンストパーク」や、従来の前後進行方向に加え新たに側方の静止物を検知対象とし、警報とブレーキ制御で接触回避を支援する「パーキングサポートブレーキ」も備わり、幅広いシーンでドライバーを支援します。

 フィットは安全運転支援システムとして、「ホンダセンシング」が全車標準装備されます(一部グレードで非搭載仕様も選択可)。

 車両前後に装着された合計8つのソナーセンサーと合わせて、前方を広角に検知可能なフロントワイドビューカメラが初搭載されただけでなく、これまでの8つの機能に加えて、後方誤発進抑制機能やオートハイビーム、ホンダ初となる近距離衝突軽減ブレーキが追加されました。

 新型アクアとフィットの価格はどのようになっているのでしょうか。

 新型アクアの価格(消費税込)は198万円から259万8000円、フィットはハイブリッド車が199万7600円から253万6600円、ガソリン車が155万7600円から218万6800円です。

 価格帯だけみると、ガソリン車を設定するフィットのほうが安く購入することができますが、ハイブリッド車で比べてみると、新型アクアとフィットはほぼ同等の価格であることがわかります。

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 かつてアクアは、2013年から2015年の3年連続で登録車販売台数トップに輝いていますが、最近ではライバル勢の台頭もあり、販売は落ち着いていました。

 しかし、さらに魅力を増した新型アクアが登場し、コンパクトカーカテゴリーの勢力図も変わってきそうです。