売れ筋となるクルマは時代とともに変化していくものですが、2021年の現在と20年前の2001年ではどのような違いがあるのでしょうか。

20年で大きく変わった新車販売 今と昔でどう違う?

 2021年上半期(1月から6月)の国内新車販売状況を見ると、日本車メーカーの販売順位は、1位がトヨタ、2位がスズキ、3位がダイハツ、4位がホンダ、5位が日産、6位がマツダ、7位がスバル、8位が三菱でした。

 トヨタに次ぐ2位がスズキで、日産は5位に下がり、ホンダも4位という順位には時代の変化を感じます。

 では、以前のクルマの売れ方はどうだったのか、20年前の2001年と比べてみましょう。

 まずメーカーの販売順位ですが、2001年は1位がトヨタ、2位がホンダ、3位が日産、4位がスズキ、5位がダイハツ、6位が三菱、7位がマツダ、8位がスバルでした。

 2位と3位は、今はスズキ、ダイハツですが、2001年はホンダ、日産でした。当時のホンダと日産は激しい2位争いを展開しており、2007年頃までは日産が2位でホンダが3位というパターンも多かったです。

 また、20年前は三菱も5位で、今よりも高い順位に位置しています。軽自動車の「eKワゴン」、セダンの「ギャラン」と「ランサー」、ワゴンの「レグナム」と「ランサーワゴン」などが堅調に売れていました。

 カテゴリー別に見ると、軽自動車の変化が大きいです。国内で新車として売られたクルマに占める軽自動車の比率は、2001年は31%でしたが、それが2021年上半期には38%に増加。

 スズキとダイハツは軽自動車の販売比率が高いので、販売ランキングの順位も上昇しました。

 次に2001年と2021年で、売れ筋ベスト10車の顔ぶれを比べてみましょう。1か月平均における販売台数ランキングは以下のようになります。

●2001年 年間販売ランキング(1か月平均)
1位:スズキ「ワゴンR」(1万9856台)
2位:トヨタ「カローラシリーズ」(1万9709台)
3位:ホンダ「ライフ」(1万5747台)
4位:ダイハツ「ムーヴ」(1万4302台)
5位:トヨタ「ヴィッツ」(1万1876台)
6位:ホンダ「ストリーム」(9990台)
7位:トヨタ「エスティマ」(9908台)
8位:ホンダ「ステップワゴン」(9168台)
9位:ホンダ「フィット」(8692台)*2001年6月発売
10位:ダイハツ「ミラ」(8084台)

●2021年 上半期販売ランキング(1か月平均)
1位:ホンダ「N-BOX」(1万9852台)
2位:スズキ「スペーシア」(1万3116台)
3位:トヨタ「ルーミー」(1万2915台)
4位:ダイハツ「タント」(1万1544台)
5位:トヨタ「ヤリス」(9848台)
6位:ダイハツ「ムーヴ」(9627台)
7位:トヨタ「アルファード」(9463台)
8位:トヨタ「ヤリスクロス」(9193台)
9位:トヨタ「カローラシリーズ」(8977台)
10位:日産「ルークス」(8343台)
※ヤリスとヤリスクロスは別車種として算出

 2021年上半期の販売1位は、日本自動車販売協会連合会のデータによるとヤリスですが、この数字にはヤリス+ヤリスクロス+GRヤリスがすべて含まれています。

 コンパクトカーのヤリスとSUVのヤリスクロスは一般的には別の車種なので、登録台数も別々に算出すると販売1位はN-BOXとなります。

 2位はスペーシア、4位はタント、10位はルークスで、N-BOXを加えた4車はすべて全高が1700mmを超える軽自動車のスーパーハイトワゴン。6位のムーヴを加えると軽自動車は5車種がトップ10にランクインしています。

 一方、2001年の販売1位はワゴンRでした。この時点では全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンは登場しておらず、それでも3位にライフ、4位にムーヴ、10位にミラが入り、20年前の時点でも軽自動車は売れ筋カテゴリーになっていたことがわかります。

売れ筋車種もコンパクト化!? 20年で何があった?

 ベスト10車を見て、20年前ともっとも大きく変わったのはミニバンでしょう。2001年にはストリーム、エスティマ、ステップワゴンの3車種が入りましたが、2021年はアルファードのみ。

 しかもストリームのような後席のドアが横開きで全高も1700mmを下まわるワゴン風のミニバンは、今では車種自体がありません。

 ミニバンは1990年代の中盤以降に選択肢を充実させたことから、2001年頃には売れ行きを急速に高めました。当時はミニバンを初めて購入するユーザーも多く、ワゴンとの中間的な車種も用意したのです。

 それがいまでは、ミニバンはもはや新しいカテゴリーではなくなり、多人数で乗車したり荷物を積んだりするユーザーのためのクルマという位置づけになっています。そのためにワゴン風のミニバンはすべて消滅して、スタイル優先のエスティマも廃止されました。

 ベスト10車に入るメーカーの数も変わりました。トヨタは2001年には3車種でしたが、2021年は5車種に増えています。

 逆にホンダは、2001年はトヨタよりも多い4車種がベスト10に入りましたが、2021年はN-BOXだけです。ストリームは前述の通り廃止され、ホンダ「フィット」やステップワゴンはベスト10の圏外です。

 2001年に国内販売2位だったホンダは、クルマの売れ方もいまに比べてバランスが良く、軽自動車は40%で小型/普通車が60%を占めました。

 ところが2021年上半期のホンダは、N-BOXだけで国内新車販売台数の35%に達します。「N-WGN」なども加えた軽自動車比率は57%と高く、小型/普通車は残りの43%。軽自動車と小型/普通車の販売比率が20年前とは逆転しています。

 軽自動車とコンパクトカーのフィットおよび「フリード」の合計では、国内で新車として売られたホンダ車の80%近くになります。

 ホンダは2000年代の中盤に全店が全車を扱う販売体制に移行した影響もあり、国内の売れ筋が特定の車種に限られて販売ランキング順位も20年前の2位から4位に後退しました。

 また、日産も軽自動車比率が高く、40%を超えています。

 ホンダや日産が軽自動車に力を入れた影響で、2021年上半期には国内で販売された小型/普通車の52%がトヨタ車でした(レクサスを含む)。

 国内市場全体ではトヨタ比率は33%なのに、小型/普通車に限ると半数を超えるのです。トヨタは一部のOEM車を除くと軽自動車を扱わず、小型/普通車に専念しているためだといえます。

 ベスト10以外のクルマでも変動があります。トヨタ「ハリアー」「ライズ」、日産「ノート」、ホンダ フリード、スズキ「ハスラー」といった車種は、ハリアーを除くと2002年以降に初代モデルを投入して、売れ行きを伸ばしました。

 逆にトヨタ「クラウン」は2001年には1か月平均で6908台を登録しましたが、2021年上半期は2121台です。ホンダ「オデッセイ」は2001年に5918台で、2021年上半期は1754台まで減っています。スバル「レガシィ」は2001年に5231台で、いまは販売を中断しています。

 このように、20年前に堅調に売れた上級クラスの車種が、いまでは売れ行きが落ちたり廃止に追い込まれたりしています。

 その背景には、衝突被害軽減ブレーキをはじめとする安全装備や運転支援機能の充実、燃費の向上、消費増税などによってクルマの価格が上がった事情があります。

 20年前の2代目ステップワゴンの「D」グレードは、消費税を加えて205万8000円でしたが、現行型はもっとも安い「Gホンダセンシング」でも271万4800円と価格は20年前の1.3倍になりました。

 クラウンは20年前には11代目の「3.0ロイヤルサルーン」が消費税を含めて401万1000円でしたが、現行型はもっとも安価な「ハイブリッドB」が489万9000円。20年前の1.2倍です。

 このようにクルマの価格は20年前の1.2倍から1.3倍に上がりましたが、1世帯当たりの平均給与所得は逆に下がっています。その結果、売れ筋車種もコンパクト化したのです。

 日本の道路環境を考えると、コンパクトな車種をさらに充実させて欲しいです。いまの小さなクルマは実用性が高いのですが、カッコ良いモデルや運転が楽しい車種も必要でしょう。そのためにコンパクトSUVも人気を集めています。

 またスズキ「スイフトスポーツ」は、1か月平均で約1000台を登録しており、スイフト全体の約半数を占めます。日産「ノートオーラ」やトヨタ「アクア」などの新型車もいまのニーズに合っています。今後の新型車に期待したいです。