2011年のデビュー以来、ハイブリッドの普及に大きく貢献したトヨタ「アクア」。登場から10年も販売されてきたロングセラーモデルが、いよいよフルモデルチェンジしました。初代アクアのオーナーは新型モデルのどのようなところに注目しているのでしょうか。

中身が大きく進化した新型アクア

 トヨタ「アクア」は使い勝手の良いコンパクトな5ドアハッチバックスタイルながら、ハイブリッド専用車として2011年にデビューしました。

 先駆者であるトヨタ「プリウス」とともに、「エンジン+モーター」というハイブリッドの普及に大きく貢献。環境性能にこだわりつつ、お求めやすい価格を実現したアクアは、累計販売約187万台という大ヒットモデルとなっています。

 そんなアクアがデビュー10周年となる2021年にフルモデルチェンジし、2代目モデルが発売されました。

 目指したのは「次の10年を見据えたコンパクトカー」。より安全で快適な装備を充実させ、さらに環境性能を高めた新型アクアですが、初代モデルのオーナーにはどのように映っているのでしょうか。

 新型アクアの外観はほぼ初代モデルのイメージを踏襲。ひと目でアクアとわかるスタイルを維持しています。

 さらに、トヨタ「ヤリス」と同じTNGAプラットフォーム(GA-B)を採用。ボディサイズは全長4050mm×全幅1695mm×全高1485mm(G)と、初代モデルと比較して全高+30mmのアップに抑えつつ、ホイールベースは+50mmで2600mm。ゆったりとした後席を確保しました。

 内装は次世代型へと移行しており、それを大きく感じさせるのがセンター配置された10.5インチの大型ディスプレイです。オーディオやエアコンの操作系をまとめることでスッキリとしたインテリアを実現しています。

 また、初代モデルの特徴でもあったセンターメーターを廃止し、メーター類の表示は運転席前に移動しました。

 フロアに設置されていたシフトレバーもセンターコンソールに集約され、次世代モデルらしいオールニュー感をうまく演出しています。

 そして、新型アクアで大きく進化したのが駆動用バッテリーです。これまでもニッケル水素電池を搭載していましたが、新たに高出力な「バイポーラ型ニッケル水素電池」を搭載(「B」グレード以外)。

 これにより、EV走行可能速度域の拡大が可能となり、街中ではほぼEVモードで走行できるようになりました。

 さらにトヨタ初の「爽快ペダル」を採用。「POWER+」モードではアクセルオフでの減速度も大きくなり、アクセルペダルだけでの加減速も可能になっています。

 また、もうひとつ大きな違いは、電気式4WD「E-Four」モデルが用意されたことでしょう。

 本格的なオフロード向けではありませんが、発進時や雪道などの滑りやすい路面で有効な「生活四駆」が加わったことで、より多くのシーンでも乗りやすいクルマになっています。

 ハイブリッドシステムとしては以前と同じ「THS II」を採用していますが、74馬力だった1.5リッターエンジンは、同じ排気量ながら新たに91馬力の「ダイナミックフォースエンジン」を搭載。モーターも新しい「1NM」型へと換装されました。

 さらに、燃費(WLTCモード)は35.8km/Lを達成。初代モデルの29.8km/Lからさらに向上しています。

 新型アクアの価格(消費税込)は、新たな装備や技術が搭載されているにもかかわらず198万円から259万8000円と、初代とほぼ同じ価格帯に収まっているところもポイントだといえそうです。

初代アクアのオーナーは新型についてどう思う?

 初代アクアのオーナーは、新型アクアについてどう思っているのでしょうか。オーナーならではの視点で新型アクアをチェックしてもらいました。

 まず話を聞いたのは、家族で使う(複数名運転する)ことを考えてアクアを選んだというTさん(東京都・40代・男性)です。

 奥さまや娘さんも運転することを想定し、都内でも走りやすく維持費が安く、安全性も高いことを考慮し、アクアに辿り着いたといいます。

「アクアはとにかく運転しやすいのが魅力です。プリウスも考えたのですが、3人家族で、さらには1人ずつ交代で乗ることも多いので、コンパクトなハッチバックでも十分かなと。

 ただ、やはりもう少し後席が広くなってほしいと考えていました。だから新型モデルはそのあたりも改善されているといいですね」

 ちなみに新型アクアは、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を標準装備。

「アダプティブクルーズコントロール」も全車速対応になっていますし、同一車線走行を支援する「レーントレーシングアシスト」、ペダル踏み間違いによる急加速を抑制する「プラスサポート」なども搭載されています。

「性能や価格を考えると超優等生なアクアですが、女性や初心者向けというより、今後衰えが出てくる熟年層にこそ安全なクルマがいいと思うんですよね。自分も少しずつうっかりが増えている気がするので、安全装備の最新化は羨ましいです」

 ちなみにホイールベースが延長したのにも関わらず、全体のサイズがほぼ同じというのも大きなセールスポイントになりそうです。

「我が家の駐車場が本当にギリギリでして、5ナンバーサイズを超えると停められるか微妙なんです。そういった人も意外に多いと思いますので、初代モデルとサイズが変わらないというのは非常にありがたいです」

 なお、駐車時に、ステアリング操舵やブレーキ・アクセル、シフトチェンジまで全操作を支援してくれる「トヨタチームメイト アドバンストパーク」や周囲の障害物を検知し警報とブレーキ制御で接触回避を支援してくれる「パーキングサポートブレーキ」なども、トヨタのコンパクトカーとして初搭載。ちょっとしたことからでも新時代を体感することができます。

「大型ディスプレイも魅力的ですね。自分たちの世代だけでなく若い世代にとってタッチパネルの操作はお手の物だし、実際に使いやすいでしょうね。でも体感すると欲しくなりそうな気もしています」

 初代アクア購入の走行距離が20万kmを超えたというYさん(長野県・50代・男性)は、長野の自宅から仕事場がある神奈川までクルマで通勤するというヘビーユーザーです。

「ほぼ毎日、長野と神奈川を高速道路で往復するので、経済性と安全性、コンパクトなサイズなど条件を満たしていたのがアクアで、完全に経済性優先で選びました」

 長距離を運転することから燃費重視というYさんですが、新型モデルの35.8km/L(WLTCモード)という低燃費が気になるそうです。

 また、電気式4WD「E-Four」の新設定も歓迎するといいます。

「自宅がある長野は、冬になると完全な雪道になります。それも考慮すると、新たに加わった4WDモデルは魅力的です。しかも4WDが電気式と聞いているので興味があります。

 あと、最近は異常気象や災害なども多いので、車載バッテリーを非常用電源として活用できるアクセサリーコンセントがあって、しかもいざとなれば1500Wまで使えるというのはいいですね」

 デザインについてはどのような意見があるのでしょうか。

「デザインに関しては、あまりこだわりはないのですが、新型アクアは少し派手になった印象ですね。クルマのキャラクターを考えると、初代モデルの顔のほうがスッキリしている気がします。

 ただし、まだあと数年は初代に乗ると思います。いまのクルマも20万km以上走って全体がだいぶくたびれましたが、燃費はまだ30km/L近く走ります。下取りも期待できませんし、もう少し頑張ってもらいます」

 高速走行がメインのYさんにとって、新型アクアの「EV走行が増える」というメリットは少ないものの、やはりバッテリー容量が2倍になったバイポーラ型ニッケル水素電池はかなり気になるそうです。

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 新型アクアは外観のデザインこそ初代モデルから大きく変わっていませんが、中身が各段に進化しました。

 先進技術や装備が数多く投入された新型アクアは、初代モデル以上に多くの人に愛されるクルマに仕上がっているのではないでしょうか。