運転中にスマホなどを手に持っての操作は「保持」にあたる違反行為となりますが、スマホをダッシュボードに固定しての使用は「注視」にあたると考えられます。何をもって注視と判断されるのでしょうか。

運転中は絶対NG?でも実はダッシュボード固定なら許される?

 運転中にスマートフォンなどを手に持って操作することは、道路交通法第71条によって禁止されています。
 
 一方、手に持たずにダッシュボードなどに固定して運転する場合でも、注視に当たる可能性があります。では、何をもって注視と判断されるのでしょうか。

 近年では、スマートフォンをカーナビの代わりに使用するユーザーなどが増加傾向にあるようです。

 しかし、スマートフォンに関連した交通事故は多く発生しており、警視庁の公表している「自動車及び原動機付自転車の運転者(第1当事者)の携帯電話使用等に起因する交通事故件数」のデータによると、携帯電話等使用に起因する交通事故は、2016年に2605件、2017年に2832件、2018年に2790件、2019年に2645件、2020年では1283件と新型コロナウイルス感染拡大の影響からか一時は減少が見られるものの、相対的には年々増加傾向にあることがうかがえます。

 道路交通法第71条では、運転中に携帯電話などを手に持っての通話やカーナビなどの画面を注視してはいけないとされています。

 この項目で注目するべきポイントは、携帯電話などを手に持つ「保持」と、画面に視線を移す「注視」のふたつが違反とされているということです。

 また、携帯電話などとはスマートフォンにかぎらず、タブレットやカーナビなども含まれるため、あらゆる機器が該当すると認識する必要があります。

 警察庁では、とくに運転中のスマートフォンの操作の危険性などをホームページで呼びかけており、事故の発生率を高める行為として、取り締まりなども厳しくおこなっています。

 警察関係者は、ダッシュボードに固定したスマートフォンの操作について以下のように話しています。

「まず、スマートフォンを手に持っているか、持っていないかにかかわらず、画面を見たり、メッセージを読んだりする行為は、『注視』にあたる可能性があります。

 もちろん、手に持っている場合には『保持』となるため、違反しているとみなされます。

 取り締まりでは、ほかのクルマへの危険性や迷惑性が問われることになります。

 注視というと長時間画面を見ていることを差しているように感じる人もいると思いますが、注視は時間で測るものではなく、運転中にスマートフォンの画面を見ていることで運転への注意力が削がれ、ほかのクルマに危険が及ぶ可能性もある危険な行為のことを表しています」

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 警察庁では、クルマが2秒間に進む距離を示しており、例えば「時速60キロで走行した場合、2秒間で約33.3m進む」と説明。

 そのため、「その間に歩行者が道路を横断したり、前のクルマが渋滞などで停止していたら、よそ見によって事故を起こしてしまう可能性があります」と注意を呼びかけています。

 このように、注視には時間の規定はありませんが、スマートフォンを見た時間がほんのわずかだったとしても、警察官がほかのクルマに危険を及ぼすと判断した場合には、取り締まりの対象になる可能性が十分にあるようです。

 なお、違反した場合には「携帯電話使用等(保持)」となり、「罰則:6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」、「反則金:大型車2万5千円、普通車1万8千円、二輪車1万5千円、原付車1万2千円」、「基礎点数3点」です。

 また、これらによって交通事故を起こした場合は「携帯電話使用等(交通の危険)」となり、「罰則:1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」、「反則金:適用なし」、「基礎点数:6点」となっています。

スマートフォンの音声操作やハンズフリーは問題ないのか?

 一方で、例えば音声操作などのハンズフリー機能に関しては、画面を見たり、指で画面を操作したりする必要がないため、第71条で記されている「注視」にも「保持」にも該当せず、合法的にスマホを操作できる方法であるといえます。

 前出の警察関係者は「仕事などで通話をする必要がある人には、安全性をできるだけ欠かずに通話することが可能なハンズフリー機能を活用していただきたい」と話しています。

 また、ハンズフリー機能と類似したものとして、Bluetoothなどでスマートフォンとイヤホンを接続して通話する方法もありますが、これについては「周囲の音が聞こえなくなってしまうと、地域ごとの条例などに触れる可能性もあるため、イヤホンを使用する場合は、片耳だけ装着するなど、周囲の音も聞こえるように配慮してください」と話します。

 ただし、スマートフォンを保持したり、注視したりしていなくても、運転に危険性がある使用方法とみなされた場合には、道路交通法第70条の「安全運転の義務」に違反する可能性があります。

 違反した場合は、「基礎点数:2点」、「反則金:大型車1万2千円、普通車9千円、二輪車7千円、原付車6千円」です。

 罰則の有無にかかわらず、運転中のスマートフォンなどの保持や注視は、運転の集中力が削がれる可能性のある危険な行為となるため、おこなうべきではないといえるでしょう。