2021年8月に14年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたトヨタ「ランドクルーザー」。劇的に進化した新型ランドクルーザー(300系)について、現役ランクルオーナーの評価はどうなのでしょうか。

14年ぶりのフルモデルチェンジで最新装備を身に付けた新型ランクル

 トヨタ「ランドクルーザー(ランクル)」は、70年にもおよぶ長い歴史を持ち、世界中から絶大な信頼を集めるオフローダーです。

 2021年に14年ぶりのフルモデルチェンジを果たし、新型となる300系が登場しました。

 現代に求められる本格四駆として、新型ランドクルーザーは大きな進化を遂げましたが、一体どんなモデルに生まれ変わったのでしょうか。

 新型ランクルはTNGA「GA-F」プラットフォームを採用しました。ラダーフレーム構造ながらより低重心化と高剛性化が図られるとともに、約200kgの軽量化も施されました。

 さらに新開発の3.5リッターV型6気筒ツインターボ(最高出力415馬力/最大トルク650Nm)と3.3リッターV型6気筒ツインターボディーゼル最高出力309馬力/最大トルク700Nmという2種類のエンジンを搭載。10速ATが組み合わされています。

 新型ランクルのサイズは、全長4985mm×全幅1980mm×全高1925mm(GR:全長4965mm×全幅1990mm×全幅1925mm)、ホイールベースは2850mmと、全高以外は先代の「200系」と同じ。

 フルサイズSUVとして最適なサイズを継承しているといいます。実際、2850mmというホイールベースは、「80系」から変わっていません。

 新型ランクルは安全装備も最新の機能を装備。

 トヨタの予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」はさらに進化し、ミリ波レーダー+単眼カメラ方式を採用するプリクラッシュセーフティや、車線中央を走行するステアリング操作を支援するレーントレーシングアシスト、全車速追従機能付きのレーダークルーズコントロールなどを備えました。

 新型ランクルで注目されるのは、ダカールラリーに25年以上参戦してきたデータを活用しオフロード性能に磨きをかけた「GRスポーツ」をラインナップすることです。

 世界初のE-KDSS(Electronic-Kinetic Dynamic Suspension System)機構を盛り込んだ電子制御式サスペンションシステムを搭載。オンロードでも速く、オフロードも強い、タフさと速さを兼ね備えたモンスターマシンに仕上がっているようです。

 価格(消費税込)は、ベーシックな「GX」の510万円から、ディーゼル搭載の最上級グレード「GRスポーツ」の800万円と、決して安い価格とはいえませんが、性能を考えたらコストパフォーマンスに優れたモデルだといえそうです。

 その結果、多くの注文を受けており、納車が1年以上もかかるほどの人気になっているようです。

ランクル60オーナーが感じた新型300系の魅力は?

 新型ランクルの魅力とはどのようなところなのでしょうか。

 1980年代に作られた「60」に2台乗り継いでいるオーナー(40代・男性)のWさんは、あえて先進技術を搭載していない旧車として60を楽しんでいるといいますが、新型ランクルの印象を聞いてみました。

「堂々としたボディサイズと、いい意味でランクルらしいゴツさと現在のトヨタの技術がうまく融合している感じです。見るからに頑丈そうなところも、古くからのランクルファンの期待を裏切らないと思います。

 また400馬力超のツインターボエンジン(ガソリン車)を搭載するということで、現代のマッスルカーかと思いました」

 ランクル最大の魅力はどんな道でも走り切る丈夫さです。30年以上前の60でも堅牢なボディや4WDによる力強い悪路走破性を持ち合わせていますが、その点、最新の300系は、軽量化と高剛性化されたボディに加え、4WD機構は電子制御化が進み、オフロード性能もかなり強化されています。

「オールドランクル好きからすると、電子制御化が進むのは好みではないのですが、新型はトルセンLSDやデフロックだけでなく、ショックアブソーバーの減衰力も自動制御され、しかも先進安全機能もてんこ盛りでドライバーの負担も大きく軽減してくれるのはちょっと羨ましいです」

 また、軽量化されたとはいえ、2.5tにもなるランクルのボディをスムーズに動かすには最高出力より最大トルクのほうが重要なのだそうです。

「ガソリンで650Nm、ディーゼルで700Nmという最大トルクは、昔ならチューニングカーでも出しにくい数値ですが、それが3.5リッターで出せる時代になったことに驚いています。自分の60にエンジンだけ換装したくなります。

 あと、最近のATは多段化が進んでいるとはいえ、ランクルで10速というのはすごいです。かなり細かい制御までしてくれそうですね」

 ここまで新型ランクルのすごさに感服しきりのWさんでしたが、唯一の不満はMT設定がないことだといいます。進化した10速ATは認めつつも、MTの選択肢を残して欲しかったとのことです。

「いま注文しても納車は1年以上先というのは、半導体不足になっているのもひとつの要因かもしれませんが、この手に入りにくさがさらに人気を高めそうです。日本だけじゃなく、海外でバカ売れすると思います」

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 古いランクルオーナーにとって、新型の300系はまるで別次元のクルマに近いそうですが、それでもやはり最新モデルは非常に気になるようです。

 国産本格四駆がラインナップを減らすなかでランクルは貴重なモデルとなってしまいましたが、今後も多くのファンの期待に応えるべく、進化を続けていくのではないでしょうか。