まだまだ人気に陰りを見せないSUV。現在はクロスオーバーからクロスカントリーまで、さまざまなモデルがラインナップされています。そこで、かつて販売された特別かつ高性能なSUVを、3車種ピックアップして紹介します。

高性能なだけじゃなくスペシャルなSUVを振り返る

 近年、世界的に人気が高いSUVですが、さまざまなモデルがラインナップされています。オンロードでの走行に特化したクロスオーバーやオフロード走行も意識したモデル、完全に悪路走破性に特化したクロスカントリー、さらにボディサイズも軽自動車からフルサイズまで多岐にわたります。

 この人気はまだまだ衰える気配はなく、各メーカーから次々と新型車が登場している状況です。

 一方、SUVのなかには、スポーツカー顔負けの高性能車も存在。そこで、かつて販売された特別かつ高性能なSUVを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「ジューク NISMO RS」

 日産は現在のSUVに近いクロスオーバータイプのモデル「ラシーン」を、1994年に発売しました。その後、2000年には初代「エクストレイル」がデビューし、ヒット作になります。

 エクストレイルに続き2007年には、より都会的なフォルムの「デュアリス」、そして2010年にはコンパクトでスタイリシュな生粋のクロスオーバーである「ジューク」が登場しました。

 ジュークのボディサイズは、全長4135mm×全幅1765mm×全高1565mm、ホイールベース2530mmと、ショート&ワイドなプロポーションで、グレード構成は最高出力114馬力の1.5リッター直列4自然吸気エンジンの「15RX」系と、190馬力を発揮する1.6リッター直列4気筒ターボエンジンの「16GT」系の2系統があり、それぞれ装備の違いで複数グレードを設定。

 この16GT系をベースに特別に仕立てられたのが、2013年に発売された「ジューク NISMO」です。

 エンジンは最高出力200馬力にまでパワーアップし、足まわりも強化。外観も専用のエアロパーツが与えられました。

 さらに、2014年にはジューク NISMOをベースにした、さらにハイパフォーマンスなモデル「ジューク NISMO RS」が誕生。

 専用のECUセッティングにより、1.6リッターエンジンの出力は214馬力にまで向上し、これにパドルシフトによる8速マニュアルモード付CVTが組み合わされます。

 シャシも専用のチューニングで、ボディ剛性の向上と、ブレーキはフロントブレーキローター径を拡大し、リアにベンチレーテッドディスクが奢られました。

 また、専用チューニングの足まわりと18インチタイヤ、「ALL MODE 4X4-i」のトルクベクトル機能の最適化で、高いコーナリング性能を発揮します。

 内装ではレカロ製シートに、NISMO RSだけの240km/hスケールのスピードメーターが装着されるなど、スポーツマインドあふれるコクピットを演出。

 一定の人気を獲得したジュークでしたが、2019年に生産を終了。欧州では2代目が販売されていますが日本への導入はなく、実質的な後継車は2020年に発売されたコンパクトSUVの「キックス」です。

●三菱「パジェロ エボリューション」

 現在、三菱のラインナップにハイパフォーマンスモデルはありませんが、かつては「ランサーエボリューション」シリーズがあり、世界ラリー選手権(WRC)に代表されるモータースポーツで勝つことを目的に開発されました。

 また、WRCに参戦するのと並行して三菱が力を入れていたのが、「パリ-ダカール・ラリー」に代表されるラリーレイドで、「パジェロ」をベースにしたマシンで参戦。

 総合優勝を含む好成績を収めることでパジェロのイメージアップに繋がり、1990年代初頭のRVブームをけん引するほどの大ヒットを記録しました。

 そして、1997年にはさらなる戦闘力アップを目指し、パリ-ダカール・ラリー用マシンのベース車として、「パジェロ エボリューション」が誕生。

 パジェロ エボリューションは3ドアのショートボディをベースに仕立てられたモデルで、全長4075mm×全幅1875mm×全高1915mmと巨大なボディには、クロカン車には似つかわしくないアグレッシブなデザインのエアロパーツが与えられました。

 具体的には4輪に大型のオーバーフェンダー、大型フィン付リアスポイラー、ステップ付サイドエアダムが装着され、専用デザインの前後バンパー、軽量化のためのアルミ製ボンネットには大型のエアインテークが装着されるなど、まさに勝つためのボディを獲得。

 エンジンは最高出力280馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒自然吸気ガソリンのみで、トランスミッションは5速MTと5速ATを設定。駆動方式はパートタイム式とフルタイム式の両方の特徴を併せ持つ「スーパーセレクト4WD」を採用しています。

 ほかにもシャシ剛性のアップと、ラリーで戦うこと前提にサスペンションは強化された前輪ダブルウイッシュボーンに、後輪はリジットアクスルから新開発のマルチリンクにコンバートされ、4輪独立懸架を採用。

 まさにエボリューションを名乗るのにふさわしいモディファイがほどこされたパジェロ エボリューションは、1998年のパリ-グラナダ-ダカール・ラリーの市販車改造クラスへ実戦投入されると、総合で1位から3位を独占する成績を収めるなど、大いに活躍しました。

●スバル「フォレスター STIバージョン」

 スバルは「レオーネ」に代表される4WD乗用車の先駆者といえるメーカーですが、1990年代に各メーカーから都市型のクロスオーバーSUVが発売されたのを受け、1997年に同社初の本格的なSUVとして初代「フォレスター」を発売。

 シャシは初代「インプレッサ」と共有し、ボディはボクシーなステーションワゴンタイプとされ、一躍人気車種となり、2002年には2代目がデビュー。

 コンセプトやボディスタイルはヒットした初代から継承され、エンジンは2リッター水平対向4気筒の自然吸気とターボの2種類で、全車フルタイム4WDとなっています。

 そして、2004年にはオンロード性能向上に特化した「フォレスター STIバージョン」が登場しました。

 エンジンは専用となる2.5リッター水平対向4気筒ターボで、大型のインタークーラーが装着され最高出力は265馬力を発揮。トランスミッションは6速MTとされた硬派な仕様です。

 外観では「インプレッサ WRX」でお馴染みの「WRブルー・マイカ」を専用色として設定し、フロントグリルとフロントバンパーも専用デザインです。

 シャシはフロント・リヤクロスメンバーへの補剛部材の追加による剛性アップに、足まわりはローダウン化とリヤスタビライザー径のアップ、ジオメトリの最適化がおこなわれています。

 ほかにもブレンボ製ブレーキシステムや、ステアリングギヤボックスに15.0:1のクイックギヤレシオを採用するなどにより、高い運動性能を発揮。

 その後、一旦はSTIバージョンの販売が終了しますが、2005年には改良モデルとして復活。しかし、2007年に3代目の登場とともにまたSTIバージョンが廃止され、以降は設定されていません。

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 現在も高性能なSUVは存在しますが、この3台はかなり気合いの入った中身といえ、近年の国内モデルではほとんど見られなくなってしまいました。

 また、パジェロエボリューションのようにモータースポーツに直結するモデルも、レギュレーションの関係から必要とされていないのも、消えた理由のひとつです。

 海外のメーカーではハイパフォーマンスなSUVも散見されますが、どれも高額なモデルばかりで、比較的安価なモデルは無く、これもニーズの変化によるものでしょう。