2021年8月27日に「クラウンSUV」こと新型「クラウンクルーガー」が中国で発売されました。日本ではクラウンのSUV化に賛否がありますが、さまざまな視点から見ればSUV化は必然的な展開です。では、次期型クラウンはどうなっていくのでしょうか。

次期型クラウンはどのように登場するのが望ましい?

 2020年11月、中日新聞が「クラウンのセダンタイプを現行型で生産終了し、2022年以降にクロスオーバー化(一部ではSUV化)して投入する」と報道され大きな話題となりました。
 
 その後、2021年4月の「上海モーターショー2021」にてトヨタが海外で展開する3列SUV「ハイランダー」をベースにしたトヨタ「クラウンクルーガー」が発表され、前述の報道とは異なるものではありますが、「クラウンのSUV化」という衝撃は賛否を巻き起こしました。

 日本におけるクラウンの歴史は、1955年に登場した初代モデルとなる「トヨペット・クラウン」から始まります。

 現行モデルの15代目は2018年に登場。60年以上にわたってトヨタを代表するセダンとして、クラウンは技術力の向上や革新に挑戦してきました。

 クラウンのボディタイプは、初代モデルからセダンのみだったわけではありません。

 初代モデルの派生モデルとしてバンタイプの「トヨペット マスターライン クラウン バン」や、歴代モデルには度々ワゴンの「トヨペット クラウン カスタム」、「クラウン ステーションワゴン」、「クラウンエステート」などを設定。

 3代目モデルなどでは、2ドアのハードトップ(後に4ドアハードトップが主流に)が設定されるなど、伝統を継承しながら時代の変化や市場の需要に適した戦略を展開してきました。

 そうしたなかで、「クロスオーバー化(SUV化)」という報道が出たわけですが、過去にくるまのニュースで実施したアンケートでは以下のような声が寄せられています。

「クラウンは基本のセダンタイプを貫き通すべきだと思う」
「クラウンは日本のセダンであって欲しかった」
「日本専用車であるクラウンの名前を中国で使用することに違和感を覚える」「クラウンはクラウンであるべき。ほかの車種の冠にしないでほしい」
 
 こうした日本のユーザーからの声があるなかで、2021年8月27日に前述のクラウンクルーガーが中国で発売されました。

 この際、現地の販売元である一汽トヨタの担当者は、「クラウンブランドは、もはやセダンに限定されるものではなく、複数のカテゴリーのモデルをカバーし、深い伝統を持つ個性的な魅力を実現するブランドとしてアップグレードされました」とコメント。

 実際にクラウンクルーガーと同じタイミングでミニバンの「クラウンヴェルファイア」も発表されていました。

 実は、クラウンブランドは中国でも長い歴史を持っています。1955年に初代モデルが日本で登場した後の1964年にトヨタはクラウンを中国に輸出し、その後も歴代モデルを通して少数ながら中国市場で展開さ。当時のクラウンは中国でも憧れの対象だったといいます。

 その後、トヨタと第一汽車の合弁会社となる一汽トヨタによって、2005年から現地で中国仕様のクラウンが販売されてきましたが、競合モデルの登場や市場変化により販売低迷となり、生産終了となっていました。

 そして、新たなクラウンブランドとして、ハイランダーとヴェルファイアをベースとしたクラウンブランドが復活したのです。

日本ではセダン低迷といわれるなか、次期型クラウンはどうなる?

 2020年末の「クロスオーバー化(SUV化)」報道の後、次期型クラウンに関して「セダン・プラス」という新たなジャンルで展開するという報道も出てきています。

 また、2021年8月には中部経済新聞が「2022年夏を目途に全面改良予定の次期型クラウンをクロスオーバー化して、海外への輸出も始める見込み」と報道するなど、これまで前述の中国を除いて、ほぼ日本専用だったクラウンの戦略を転換していくと見られています。

 昨今、さまざまなSUVが存在しますが、トヨタ「ランドクルーザー」やスズキ「ジムニー」以外のSUVは、そのほとんどがセダンやコンパクトカーなどの派生モデルともいえる存在です。

 分かりやすい例として、トヨタのコンパクトカー「ヤリス」とコンパクトSUV「ヤリスクロス」は同じGA-Bプラットフォームを用いたヤリスシリーズです。

 また、同じトヨタのSUV「RAV4」や「ハリアー」も、セダンの「カムリ」と同じGA-Kプラットフォームを用いたモデルとなり、基本的な部分は共通しています。

 一方で、かつて日産ではクラウンと同じく歴史のあるセダン「スカイライン」のクロスオーバー(SUV)として「スカイラインクロスオーバー」を2009年から2016年まで販売していました。

 日本で販売終了となった背景には、「販売台数が振るわなかった」という理由がありますが、一部では「スカイラインの名」がその販売に影響したともいわれています。

 当時も「スカイラインをクロスオーバー化するなんて!」というような声もあり、まさに現在のクラウンと同じ状況です。

 その一方で、クラウンと同じくトヨタを代表する「カローラ」は、現在でもさまざまな派生モデルとして、セダン、ワゴン、バン、ハッチバックなどを展開。

 また、2020年7月にはタイを皮切りにカローラシリーズ初のSUVとなる「カローラクロス」が発売され、高く支持されているといいます。

 なお、カローラクロスは2021年6月には米国でも発売されたほか、日本でも9月14日から発売される予定です。

 実際、すでに先行予約が開始された新型カローラクロスについて販売店に聞くと、ユーザーの反応は概ね良いと説明。

「ヤリスクロスとRAV4の中間でちょうどいいサイズ」や「親に『カローラ』の名前が付いているから説得しやすかった」といった声があるようです。。

 このように、時代によってユーザーの需要が変化することや、そのブランド価値によって反響が異なることがわかります。

 しかし、クラウンは数々のモデルチェンジのなか、市場の需要に合わせた展開してきた歴史があり、昨今ではそれが「クロスオーバー化(SUV化)」といえるのです。

 あるトヨタ系販売会社の担当者は「クラウンのSUV化に関する問合せは、2020年末の報道時にいくつかありました。その際、『反対』『賛成』の両方の声を頂いています。今後、どのような形で出てくるのかは分からない部分も多いですが、トヨタとして大切なブランドですので、上手く展開できればと思っております」

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 2022年に登場するといわれる次期型クラウンはどのような形でお披露目されるのか、そして日本のユーザーがどのような反響を見せるか、今後の動向からも目が離せません。