ニーズの変化にはあらがえず、2000年代に激減してしまったのが2ドアクーペです。かつては若者が乗るクルマとして隆盛を極めていました。そこで、シリーズ最後のモデルとなってしまった高性能クーペを、3車種ピックアップして紹介します。

シリーズ最後のクーペを振り返る

 かつて若者が乗るクルマとして定番だったのが2ドアクーペです。現在、高級ブランドのクーペは海外でもパーソナルカーとして一定の需要があるため、比較的ラインナップは豊富ですが、コンパクトなモデルはもはや絶滅寸前です。

 2ドアクーペというとスタイリシュなデザインのモデルで、高性能なエンジンを搭載したスポーティな印象が強いのですが、居住性や使い勝手の面では不利で、1990年代の終わりから2000年代初頭にかけて多くのモデルが消えていきました。

 かつてどんなに人気があったモデルでも、ニーズの変化にはあらがえなかったということでしょう。

 そこで、シリーズ最後のモデルとなってしまったクーペを、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「カローラレビン/スプリンタートレノ」

 トヨタは1972年に、2代目「カローラ」をベースとした高性能な派生車として初代「カローラレビン」を発売。同時に販売チャネル違いの姉妹車「スプリンタートレノ」(以下、レビン/トレノ)も誕生しました。

 オーバーフェンダーを装着した外観はレーシーなイメージで、トップグレードには1.6リッター直列4気筒DOHC「2T-G型」エンジンを搭載し、比較的に手頃な価格だったことから若者を中心に絶大な人気を獲得。

 その後も同様なコンセプトのまま代を重ねて、大きな転換期を迎えたのが1987年に登場した5代目です。時代の流れからレビン/トレノともFF化され、シリーズ初となる過給器付き(スーパーチャージャー)も加わります。

 一方で、ボディは初代に回帰したかのように、3ドアハッチバックは廃止され2ドアクーペのみとなりました。

 そして、1995年には最終モデルとなる7代目がデビュー。

 外観は先代が全体的に丸みを帯びたフォルムだったのに対し、エッジの効いたシャープなデザインへと一新しました。

 上位の「BZ系」グレードには、最高出力165馬力を誇る1.6リッター直列4気筒5バルブDOHC自然吸気エンジンを搭載。ほかにも、115馬力の1.6リッターと、100馬力の1.5リッターという2種類の「ハイメカツインカム」も設定され、シリーズ共通である廉価グレードが展開されました。

 また、直進安定性と運動性能を高次元で両立する「スーパーストラットサスペンション」搭載のMT車には新開発のヘリカルLSDを国産FF車として初採用するなど、シリーズの集大成にふさわしい優れたシャシ性能を発揮。

 その後、クーペ人気の低迷から2000年に生産を終え、レビン/トレノは長い歴史に幕を閉じました。これ以降、カローラシリーズに2ドアクーペはラインナップされていません。

●ホンダ「シビッククーペ」

 アメリカではコンパクトサイズのクーペは、若者のクルマとしてだけでなく働く女性が通勤などで使う、いわゆる「セクレタリーカー」(直訳すると「秘書のクルマ」)としてもニーズがありました。

 そうした市場に向けホンダは1991年に、アメリカで企画・開発・生産された初代「シビッククーペ」を発売。1992年には日本でも輸入車として販売されましたが、2000年に2代目をもって国内モデルの販売は終了となりました。

 その後も北米市場では引き続き販売され、2016年には6代目が登場。プラットフォームは10代目シビックがベースで、これまでと同じくアメリカホンダによって開発されました。

 グレードはスタンダードモデルと高性能モデルの「Si」があり、ボディは前傾姿勢が強いウェッジシェイプで、スピード感のあるスタイリッシュなクーペという印象です。

 搭載されたエンジンは、174馬力の1.5リッター直列4気筒ターボと158馬力の2リッター直列4気筒自然吸気、そしてSiには205馬力を誇る2リッター直列4気筒ターボが搭載され、トランスミッションは6速MTのみと硬派なイメージとなっています。

 さらに、Siでは専用デザインのバンパーやホイール、小ぶりながらアグレッシブなリアスポイラーなどが装備され、よりスポーティな外観を獲得。

 内装はセダン、ハッチバックに準じたデザインですが、専用のスポーツシートに、レッドカラーの差し色を各部のステッチからインパネまわりまで随所に入れることでスポーティに演出されています。

 しかし、2021年6月に11代目シビックが登場すると、シビッククーペは誕生から30年という節目で消滅してしまいました。

●日産「スカイラインクーペ 370GT」

 日産「スカイライン」は3代目の「ハコスカ」から2ドアクーペ(ハードトップ)が追加ラインナップされると、以降は4ドアセダンと2ドアクーペというふたつのボディラインナップが定番となり、どちらも甲乙つけがたい人気を獲得。

 しかし、2002年に生産を終えた10代目の「R34型」をもって、2ドアクーペがラインナップから消滅。ところが2003年に新たな「スカイラインクーペ」(CV35型)として復活を遂げました。

 大型のボディを生かした流麗なフォルムから一定の人気を得て、2007年には12代目のクーペモデル「CV36型 スカイラインクーペ 370GT」が誕生。

 外観はセダンとデザインコンセプトが共通ながら、細部の造形はクーペ専用とされ、抑揚のあるグラマラスなフォルムが特徴です。

 エンジンは最高出力333馬力を誇り、高回転&ハイレスポンスを実現した3.7リッターV型6気筒自然吸気「VQ37VHR型」を搭載。トランスミッションは5速AT(後に7速ATに換装)に加え、上位グレードの「Type S」と「Type SP」では6速MTも設定されました。

 スカイラインクーペ 370GTは、もともとは北米を主戦場として開発されたインフィニティ「G37クーペ」の日本仕様というスタンスで、13代目スカイラインがデビューした後もクーペはフルモデルチェンジせずに継続して併売されました。

 しかし、2016年に国内向けの生産を終了。3代目から始まったスカイラインのクーペは長い歴史に幕を閉じました。

 なお北米では、現行スカイラインとプラットフォームを共有するクーペのインフィニティ「Q60」が今も販売されています。

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 クーペの需要は世界的にも低迷しており、すでに市場から撤退しているメーカーも複数あります。

 一方で、クーペのスタイル自体は今も人気があるからか、4ドアクーペやクーペSUVという新ジャンルが誕生。

 4ドアクーペではセダンベースでリアセクションがクーペに近い形状で、クーペSUVではリアハッチの傾斜角を寝かせているのが特徴です。

 本来ならばスペース効率的には不利になるボディ形状ですが、人気に比例して採用するメーカーも多く、まさに時代のニーズにマッチした新たなクーペ像なのかもしれません。