1980年代は世界的にもクルマの高性能化が加速しましたが、同じ時代に生産されていた同じクラスのスポーツカーが存在。そこで、性能や見た目もガチのライバルだった日欧のFRスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。

見た目も性能もかなり近かった日欧のFRスポーツカーを振り返る

 1980年代といえば、ターボエンジンの普及やDOHCエンジンの復活によって、国産車の動力性能が一気に向上しました。これは欧州車にも当てはまり、数多くの高性能車が誕生。

 同じ時代に生産されたスポーツカーたちは、自国だけでなくグローバルで展開されたことから、ライバル関係となり、さらに性能向上が図られました。

 そこで、見た目や性能もガチのライバルだった日欧のFRスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●ポルシェ「944」

 ポルシェ「911」といえば世界でもっとも有名なスポーツカーのひとつで、長い歴史のある、まさにポルシェを代表するモデルといえるでしょう。

 一方で、ポルシェはこれまで911以外にも魅力的なスポーツカーを生み出しており、そのなかの1台が1983年に登場した「944」です。

 944の前身となるモデルは1975年に誕生した4シーターFRスポーツカー「924」で、フォルクスワーゲン(アウディも含む)の部品を流用することでコストダウンを図ったポルシェのエントリーモデルと開発。

 この924のコンセプトを継承しながらも、さらにブラッシュアップを図ったのが944です。

 ボディは924をベースとしたリトラクタブルヘッドライトの3ドアハッチバックですが、よりワイドでシャープなフォルムとなり、FRスポーツカーとして迫力あるスタイルに変貌しました。

 発売当初に搭載されたエンジンは自社開発の最高出力163馬力を発揮する2.5リッター直列4気筒SOHCで、その後、220馬力を誇る「944ターボ」、DOHC化されたエンジンを搭載する「944S」、1989年には3リッターDOHCエンジンで211馬力を発揮し、ターボモデルに迫るパフォーマンスを実現した「944S2」が登場するなど、徐々にハイパフォーマンス化。

 また、トランスミッションはデファレンシャルギヤと一体でリアに搭載するトランスアクスルを採用し、前後重量配分のバランスを最適化が図られた5速MTと3速ATが設定されています。

 もともとはエントリーモデルのポジションだった944ですが、その性能は高く評価されレースでも活躍するなど、911とは異なる顧客獲得に成功。

 その後944は1991年に生産を終え、再びキープコンセプトとしたFRスポーツカー「968」にバトンタッチしました。

●三菱「スタリオン」

 三菱は1970年代に「コルトギャラン GTO」や「ギャランクーペ FTO」といった魅力的なスポーツカーを輩出していましたが、1980年代の高性能化を鑑み、グローバルで展開できる次世代モデルとして1982年にスタリオンを発売しました。

 外観は直線基調のシャープなウェッジシェイプを採用した3ドアハッチバッククーペで、流行のリトラクタブルヘッドライトも取り入れています。

 内装では7つのメーターを配置するコクピットに、サポート性の高いバケットシートを装備。トップグレードの「GSR-X」では本革シートを採用するなど、欧州製スポーツカーに負けないスポーティかつゴージャスな装いです。

 エンジンはターボと自然吸気をラインナップし、2リッター直列4気筒SOHCターボは最高出力145馬力(グロス)を発揮し、自然吸気エンジンは2リッターのキャブレター仕様で110馬力でした。

 また、ターボ車のサスペンションは4輪ストラットの独立懸架で、ブレーキは当時の国産車としては異例の4輪ベンチレーテッドディスクが奢られるなど、欧州市場を意識していたといえます。

 その後、自然吸気エンジンは廃止され、2リッタークラスのパワー競争が激化するなか1983年にはインタークーラーを装着して、最高出力は175馬力(グロス)まで向上。

 1984年には先進的な可変バルブシステムを採用した「シリウスDASH 3×2」ターボエンジンを搭載した「GSR-V」グレードが追加ラインナップされ、最高出力は200馬力(グロス)に到達しました。

 そして、1988年に最高出力175馬力の2.6リッターターボエンジンを搭載した、輸出用と同じブリスターフェンダーのモデル、GSR-VR(カタログモデル)が登場しましたが、もはや基本設計の古さは否めず、1990年に実質的な後継車の「GTO」にバトンタッチするかたちでスタリオンの歴史は終了。

 なお、スタリオンは三菱のラインナップで、最後のFRスポーツカーでした。

●マツダ「サバンナ RX-7」

 マツダの高性能エンジンといえばロータリーエンジンが挙げられ、1967年に「コスモスポーツ」が誕生した以降は、ロータリーエンジン搭載車の拡大が一気に進みました。

 そのため、セダンやマイクロバスにもロータリーエンジンが搭載されましたが、やはりスポーツカーでこそロータリーエンジンの真価が発揮されたとあって、1978年に「SA22C型 サバンナRX-7」が誕生。

 その後、ターボ化されるなど高性能化を果たしますが、旧来のシャシを捨て、1985年に新世代のピュアスポーツカーとしてFC3S型 サバンナRX-7が登場しました。

 初代サバンナRX-7は日本のみならずアメリカや欧州でも人気を博したことから、FC3S型 はグローバルで通用するスポーツカーとは何かということをゼロから見つめ直し、未来へ通じる新しいスポーツカーを創造するというコンセプトで開発されたといいます。

 外観は幅広い偏平タイヤを収めるブリスターフェンダーによる迫力あるスタイルを採用。ロングノーズのウェッジシェイプで、スポーツカーの作法どおりリトラクタブルヘッドライトが装着されています。

 エンジンは、排気量654cc×2ローターの13B型ロータリーエンジンに、ツインスクロールターボチャージャーと空冷式インタークーラーを装備し、最高出力は185馬力とレシプロエンジンの2リッターターボに匹敵しました。

 同時にエンジンは先代同様フロントミッドシップに搭載され、前後重量配分はFRスポーツカーとしては理想的な50.5:49.5を達成しています。

 また、足まわりではフロントにストラット、リアに4輪操舵技術を応用した「トー・コントロール・ハブ」が採用された、ラテラルロッド付のセミトレーリングアームを採用し、走りのポテンシャルが大幅に向上しました。

 その後、1986年にはさらにスポーツ性を追求したモデルとして、特別仕様車の「∞(アンフィニ)」を限定販売し、ほかにもバリーエーションの拡大として、1987年にロータリーエンジン車販売20周年を記念して、高性能なオープンカー「カブリオレ」が追加されました。

 進化の歩みも止まらず、1989年のマイナーチェンジでは、エンジンの圧縮比を高め、ターボチャージャーの改良をおこない、最高出力は205馬力に向上し、アンフィニではではさらにチューニングされたことで最高出力215馬力を発揮。

 1991年10月に後継車となるアンフィニ「FD3S型 RX-7」が登場して、カブリオレは1992年まで併売されましたが、FC3S型は使命を終えました。

 FD3S型の有機的なデザインも大いに魅力的ですが、FC3S型のシンプルなフォルムは、今も多くのファンを魅了しています。

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 この3台は当時、実際に欧米では競合するライバル関係にありました。サイズやデザイン、動力性能も近いことから自然な流れでしょう。

 一方、日本の市場では944は高級スポーツカーであり価格も700万円近くとあまりにも高額で、スタリオンやサバンナRX-7と競合することはありませんでした。

 現在は3車種とも消滅して久しいですが、振り返ってみると古さをあまり感じさせない魅力あるスポーツカーではないでしょうか。