日本車の本格的な海外進出が始まったのは1960年代からで、1980年代には海外に工場を設立し、現地生産が盛んとなりました。当初は日本でも販売されている車種を海外向けに改良して販売していましたが、その後、海外のニーズに合った専用モデルを展開。そこで、日本でも売ってほしかったと思うような魅力的な海外専用車を、3車種ピックアップして紹介します。

かなり魅力的な海外専用モデルを振り返る

 日本で自動車製造が始まったのは今から100年以上前ですが、1940年代初頭には海外への輸出が始まりました。しかし、第二次世界大戦が勃発し、輸出は停止。戦後になって本格的な海外進出が再開されたのは1960年代です。

 当初は性能や品質の問題もあって日本車は海外では「安かろう悪かろう」という評価でしたが、1960年代の終わりには海外でも認められて数多くのヒット作も誕生しました。

 1970年代から1980年代にかけては、日米貿易摩擦の矢面に立つほど日本車が売れ、打開策として現地生産を開始。

 当初は日本で販売されている車種を海外向けに改良して生産・販売していましたが、その後、海外のニーズに合ったモデルを展開し、現在も海外専用車が多数販売されています。

 そこで、日本でも売ってほしかったと思うような魅力的な海外専用車を、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「シビック ツアラー」

 2021年9月3日に、11代目となるホンダ新型「シビック」が日本で発売され、大いに注目されています。

 新型シビックのボディタイプは日本ではハッチバックのみ、海外ではセダンも展開していますが、かつてはステーションワゴンも存在。しかし、日本では1996年に「シビック シャトル」を最後にラインナップから消滅してしまいました。

 欧州では6代目ベースで「シビック エアロデッキ」の名でステーションワゴンが存在しましたが、7代目では廃止となっています。

 ところが、2014年に9代目をベースとしたステーションワゴンの「シビック ツアラー」が欧州専用モデルとして復活しました。なお、9代目は日本で「タイプR」が限定販売されたのみです。

 外観のデザインは5ドアハッチバックとイメージを共有しつつボディを延長し、スタイリングの特徴はボンネット先端からルーフ後端まで、ワンモーションのラインがシャープなフォルムを形成していること。さらにドアミラーからテールランプまでの斜めのラインとルーフサイドのラインによって、サイドビューをよりスポーティに演出しています。

 リアゲートの傾斜角も強く寝かせるなど、単なるステーションワゴンというよりもスポーティなハッチバックに近い印象です。

 エンジンは1.8リッター直列4気筒ガソリン、もしくは1.6リッター直列4気筒ターボディーゼルを搭載し、トランスミッションは5速AT(ガソリン車のみ)に加えて6速MTを設定。

 その後、2017年に10代目が登場するとシビック ツアラーは廃止され、シリーズでは最後のステーションワゴンとなってしまいました。

●日産「セントラ NISMO」

 かつて、日産の小型セダン/ハッチバックで主力車種だった「サニー」は、アメリカでもダットサンブランドで古くから販売されていましたが、サニーがFF化されると同時にアメリカでは「セントラ」の名に変わりました。

 現行モデルのセントラは8代目にあたり、北米だけでなく中国、南米などでも販売されているCセグメントセダンですが、注目したいのは先代の7代目で、2016年に高性能モデルの「セントラ NISMO」が北米用にラインナップされました。

 7代目セントラは日本で3代目「シルフィ」として販売されていたモデルと同じですが、シルフィはベーシックなセダンという印象です。

 一方、セントラ NISMOでは最高出力190馬力を誇る1.6リッター直列4気筒直噴ターボの「MR16DDT型」エンジンを搭載。トランスミッションはCVTに加えて6速MTが設定するスポーツセダンへと変貌を遂げました。

 外観では専用デサインとされたスポイラー形状のフロントバンパー、サイドスカート、ディフューザー形状のリアバンパー、さらにトランクリッドにはリアスポイラーを装備。

 内装にはスポーツシートに小径のステアリングホイール、カーボン柄のセンターコンソールを採用し、随所にレッドカラーの差し色が施されスポーティな装いです。

 また、補強により剛性アップしたボディに強化されたサスペンションとブレーキ、18インチタイヤが奢られ、エンジンパワーに見合うシャシ性能を実現するなど、NISMOモデルにふさわしい仕様となっています。

 2019年に8代目へとフルモデルチェンジした際に、残念ながらNISMOモデルは廃止。エンジンも全車自然吸気となりました。

●トヨタ「アバロンTRD」

 最後に紹介するのは、現行モデルのトヨタ「アバロン」です。1994年に北米で誕生したアバロンは、トヨタブランドのフラッグシップセダンとしてデビュー。初代は日本でも輸入車として販売され、2代目も「プロナード」の名の高級セダンとして日本に導入されました。

 現行モデルは2018年に登場した5代目で、全長4976mm×全幅1850mm×全高1435mmとレクサス「ES」と同等のボディに、3.5リッターV型6気筒エンジンと、2.5リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドモデルがラインナップされています。

 そして、2019年には高性能モデルの「アバロン TRD(Toyota Racing Development)」が登場。北米トヨタのデザインスタジオ「Calty」によるスタイリングと、TRDによる強化されたシャシを採用する「トラックチューニング」が施され、ラグジュアリーモデルとは思えないアグレッシブなスポーツセダンへと変貌。

 外観では高速走行時の安定性を向上させるフロントスプリッター、サイドスカート、リアスポイラー、リアディフューザーが装備されました。

 また、ねじれ剛性を高めたシャシに車高を15mmローダウンするスポーツサスペンション、TRDの専用19インチホイールとハイグリップタイヤなどにより優れたハンドリングを実現。

 最高出力301馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒エンジンのパワーと、パドルシフト付き8速ATにより、まさにスポーツドライビングが楽しめるエグゼクティブセダンに仕立てられています。

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「隣の芝生は青く見える」という言葉がありますが、日本で売っていないクルマというだけでも魅力的に見えてしまいます。

 同様に海外のクルマ好きも、日本専売車や日本独自仕様のJDM(Japanese domestic market)は魅力的なようで、近年の「スカイラインGT-R」人気が代表的な例でしょう。