メルセデス・ベンツが好調です。2021年1月から8月の数字を見てみると、3万5508台と前年比105.7%、2位のBMWが2万2891台なので、現時点ですでに1万台以上引き離してぶっちぎりの輸入車ブランド1位を走っています。好調の要因のひとつに、2020年に日本上陸した2台のコンパクトSUVの存在があるといいます。GLAとGLBに注目してみました。

Aクラスのプラットフォームを用いたSUVであるGLAとGLB

 メルセデス・ベンツが2020年6月に日本での販売を開始した、コンパクトSUVである「GLA」と「GLB」の販売が好調です。

 日本自動車輸入組合(JAIA)が発表する「外国メーカー車モデル別トップ20の推移」を見ると、2021年上半期(1月から6月)では、GLBが総合の10位、GLAが総合の20位にランクインしています。

 メルセデス・ベンツとして、もっとも順位が高いのは6位の「Aクラス」であり、10位のGLBは、そのAクラスに次ぐ順位となります。

 また、3か月ごとのトップ20の推移を見ると、2020年10月から12月に、GLBは総合4位まで順位を上げています。またGLAは、3か月ごとでも18位から19位で、トップ20入りをキープし続けています。

 VWのコンパクトSUV「T-Roc」や「T-Cross」、ジープ「ラングラー」、アウディ「Q3」といったライバルSUVと戦いつつも、上位に食い込むGLBと、トップ20をキープするGLA。なかなかの成績といえるのではないでしょうか。

 では、そんなGLAとGLBとはどのようなクルマなのでしょうか。

 端的にいえば、「メルセデス・ベンツのコンパクトモデルであるAクラスのプラットフォームを使った、小さなSUV」、それがGLAとGLBです。

 ただしGLAは、クーペ風のルックスの2列シートの5人乗車モデル。一方のGLBはもう少しボクシーなフォルムで、3列シートの7人乗車。同じコンパクトSUVですが、GLAはパーソナル的な使い方、GLBはファミリーにぴったりという違いがあります。

 消費税込みの車両価格は、1.4リッターガソリンターボを搭載する「GLA180」が521万円、「GLA180」が557万円。2リッターディーゼルターボを搭載し4WDの「GLA200d 4MATIC」が545万円、「GLB200d 4MATIC」が581万円です。さらにスポーティなAMGモデルも用意されます。

 GLAもGLBもMBUXという最新の対話型インフォテイメントシステムと、衝突被害軽減ブレーキなどの運転支援システム、コネクテッドサービスなどは、最新のものが採用されているのも大きな魅力となります。正直こうした部分は、ブランドとしてエントリーになるモデルも、上位モデルと遜色ないというのが、最近のメルセデス・ベンツの流儀。これもGLAとGLBの人気の理由のひとつといえるでしょう。

日本で絶好調の理由は「メルセデスme」の存在も大きい

 そんなGLAとGLBが売れる理由は、いくつも考えることができます。まず、簡単なのは車両価格です。

 メルセデス・ベンツのSUVとして、もっとも安価。だから売れているというわけです。ここで重要なのはGLAとGLBが「ほかのメルセデス・ベンツSUVより安いけれど、中身がチープなわけではない」というところです。

 MBUXなどの先進機能などが上位モデルと遜色ないというだけでなく、内装のゴージャスさもそれほど見劣りしていません。メルセデス・ベンツの中では安いけれど、オーナーになれば、十分にゴージャスな気分に浸ることができます。

 また日本で使うには、コンパクトなGLAやGLBのサイズ感が良いというところも魅力となります。

 メルセデス・ベンツの中では小さいGLAとGLBですが、日本車と比べると小さいわけではありません。GLAは、全長4415mm×全幅1835mm×全高1620mm。GLBは全長4640mm×全幅1835mm×全高1700mm。たとえばトヨタの「RAV4」は全長4610mm×全幅1865mm×全高1690mmと、あまり変わらないサイズなのです。

 そんなGLAとGLBのうち、とくにGLBの人気が高いのは多人数乗車可能なのが理由ではないでしょうか。

 日本では、家族の多いファミリーはミニバンが第一の選択肢となります。しかし、欧州車のミニバンは、商用イメージがまだまだ色濃く残ります。そのため、多人数で利用したい場合、欧米では3列シートのSUVを選ぶのが常識となります。

 まとめてみれば、GLAとGLBの人気は、「メルセデス・ベンツの充実した機能がコスパよく手に入る」「日本で使いやすいサイズ」「(GLBは)ミニバン代わりに使える」というのが理由といえるでしょう。

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 また、こうした理由の土台となるのが、最近のメルセデス・ベンツの日本でのプロモーションの巧みさです。

 とくに素晴らしいのが「メルセデスme」の存在です。これは六本木、品川プリンスホテル、大阪、羽田空港内などに用意されたショールームです。

 ポイントは、ここではクルマを売らないということ。また、カフェが併設されているなど、誰もが気軽に訪れることができるようになっています。こうしたショールームがあることで、どれだけ多くの人が、メルセデス・ベンツの車両に身近に触れることができるのでしょうか。

 考えてもみてください。街道沿いにあるディーラーに、「なんとなく話題だから、買う気はないけど、クルマを見に行こう」と行動できる人は、相当に少ないことでしょう。メルセデス・ベンツは高級ブランドですから、もともと敷居の高い存在です。それでは、新規顧客を増やすのは難しくなります。

 しかし、メルセデスmeがあることで、ブランドが身近になることは間違いありません。それが、輸入車ナンバーワンの販売を誇るメルセデス・ベンツの快進撃の理由のひとつ。これも、GLAとGLBの好調の大きな理由ではないでしょうか。