マツダと長安汽車の中国における合弁会社「長安マツダ」から、中国専売車となる電気自動車「CX-30 EV」が登場しました。ベース車から車高が上げられているといいますが、どんなクルマなのでしょうか。

ボディが厚くなった? 新型「CX-30 EV」とは

 中国におけるマツダと長安汽車の合弁会社「長安マツダ」が、現地で新型「CX-30 EV」を近々発売すると報じられてきましたが、ついに2021年9月26日に販売が始まりました。

 このクルマは日本でもおなじみの「CX-30」をベースとしていますが、長安汽車独自のパワートレインを搭載した中国専売モデルとなり、ベース車よりも全高が高くなっています。どんな電動SUVなのでしょうか。

 CX-30 EVは2021年4月の上海モーターショーで、まずコンセプトモデルが発表されました。

 名前の通りCX-30にそのままEV用パワートレインを搭載したモデルが登場すると予想されていましたが、実際に発表されたのはCX-30をベースとしつつも、サイドビューがかなり厚みを増したデザインとなりました。

 前後のフェンダーとサイド下部をつなぐモール部分は通常モデルとさほど変わらないように見えますが、フェンダー部のモールより上にはフェンダーをかたどったくぼみが盛り込まれています。

 こちらはEVモデル独自のデザイン要素となり、くぼみの途中にはダクトのようにも見える切り込みが入っています。

「e-SKYACTIV」のエンブレムが装着されたドアパネル下部のガーニッシュも大きな特徴です。

 また、ボディサイズはベース車が全長4395mm×全幅1797mm×全高1545mmとなっているのに対し、CX-30 EVは全長4410mm×全幅1852mm×全高1655mmとなっています。

 とくに全高の数値がベース車よりも110mm高くなっていますが、これはEV化にともなって搭載されたバッテリーなどの分で全高がかさ増しされているものと思われます。

 事実、総重量も2247kgとなっており、ガソリンモデルの1849kgに対して約400kgの増加が確認できます。

 高くなった全高は乗降性にも影響するため、乗り降りがしやすいようにサイドステップが取り付けられているのも特徴です。

 内装に関しては大きな変更はなく、シフトノブの形状とメーター周りが同じマツダの「MX-30」と共通のものが採用されています。

 肝心のパワートレインですが、こちらはマツダよりも長安汽車の意向が反映されています。

 バッテリーは容量61.1kWhのものを搭載し、航続距離はNEDC方式で450km。充電時間は急速充電(0-80%)で55分、通常の充電で10時間かかるとしています。

 セル自体は寧徳時代新能源科技(CATL)、全体のバッテリーユニットは長安汽車のNEV部門「重慶長安新能源汽車科技」が製造を担当するとしています。

 また、搭載モーターの出力は160kW、トルクは300Nmとなっていますが、これは長安汽車の他のSUVモデル「CS55」などでも採用されている「XTDM13」となっています。

縁起の良い赤のボディ色も「CX-30 EV」にとって追い風となる?

 CX-30 EVは現時点でベーシックな方から「純電馭享版」「純電頸享版」「純電尊享版」の3モデルがラインナップされており、それぞれ政府などが提供する補助金適用後の価格は、15万9800元(邦貨換算約276万1200円)、18万800元(約312万4000円)、20万1800元(約348万7000円)となっています。

 同じ日本メーカー系の電動SUVとして東風ホンダの「M-NV」と「X-NV」、広汽ホンダの「VE-1」、一汽トヨタの「イゾアEV」、そして広汽トヨタの「C-HR EV」が挙げられます。

 そのうち、M-NV、X-NV、そしてVE-1は初代ヴェゼルをベースとしており、価格も比較的安価です。

 トヨタの両モデルはどちらもC-HRベースですが、価格が22万5800元(約390万1600円)台スタートとなっており、M-NVの14万9800元(約258万8400円)、X-NVの16万9800元(約294万4000円)、VE-1の15万9800元(約276万1000円)に比べるとかなり高価となっています。

 航続距離に関しても、M-NVが480km、X-NVが465km、VE-1が470km(最上級のVE-1 TAは480km)であるのに対し、トヨタの両モデルは400kmとなっています。

 出力はどのモデルもほぼ一緒であるため、価格と航続距離を見てもホンダが一歩抜きんでているといえるでしょう。

 そうすると、トヨタにこだわりの無い人はホンダとマツダを比較して選ぶことになります。

 CX-30は航続距離こそ若干ホンダ勢に負けていますが、マツダ特有の内装の上質さやデザイン性は別モデルでも中国で支持を得ています。

 また、マツダはイメージカラーに赤を使っていますが、中国では赤色が縁起の良い色とされており、それもマツダ人気の高さに一役買っているといえそうです。

 なお、マツダは2021年8月、中国での現地合弁会社の整理をおこないました。

 それまでは長安汽車との間に設立された「長安マツダ」、そして第一汽車との間に設立された「一汽マツダ」が存在していましたが、第一汽車が長安汽車への出資を発表したことにより、事実上、中国での合弁会社は長安マツダへ一本化されることに。

 これにより長安マツダは「(新)長安マツダ」となり、これまでの一汽マツダは日本のマツダと(T新)長安マツダが出資する新しいマツダ関連企業へと改編されることになります。

 現地合弁の一本化後に登場する最初のモデルとなるこのCX-30 EVが、中国市場にてどのように受け入れられていくかが楽しみです。