北米ではJDM人気で、日本製スポーツカーが驚くようなプライスになっていますが、当時正規に輸出されていた左ハンドル仕様の国産スポーツカーはどうなのでしょうか? 2代目マツダ「RX-7」を例に、最新オークション情報から動向を調査します。

「マツダ=ロータリー」を確固たるものにした「RX-7」の系譜

 マツダが実用化したといっていいロータリーエンジンは、回転するローターがエネルギーを生み出すことから、レシプロエンジンよりも振動が少なく、エンジン本体もコンパクト化でき、かつ、1回転で2度の燃焼がおこなわれることで、小排気量でもパワーを出しやすいという特長がある。

 そのかわり、燃焼室が移動するため燃焼効率が低く、それによって排気ガスは濃度が高く、燃費も悪いなどといった弱点もあり、現代の内燃機関に対する環境基準に合致させるのは難しい。

 しかしマツダは、ロータリーエンジンの開発をやめたわけではなく、シリーズハイブリッドの発電機用として、ロータリーエンジンの復活を目指している。

 そうした実用ロータリーエンジンが、量産車に初めて搭載されたのは1967年のことだった。「コスモ・スポーツ」がそのクルマである。

 このとき搭載されていたのは、10A型エンジンであった。この「10」という数字は、ふたつあるローターハウジングの排気量を表している。10Aの総排気量は982ccであった。

 この10Aエンジンが発展して生まれたのが、初代のSA22C型「RX-7」に搭載されていた12Aエンジンだ。これは573ccのローターをふたつくっつけることでパワーアップを実現している。

 その後開発された13B型エンジンは、ローターの排気量を654ccに拡大。そしてターボチャージャーを装備した13B−T型は、185psを発生するに至る。わずか1300ccの排気量でこのパワーである。後にFD3S型RX−7に搭載された13B-REW型エンジンは280psを発生するという、高性能ぶりを発揮した。13Bは、ロータリーエンジン史上の名機といっていいエンジンなのである。

 この13B型エンジンをはじめて搭載したRX−7(FC3S型)が、アメリカ・インディアナ州で開催されたRMサザビーズオークションに出品された。

 1985年に発売されたFC3S型は、日本においては13B-T型エンジンを搭載したスポーツカーだった。200km/hをはるかに超える最高速度を記録し、0−100km/h加速も6秒台というのは、当時としては十分以上の速さである。

 独立懸架となったリアサスペンションや、フロントに装備された対向4ピストン式のブレーキキャリパーなど、エンジンのみならず、走りへの拘りも半端ないものがあった。

 実はこのFC3S型には、先代のSA22C型と同じく輸出仕様車が存在する。この輸出仕様車のエンジンは、13B−Tに加えて、ターボなしの13B型も搭載されていた。

●ターボ無しのカブリオレの落札価格は?

 今回のオークション出品車はカブリオレボディで、エンジンはNAの13Bである。トランスミッションは5速MTで、走行距離は4万4000マイル(約7万400km)。カブリオレのソフトトップは電動格納式で、リアデッキにはカーゴラックも装備されている。

 レッドのボディカラーは色あせもなく、ソフトトップも艶のある状態で、外装は比較的美しい状態。内装もスレなどは見当たらず、いまとなっては懐かしいソニーのCDチェンジャーも装備されている。

 さて、このFC3Sのカブリオレモデル(FC3C型)の落札価格は、1万5950ドル(邦貨換算約177万円)だった。この価格、思ったよりも安いと感じた人が多いのではないだろうか。

 現在の日本国内の中古車市場価格は、200万円オーバーがあたり前である。想像するにこの価格は、走行距離の多さと、ターボなしのエンジンであるということが要因となっているのかもしれない。

 しかし13B型のターボエンジンは、現在でも探せば割と簡単に見つかるものだ。エンジン換装には手間と費用も掛かるが、それほど難しいものでもない。そう考えると、今となっては希少なオープントップボディのFC3Cがこの価格で手に入るのは、落札者にとっては大きな意味がある。

 エンジンのパーツがあるうちに13Bターボに乗せ換えておけば、おそらくは2度と味わえない原動機としてのロータリーエンジンの面白さを、オープントップで存分に味わうことができるのである。