1960年代の中頃から日本でもマイカー時代が到来しました。当初、ファミリーカーでもパーソナルカーでも主流だったのはセダンで、以来1990年代までは各メーカーは豊富なセダンラインナップを展開していました。そこで、セダンが隆盛を極めていた1990年代に登場したスタイリッシュなモデルを、3車種ピックアップして紹介します。

1990年代に登場したイケてるセダンを振り返る

 1966年に、日産(ダットサン)「サニー」とトヨタ「カローラ」という後に日本を代表する2台の大衆車が誕生し、多くの人がマイカーを持つことが夢から現実に変わりました。

 以来、ファミリーカーやパーソナルカーの主流はセダンであり、1990年代までは各メーカーから数多くのセダンがラインナップされ、まさに隆盛を極めていたといえるでしょう。

 しかし、1990年代はミニバンの普及が加速し、ファミリーカーの主流はミニバンへと移り、セダンの人気は徐々に低迷して現在に至ります。

 この、セダンにとってもっとも華やかな時代だった1990年代には、かなりイケてるモデルが誕生。

 そこで、1990年代にデビューしたスタイリッシュなセダンを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「インスパイア/セイバー」

 1989年に、ホンダは4代目「アコード」を発売するとともに、さらに上位のモデルとして「アコードインスパイア」と兄弟車の「ビガー」が誕生しました。

 そして1995年に登場した2代目では車名からアコードの名が取れ、「インスパイア」と兄弟車「セイバー」として独立。1998年に、インスパイア/セイバーは3代目にモデルチェンジされるのですが、この3代目は開発から生産に至るまで、すべて米国ホンダが主導したモデルとなり、アキュラ「TL」が日本仕様に仕立てられて輸入販売されました。

 ボディサイズは全長4840mm×全幅1780mm×全高1420mm、ホイールベース2745mmとロー&ワイドかつ伸びやかなフォルムで、同時期のアコードよりもスマートな印象です。

 また、スラントノーズのシャープなフロントフェイスが特徴的で、この低いボンネットの前端からリアに至るまで、流れるようなシルエットを実現。

 搭載されたエンジンは最高出力225馬力を発揮する3.2リッターV型6気筒と、200馬力2.5リッターV型6気筒が設定され、トランスミッションは全グレードにマニュアルシフトが可能な4速ATが採用されました。

 また、先代からねじり剛性を70%、曲げ剛性を80%向上させた高剛性ボディとし、4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションと相まって、スポーティなハンドリングと快適な走りを高次元で両立していました。

 その後、2003年に4代目の発売でインスパイアにセイバーが統合され、2007年に発売された5代目をもってインパイアは生産を終了しました。

●三菱「ギャラン」

 1969年に、三菱は新時代のセダンとして「コルトギャラン」を発売しました。スポーティなデザインと優れた走りからヒット作となり、以降はギャランが三菱の主力車種となり、代を重ねました。

 そして、ギャランシリーズの大きな転換期となったのが1987年に登場した6代目で、トップグレードに高性能なターボエンジンとフルタイム4WDシステムを組み合わせた「VR-4」を設定。

 あらゆる路面で高い走行性能を誇り、世界ラリー選手権にも出場するなど、後の「ランサーエボリューション」シリーズの前身となったモデルでした。

 その後のギャランは6代目のコンセプトを継承しつつ、よりラグジュアリーなモデルとなり、1996年に8代目ギャランがデビューしました。

 外観で特徴的だったのが、ヒットした6代目に回帰したような逆スラントノーズの精悍なフロントフェイスで、力強い印象を与えていました。

 一方で全体のシルエットは、ラウンドしたルーフラインによって柔らかなイメージです。

 トップグレードのVR-4には最高出力280馬力を誇る2.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンを搭載し、8代目ギャラン最大のトピックは、自然吸気モデルに量産車世界初の直噴ガソリンエンジン「GDI」を採用したことが挙げられます。

 また、8代目ギャランでは動力性能の向上だけでなく、同時に乗り心地や静粛性が向上して、内装もより豪華に仕立てられるなど、セダンとしてのポテンシャルも高められました。

 しかし、セダンに対するニーズの変化から販売は良好とはいえず、2002年にVR-4の生産を終了し、2005年にはギャランは8代目をもって一旦は生産を終えました。

 その後、2007年に「ギャランフォルティス」としてギャランの名が復活しましたが、2015年に生産を終了し、ギャランの長い歴史は幕を下ろしました。

●日産「セドリック/グロリア」

 前述のとおり初代サニーが誕生してからは、日産はあらゆるセグメントにセダンを投入して、1970年代にはフルラインナップ化を完成しました。

 そのなかでもアッパーミドルクラスの主力セダンであり、長い歴史を刻んでいたのが「セドリック/グロリア」です。

 1988年に初代「シーマ」がデビューするまでは、セドリック/グロリアは日産を代表する高級パーソナルセダンであり、1991年には4ドアハードトップモデルのみがフルモデルチェンジした「Y32型」8代目セドリック、9代目グロリアが登場しました。

 外観は、ヒット作となった初代シーマのイメージを受け継いだスタイリッシュなスタイリングで、全車3ナンバーサイズとし、フロントフェイスは「ブロアム/クラシック」系が角型の異形ヘッドライトを採用して重厚感を演出。

 スポーティな「グランツーリスモ」系には、すでに失われつつあった丸目4灯ヘッドライトを採用したことで、むしろ斬新に見えるアグレッシブなフロントフェイスを実現し、若い世代にも訴求しました。

 トップグレードには最高出力255馬力を発揮する3リッターV型6気筒DOHCターボ「VG30DET」を搭載するなど、動力性能もシーマに並びました。

 一方で、サスペンションはフロントにストラット、リアにマルチリンクを採用したことで、シーマよりも進化していました。

 その後、1995年に次世代のY33型にフルモデルチェンジ。デザインやコンセプトは、スマッシュヒットを記録したY32型から引き継がれました。

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 近年、セダン人気の低迷は周知の事実ですが、その魅力が失われたわけではありません。

 走りの点では高いポテンシャルがあり、ドライビングプレジャーはSUVよりも優れているといえるでしょう。

 現状でもセダンは世界的にパーソナルカーとして一定の需要がありますが、より使い勝手の良いSUVの人気がますます高くなっている状況を考えると、さらなる車種の減少は避けられないかもしれません。