高速道路を利用する際、0時から4時の高速料金が30%割引されるという「深夜割引」というものがあります。しかし、この深夜割引の適用を待つユーザーが本線上や合流部に滞留する問題があります。どのような対策がおこなわれているのでしょうか。

深夜割待ちが横行? なぜこのような事態が起こるのか

 現在、高速道路の一部の料金所付近やパーキングエリア・サービスエリア(以下、PA・SA)の本線合流部分において、「深夜割引待ち」のクルマによる滞留が問題となっています。
 
 こうした滞留問題はなぜ起きてしまうのでしょうか。

 NEXCO各社が管轄する各高速道路では、「深夜割引」が導入されています。

 この割引制度は、ETCで高速道路を利用するユーザー限定となっており、0時から4時の間で料金所のETCレーンを通過することで、高速料金が30%割引されるというものです。

 そのため、0時以降の深夜割引を受けたいユーザーが料金所付近の路肩などに滞留する事態が発生しています。

 また、滞留場所としては、料金所付近だけでなく、PA・SAの本線合流部分や、高速バスの停留所なども挙げられます。

 この「深夜割待ち車両」によって、滞留場所料金所が一時的に混雑することもあり、深夜割引を目的としていない一般のユーザーの利用に支障をきたすという事態も起こっています。

 深夜割待ち車両としては、トラックなどの商用車が多く、高速道路代を少しでも安く抑えるために、このような行為に至っている例が多いようです。

 そんななか、とくに深夜割待ちが深刻な場所として話題に挙げられることが多いのが、東名高速道路の神奈川県川崎市に位置する東京料金所です。

 東京料金所では、日常的に深夜割待ちの車両が多数見受けられ、管轄するNEXCO中日本の広報担当者も「大きな課題だと認識しています」と頭を悩ませています。

 深刻化している「深夜割待ち」ですが、このような行為に違法性はないのでしょうか。

 道路交通法第75条の8では、「自動車は、高速自動車国道等においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない」と定められています。

 例外として「故障その他の理由により停車し、又は駐車することがやむを得ない場合」「料金支払いのため料金徴収所において停車するとき」などは認められているものの、深夜割引を待つために料金所の出口やPA・SAの本線合流部分などに駐停車することは認められておらず、道路交通法違反となります。

 また、一般道路から料金所の入り口にかけては、道路が曲がりくねって設計されている場合も多く、料金所の手前で駐停車しているクルマを視認できない可能性もあり、危険度はさらに高まります。

 さらに、高速道路では一般道路に比べ速度域も高いため、とくにPA・SAの出入り口である加減速車線は、もしほかの車両と接触した際には、被害が非常に大きくなる恐れがあります。

 前出のNEXCO中日本担当者は、深夜割待ちをする車両に対して以下のように呼びかけています。

「高速道路上の路肩やPA・SAの本線合流部分、料金所の広場などは道路交通法で駐停車禁止とされています。

 そうした場所への駐停車は重大な事故につながる恐れもあり、非常に危険です。

 多くの方に高速道路を安全にご利用いただくため、SA・PAおよび高速道路の適切なご利用にご理解ご協力をお願いいたします」

NEXCOではどのような対策をとっている?

 このように違法である以前に、危険かつ迷惑行為とされている「深夜割待ち」ですが、NEXCOではどのような対策がとられているのでしょうか。

 前出の担当者は、対策について以下のように話します。

「料金所付近などにおける滞留車両の存在は2011年から確認されています。

 そこから、NEXCOではあらゆる対策を継続的におこない、滞留車両の減少に努めています」

 NEXCO中日本によると、大きく分けて3つの対策が行われているとしています。

 まず、ひとつ目は、法人向けのクレジットカードである「コーポレートカード」の契約者への指導書の発出やチラシでの啓発活動です。

 前述したように、深夜割待ちをおこなう車両は商用車が多いため、NEXCOでは、企業側に直に注意喚起することで滞留車両を減少させようと試みがおこなわれています。

 続いて、交通管理隊が「駐停車禁止」の啓発文言を表示させ、主に東京料金所付近に滞留する車両に対しての注意喚起を実施。

 本来ならば、滞留車両に1台ずつ声がけをおこなうことが理想かもしれませんが、高速道路上という危険性も考慮して、東京料金所付近では車載標識を活用した注意喚起もおこなっています。

 一方、安全が確保されている場合には、直接的な声掛けもおこなわれています。主にPA・SAの加減速車線や高速バス専用の停留所では、交通管理隊による巡回時の声掛けが、安全に配慮したうえで、可能な限りおこなわれているようです。

 このほかにも、高速道路の路肩にソフトポールを設置するなど、安易に路肩へ駐車できないように対策がなされています。

 そのうえでNEXCO中日本の担当者は「故障などのトラブルが発生した際には、路肩へクルマを寄せて駐停車することは問題ありません」とし、利用者へ適切な路肩への駐車を求めています。

 また、日本の運送会社で構成されている全日本トラック協会は、以前の取材時に次のように話していました。

「ETC時間帯割引待ちの車両が料金所手前の路側帯などに駐停車すること防止するため、出発時間の調整やPA・SAなどを利用するよう促すお知らせを当協会ホームページや機関紙などを通じて情報発信しています」

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 NEXCO中日本では、ユーザーが安全かつ円滑に高速道路を利用できるよう、深夜割待ちの車両に対してさまざまな対策をとっています。

 コスト削減を図りたいと考える企業は多いと思われますが、だからといって違法行為をおこなって良い理由にはなりません。

 もし、命にかかわるような重大事故をおこしてしまったとしたら、その代償は計り知れません。

高速道路はルールに則って、安全に配慮したうえで利用しましょう。