2021年9月に、国内市場で11代目となるホンダ「シビック」が発売されました。さらに2022年に発売予定の新型「シビック タイプR」プロトタイプが公開され、2021年10月にはアメリカで高性能グレードの「シビック Si」が発表されるなど、スポーティなシビックが次々と明らかになってきました。そこで、歴代の非タイプR系高性能シビックのなかから、3車種ピックアップして紹介します。

非タイプR系の高性能なシビックを振り返る

 2021年9月3日に日本市場で、11代目となるホンダ「シビック」が発売されました。ボディは5ドアハッチバックのみで、エンジンは1.5リッターターボ、トランスミッションは6速MTを設定するなどスポーティな走りが大いに期待できるモデルです。

 さらに、2022年にはハイブリッド仕様と、新型「シビック タイプR」の登場がアナウンスされており、2021年10月4日に、アメリカホンダは新型シビック タイプRのプロトタイプの画像を世界初公開しました。

 そして、2021年10月19日に、やはりアメリカホンダから最高出力200馬力を誇る1.5リッターターボエンジンを搭載した4ドアセダンベースの高性能モデル「シビック Si」を発表するなど、今シビックに注目が集まっています。

 シビックといえば初代の「RS」から常に高性能なモデルを展開してきましたが、やはり「タイプR」シリーズは別格の存在といえるでしょう。

 しかし、タイプR以外でも魅力的なモデルが存在。そこで、歴代の非タイプR系高性能シビックのなかから、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「シビック Si」

 ホンダは1972年に次世代のFF大衆車として初代シビックを発売。その後、1979年に初代からデザインやコンセプトを踏襲した2代目が登場しました。

 そして、最初の大きな転換期となったのが、1983年に発売された3代目です。

 通称「ワンダーシビック」と呼ばれた3代目は、3ドアハッチバックと4ドアセダン、5ドアステーションワゴンの「シャトル」をラインナップ。

 なかでも主力だったのが3ドアハッチバックで、外観は2代目までのイメージを一新し、ロー&ワイドを強調した直線基調のフォルムで、ロングルーフの伸びやかなスタイリングが特徴です。

 トップグレードである「シビック 25i」は、軽量な車体に最高出力100馬力(グロス)の1.5リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載。パワフルとはいえませんが、わずか830kg(MT車)という車重によって高い走行性能を誇りました。

 しかし、ライバル車が次々と高性能化していく状況からホンダも追従し、1984年に新開発の1.6リッター直列4気筒DOHC「ZC型」エンジンを搭載した高性能グレード「シビック Si」を発売しました。

 ホンダの4輪車では「S800」以来14年ぶりにDOHCエンジンが復活を果した、記念すべきモデルです。

 シビック Siは最高出力135馬力(グロス)を発揮し、少々重くなったとはいえ890kg(MT車)と十分に軽量な車体で、腕に覚えがある走り好きの若者たちを魅了しました。

●ホンダ「シビック Si/SiR」

 前出の3代目シビックで高性能コンパクトカーというポジションを不動のものとし、1987年には4代目が登場。よりロー&ワイドを強調した洗練されたボディによって、一層スポーティな印象となりました。

 高性能グレードの「Si」には3代目から引き継いだ最高出力130馬力を発揮するZC型を搭載する一方で、足まわりは路面追従性に優れた4輪ダブルウイッシュボーンとなったことから、運動性能は大幅な進化を遂げました。

 しかし、ライバルに対してさらなる高性能化を図り、1989年にはシリーズ初の可変バルブタイミングリフト機構「VTEC」を採用した「B16A型」エンジンを搭載する「SiR」が登場。

 1.6リッター直列4気筒DOHC自然吸気ながら、クラストップとなる160馬力を誇り、レッドゾーンが8000rpmからという当時としては驚異的な高回転型でライバルを圧倒しました。

 高回転型エンジンでネックとなる低回転域のトルクも、VTECの効果によって十分に保たれ、峠から普段使いまでオールマイティな高性能エンジンとして高く評価されました。

 その後、1991年に5代目が登場してSiRは最高出力170馬力まで向上し、1997年に6代目をベースとしたタイプR誕生への礎になりました。

●ホンダ「シビッククーペ Si」

 1991年、シビックに新たなボディバリエーションとして2ドアクーペが加わりました。アメリカホンダで企画・開発・生産された初代「シビッククーペ」です。

 そして1992年には、日本でも輸入車として販売されましたが、2000年に2代目をもって国内モデルの販売は終了となりました。

 その後も北米市場ではシビッククーペが引き続き販売され、2016年には6代目が登場。プラットフォームは10代目シビックがベースで、これまでと同じくアメリカホンダによって開発されました。

 外観は前傾姿勢が強いウェッジシェイプで、スピード感のある流麗でスタイリッシュなクーペという印象です。

 グレードはスタンダードモデルと高性能モデルの「Si」があり、搭載されたエンジンは、最高出力174馬力の1.5リッター直列4気筒ターボと158馬力の2リッター直列4気筒自然吸気、そしてSiには205馬力を誇る2リッター直列4気筒ターボが搭載され、トランスミッションは6速MTのみと硬派なグレードでした。

 さらに、Siには専用デザインのバンパーやホイール、アグレッシブな形状のリアスポイラーなどが装備され、見た目にも高性能さをアピール。

 内装では専用のスポーツシートを採用し、各部にレッドカラーの差し色を入れることで、スポーティに演出されていました。

 しかし、2021年6月に11代目シビックが登場するとシビッククーペはラインナップされず、誕生から30年という大きな節目で歴史に幕を下ろしました。

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 近年のシビックについて、もはやシビックと呼べないという感想を抱いている人も多いでしょう。その理由は大型化したボディと高額となってしまった価格にあると思います。

 しかし、そうした傾向はシビックだけではなく、他メーカーのモデルでも珍しくありません。

 今やクルマはグローバルで売る時代で、シビックの主戦場はアメリカと欧州です。それらの土地で競争力を高めるためには、ボディの大型化は必須といえます。

 もうすぐ誕生から50年を迎えるシビックですが、半世紀生き残ったことだけでも驚異的なことで、大型化や高額になったことも進化のひとつのかたちなのかもしれません。