近年、セダンはニーズの変化から国内市場で販売台数が低迷し、ラインナップが減少してしまいました。しかし、かつては高い人気を誇り、各メーカーの主力車種だった頃もあり、高性能なモデルも存在。そこで、駆動方式別の特別なスポーツセダンを、3車種ピックアップして紹介します。

特別に仕立てられた高性能なスポーツセダンを振り返る

 人気となるクルマは時代によって変化するのもですが、数年前からSUVの人気が世界的に急上昇し、現在はブームといえる状況です。

 一方、かつて人気だったモデルでもニーズの変化から販売台数が低迷してしまい、ラインナップが急激に減少するケースもあり、国内市場ではセダンが代表的な例です。

 セダンは2000年代になるまでパーソナルカーやファミリーカーとして高い人気を誇り、各メーカーの主力モデルでした。

 そのため、かつてはラインナップも豊富で、さまざまなセグメントのモデルが販売され、あらゆるニーズに対応していました。

 なかには特別に仕立てられた高性能モデルも存在。そこで、駆動方式別の魅力的なスポーツセダンを、3車種ピックアップして紹介します。

●トヨタ「マークX“GRMN”」

 前述のとおりセダン人気の低迷から、2019年12月に生産終了となった1台がトヨタ「マークX」です。

 2004年にデビューした初代マークXは、長年にわたってヒットを続けていた「マークII」の後継車として誕生。フォーマルな印象もあるスポーティなフォルムで、基本性能が高いFRセダンという稀有な存在でした。

 マークXは一定の需要があり、2009年には初代からのキープコンセプトとした2代目が登場しました。

 そして、2015年には2代目マークXをベースとしたハイパフォーマンスなコンプリートカー「マークX“GRMN”」が100台限定で発売され、さらに2019年3月には第2弾として350台が販売されました。

 車名の“GRMN”は、トヨタのモータースポーツ活動を支えるGazoo Racingが開発したコンパクトカーのなかでも、ハードにチューニングされた車両のみに与えられる称号です。

 マークX“GRMN”に搭載されたエンジンはベースの「マークX 350RDS」と同じ3.5リッターV型6気筒自然吸気で最高出力318馬力を発揮。エンジンは出力特性が変更されるにとどまるライトチューンですが、組み合わされるトランスミッションは6速MTのみと、マークX“GRMN”専用に設定されました。

 シャシは252か所のスポット溶接打点追加によって剛性アップが図られ、足まわりには新開発のショックアブソーバーを装着。パワーステアリングのアシスト特性を最適化するなど、基本性能の向上を重視していました。

 また、外装のエアロパーツは控えめですが専用の前後バンパーに、4本出しマフラー、19インチ鍛造ホイールが装着されるなど、迫力ある外観を演出。

 内装も専用のスポーツシートを搭載し、インパネやセンターコンソールにカーボン調パーツを使い、ブラックに統一したカラーコーディネートによってスポーツマインドあふれるコクピットを実現しています。

 しかし、前述のとおり2019年の末にマークXは生産を終了。マークX“GRMN”はマークIIから続いた50年以上の有終の美を飾る、まさに集大成といえるモデルといえました。

●ホンダ「インテグラ タイプR ハードトップ」

 2021年11月11日(米時間)に、アメリカホンダはアキュラ新型「インテグラ」を世界初公開しました。

 詳細なスペックは明らかになっていませんが、流麗なフォルムの5ドアハッチバッククーペのボディに1.5リッター直列4気筒ターボエンジンを搭載し、トランスミッションは6速MTを設定。ほかにもLSDやブレンボ製ブレーキキャリパーが装着されるなど、高性能モデルであることは間違いないでしょう。

 インテグラは1985年に「クイント インテグラ」として誕生。発売当初は3ドアハッチバッククーペのボディのみで、全グレードがDOHCエンジンを搭載するなど、FFスポーツカーとして開発されました。

 1989年には2代目が登場して車名をインテグラに改め、上位グレードに初のVTECエンジンを搭載した記念すべきモデルとなりました。

 そして、1993年に登場した3代目では、1995年のマイナーチェンジでフロントフェイスの刷新がおこなわれたのと同時に、「NSX」続いてハイパフォーマンスモデルの「タイプR」を、クーペとセダン(ハードトップと呼称)両方に設定。

 インテグラ タイプRはサーキット走行に対応するチューニングが施され、ハードなサスペンションにボディ剛性の強化、快適装備の削減とパーツの素材を見直すことでボディの軽量化が図られました。

 さらにエンジンもピストンやカムシャフト、吸排気系と、エンジン内部の多岐にわたって手が加えられており、1.8リッター直列4気筒自然吸気ながら最高出力200馬力を発揮。

 外装では専用の前後バンパーと大型のリアスポイラーが装着され、内装ではレカロ製バケットシートやチタン製シフトノブ、専用のステアリングが採用されました。

 インテグラ タイプRは、クーペ、セダン共に純粋に走りの良さが重視され、快適性が考慮されていないストイックなモデルでしたが、むしろこの潔いコンセプトからFFスポーツカーとして高い人気を誇りました。

●マツダ「マツダスピード アテンザ」

 現在、マツダの主力車種といえば「CX」シリーズに代表されるSUVですが、ほかにも数多くのジャンル、セグメントのクルマを販売しています。

 なかでも「マツダ6」は、大型のセダン/ステーションワゴンながらMT車をラインナップするなど、スポーツマインドあふれる異色のフラッグシップといえるでしょう。

 このマツダ6は2019年まで「アテンザ」の名で販売され、初代は2002年に誕生。

 初代では4ドアセダン、5ドアハッチバックセダン、ステーションワゴンのボディバリエーションを設定し、2005年には4ドアセダンをベースとした高性能モデルの「マツダスピード アテンザ」が登場しました。

 エンジンは最高出力272馬力を誇る新開発の2.3リッター直列4気筒直噴ターボを搭載し、トランスミッションは同じく新開発の6速MTのみ、駆動方式は電子制御式のフルタイム4WDが採用されました。

 このパワーに見合うように足まわりもチューニングされ、ハンドリング性能を向上。

 一方で、高性能なパワートレインながら外観は比較的おとなしく、専用デザインの前後バンパーと小ぶりなリアスポイラーの装着程度ですが、大径の左右2本出しのマフラーが高性能さをアピールしていました。

 マツダスピード アテンザはシックな高性能セダンというレアな存在でしたが、2008年に2代目アテンザが登場すると全車自然吸気エンジンにスイッチされ、マツダスピード アテンザは一代限りで消滅してしまいました。

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 冒頭にもあるとおり、国内メーカーではセダンラインナップが少なくなってしまいました。

 そんななか、スバルは2021年11月中にスポーツセダンの新型「WRX S4」を国内で発表する予定で、セダン市場の活性化が予想されます。

 かつてのようなセダン人気が復活するには程遠い状況ですが、新型モデルの登場はセダンファンにとって吉報といえるでしょう。