昭和の時代のクルマでは、1車種で複数のボディタイプを設定するのが一般的で、セダン、クーペだけでなく、ステーションワゴン、ライトバンをラインナップしてあらゆるニーズに対応。そこで、昭和に登場したスタイリッシュなバン/ワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。

かなりイケてる昭和のステーションワゴン/ライトバンを振り返る

 昭和の時代には、1車種で複数のボディタイプをラインナップするのが一般的でしたが、次第に生産や販売の合理化から整理されたり、それぞれ独立したモデルに分かれていきました。

 たとえば、高級車のトヨタ「クラウン」は現行モデルではセダンのみですが、1967年に発売された3代目ではセダン、クーペ、ステーションワゴン、バン、ピックアップトラックと5種類ものボディタイプが設定され、あらゆるニーズに対応していました。

 なかでもステーションワゴンとバンは、とくに需要が多かったことから、各メーカーから豊富なラインナップが展開されました。

 そこで、昭和に登場したスタイリッシュなバン/ワゴンを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「シビック カントリー」

 ホンダは1972年に新世代の大衆車である初代「シビック」を発売しました。その後、1974年にはライトバンの「シビック バン」が登場。

 そして、シビックは1979年に2代目にフルモデルチェンジされ、同時にシビック バンも2代目に移行して、1980年に同社初のステーションワゴンとなった「シビック カントリー」が発売されました。

 ボディは5ドアハッチバックをベースにリアの荷室部分を伸ばし、外観の大きな特徴はボディサイドからリアゲートまで木目調パネル(ステッカー)を採用していたことです。

 木目調パネルはアメリカのステーションワゴンで古くから流行していたドレスアップで、シビック カントリーでは発売から最初の1500台に木目調パネルが標準装備されたことから、外観のイメージを強く印象づけることに成功。

 1グレードのみとシンプルな展開で、エンジンは最高出力80馬力(グロス)の1.5リッター直列4気筒CVCCエンジンを搭載。トランスミッションは5速MTとホンダ独自のATである「ホンダマチック」を設定していました。

 装備の面では、運転席からボタンを押すだけでテールゲートのロックが解除できる、電磁式オープナーが採用され、リヤシートバックは4段階に角度調節が可能な「バリアブルシート」となっているなど、ステーションワゴンとして使い勝手の良さが評価されて人気を集めました。

 しかし、シビック カントリーの名前は1代限りで消滅。3代目では5ドアハッチバックに近いボディ形状のショートワゴンスタイルの「シビック シャトル」にスイッチされました。

●日産「スカイライン バン/ワゴン」

 日産「スカイライン」といえば現在はセダンのみですが、かつてはセダンとクーペが主力で、さらに遡るとステーションワゴンとライトバンがラインナップされました。

 なかでも秀逸なデザインだったのが、1977年に登場した5代目、通称「ジャパン」のワゴンとバンです。

 発売当初はセダン、クーペとバンの展開でしたが、1979年にバンをベースとしたワゴンがラインナップに加わりました。

 外観デザインは4気筒モデルのセダン/クーペと共通のショートボンネットのフロントセクションに、前傾姿勢を強調するクラウチングスタイルのフォルム、さらに傾斜角度を寝かせたリアゲートとすることで、スタイリッシュかつスポーティな印象です。

 さらに、ボディサイドの「サーフィンライン」と、ユニークな形状のリアクオーターウインドウもデザイン上のアクセントになっていました。

 エンジンはワゴンが1.8リッター直列4気筒SOHCの「Z18S型」で、バンは1.6リッターと1.8リッターの「L型」、1980年にはバンに2リッター直列4気筒SOHCディーゼル「LD20型」が加わり、経済性が向上。

 また、スカイライン ワゴンでは前出のシビック カントリーと同じく、ボディサイドとリアゲートに木目調パネルが設定でき、レジャー用途に最適なモデルであることを訴求しました。

 その後、次世代の「R30型」ではワゴンが廃止され、次の「R31型」ではワゴンが復活してバンが廃止。そして「R32」型ではバン/ワゴンとも廃止されました。

●マツダ「サバンナ スポーツワゴン」

 マツダは1967年に、世界初の量産ロータリーエンジン搭載車「コスモスポーツ」を発売しました。その後、マツダはロータリーエンジンをさまざまな車種に展開する「ロータリー・フルラインナップ化」を進め、1971年にはスポーツモデルでロータリーエンジン専用車の「サバンナ」がデビュー。

 発売当初はクーペとセダンの2タイプのボディでしたが、1972年にステーションワゴンの「サバンナ スポーツワゴン」が追加されました。

 外観はシンプルなスタイリングでしたが、クーペ/セダンと同じスポーティかつ迫力あるフロントフェイスとの対比が斬新でした。

 搭載されたエンジンは491cc×2ローターの「10A型」ロータリーエンジンで、最高出力は105馬力(グロス)を発揮。

 サバンナ スポーツワゴンはその名のとおり、現在まで続く高性能ステーションワゴンの草分け的存在だったといえるでしょう。

 その後、1978年に生産を終了。サバンナは「サバンナ RX-7」へと移行し、生粋のスポーツカーとして代を重ねました。

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 昭和の時代には大衆車から高級車まで、ライトバンがラインナップされていましたが、平成になると減少の一途をたどりました。

 そして現在は、国内のライトバンというとトヨタ「プロボックス」と日産「AD」の2車種のみで、プロボックスは他メーカーにOEM供給していますが、生産しているのはトヨタと日産だけです。

 かつてよりも需要が少なくなってしまったことと、そもそもベースとなるセダンやステーションワゴンの減少も大きく影響しているでしょう。