日常のアシとして人気の軽自動車とコンパクトカーですが、維持費が安い軽自動車にするか、排気量に余裕のあるコンパクトを選ぶかはなかなか難しい問題です。そこで、両カテゴリーのオーナーにインタビューし、それぞれのメリット・デメリットを検証してみました。

「軽自動車」vs「コンパクトカー」どっち選ぶ?

 日常的な移動手段、いわゆる「日常のアシ」として人気の高い軽自動車とコンパクトカー。軽自動車には税制面を含めた維持費の安さがあり、一方でコンパクトカーには軽自動車にはない余裕とパワーがあり、どちらを選ぶかは意外に悩ましい問題です。

 そこで、軽自動車とコンパクトカーそれぞれのメリット・デメリットを改めて考察してみました。

 まずは、日本独自のジャンルである軽自動車の人気を確認してみます。

 一般社団法人「全国軽自動車協会連合会」の調べによると、全国で登録されている軽自動車は約3146万台。

 そのうち「貨物車(いわゆる軽トラや商用車)」は約834万、「乗用車(我々のような一般的なドライバーが乗る車両)」は約2295万台。

 これを世帯数で換算すると、一世帯あたりの軽自動車保有率は50%を超えるという、現代の国民車ともいえる存在になっています。

 対して一般社団法人「日本自動車工業会」の調べでは、コンパクトカー(小型四輪)の全国保有台数は約1985万台(2019年末時点)。こちらも高い数字を記録しています。

 両者の違いは、サイズと排気量です。

 軽自動車には「全長3.4m以下×全幅1.48m以下×全高2.0m以下」と「排気量660cc以下」「乗車定員4名」という規格が定められており、5ナンバー車(コンパクトカー)は、「全長4.7m以下×全幅1.7m以下×全高2.0m以下」と「排気量2000cc以下」「乗車定員5名」が区分になっています。

 自動車税は軽自動車が年間1万800円、対するコンパクトカーが3万500円(1リッター超1.5リッター以下/2019年10月1日以降に新車登録)。

 重量税(2年に1回)は軽自動車が6600円(1年計算では3300円)であるのに対し、コンパクトカー(1tから1.5t)が最大2万4600円(1年1万2300円)となり、軽自動車とコンパクトカーの税金と年間の差額は2万8700円になります。

 また高速道路の通行料も軽自動車は安価に設定されており、維持費が安いという点においてメリットがあることから、クルマがないと生活しにくい地域では重要な移動手段として普及しています。

 一方、軽自動車よりも維持費がかかるコンパクトカーですが、その分のメリットも多くあります。

 何より大きいのは、ボディサイズの制約が緩和されることによって、ボディ剛性や衝突時のクラッシャブルゾーンの確保などの観点からも安全性が高いと評価できることです。

 さらに、軽自動車の660ccと比較すると、1リッターエンジンでも3割の排気量アップになるわけで、高速巡航性能などは格段に走行しやすく、数値以上の性能差が感じられます。

 軽自動車の小さいエンジンで高回転を維持して走行するのと、少し低い回転数でも余裕で高速巡航できるのでは、結果として燃費性能ではコンパクトカーのほうが良くなる可能性もあります。

 また全幅の違いは、室内幅だけでなくタイヤのトレッド(左右タイヤの間隔)も大きく変わり、走行中の安定性にも大きく差が出る部分。

 最近の軽自動車は性能が飛躍的に向上しているとはいえ、やはり物理的に見てもコンパクトカーのほうが走行性能は優れていると判断できます(ただし小回りの効きは、さすがに軽自動車に軍配が上がります)。

 高性能化や装備の充実もあってクルマが高額化しているため、軽自動車とコンパクトカーの差額も小さく、車種によっては逆転することもありますが、価格や維持費が安い軽自動車を選ぶか、少々価格が高くなっても安全性と余裕の走りを持ち合わせるコンパクトカーを選ぶのか、何を重視するかで変わってきそうです。

軽自動車とコンパクトカーのオーナーの本音に迫る

 軽自動車とコンパクトカーのオーナーに、実際に乗ってみたからこそわかったメリットとデメリットを聞いてみました。

 現在、軽自動車ではスーパーハイトワゴンが人気になっていますが、そのなかでもとくに背が高いダイハツ「ウェイク」のオーナーであるSさん(30代・男性)にメリット・デメリットを聞いてみました。

「クルマが必需品となっている地域に住んでおり、家族や近所の人も18歳になると自分専用のクルマを購入しています。

 通勤用として、また休日の買い物や遊び、ソロキャンプ用のクルマとして使うために、経済性も考慮して軽自動車のウェイクを購入しました」

――軽自動車に乗り換えたメリットはどんなところにありますか。

「当然ながら維持費の安さは大きな魅力でした。タイヤもなどの値段も安いので経済性は非常に高いと思います。

 ただしタイヤサイズが小さくて(155/65R14)あまり銘柄を選べないので、その部分では苦労しました」

――軽自動車の弱点である「定員4名」や「パワー不足」はどうでしょうか。

「定員は4名ですが、もともと自分専用というか趣味用(ソロキャンプ)として購入したので、そもそも1〜2名しか乗らないのであまり問題は感じないです。子どもが多い家族などはちょっと考える必要がありそうです。

 スーパーハイトワゴンは広い車内空間が魅力ですが、やはりそのぶん重量も増え、パワー不足は感じます。

 しかも背の高さとトレッドのバランスが悪く重心の位置も高いので、高速道路の上り坂や海沿いの道などは苦手です。実際に風で横転したなんて話を聞くとちょっと心配になります」

 それでもSさんは、軽自動車の購入は交通手段としてはベストだと言い切ります。

「狭いと捉えるかタイト(ぴったりしている)と捉えるかは本人次第でしょうし、私は後者だと思っています。

 夏はエアコンも効きますし、何よりどんな道でも広く感じられるので、運転初心者でも精神的な余裕が生まれやすいのではないでしょうか。

 ただ、スーパーハイトワゴンは重くて横風にも弱いので、あまり初心者にはお勧めできないかもしれません」

 ではコンパクトカーに乗っているオーナーは、なぜ軽自動車を選ばなかったのでしょうか。軽自動車からスズキ「クロスビー」に乗り換えたMさん(40代・女性)に聞いてみました。

「もともとは、スズキの軽自動車『ハスラー』の購入を考えていたのですが、安全性や横幅の余裕などを考えてクロスビーにしました。いざというとき5人乗れるのもいいです」

 また高速道路を使用する機会も多いとのことで、やはり軽自動車の660ccエンジンでの高速巡航は辛いというイメージもあったそうです。

 その点、クロスビーには99馬力の1リッターターボエンジンが搭載され、1t程度という軽い車重もあって、かなりパワーがあるように感じられるとMさんはいいます。

「高速道路は走りやすいです。また、横風があっても軽自動車より安定している気がします。

 税金とかは高くなりましたが思ったほど燃費も悪くないし、加速も良いので走ることでのストレスもありません。これなら余分にお金を出しても納得できます」

 ただし、ターボエンジンゆえ定期的なメンテ(オイル交換)が必要だったり、今後は高速道路料金の差額が積み重なると、かなり経済的な負担増になる心配はあるそうです。

 もう1人、ダイハツ「ロッキー」を購入予定のAさん(40代・男性)にも話を聞いてみました。いま人気の小型SUVに乗ってみたくて検討中とのことです。

「新しくロッキーに搭載される『e-SMART HYBRID』を早く体験してみたいです。エンジンで発電、駆動はモーターというシリーズ式ハイブリッドでどれだけフィーリングが違うのか気になっています」

 唯一のネックが、車両価格と納期。最新のハイブリッドとはいえ、1.2リッターでコミコミ270万円(車両価格は234万7000円)と、もっと大きなSUVも狙える金額。また、半導体不足により納期は6か月以上先とのことで、このあたりが購入に踏み切れないポイントになっているそうです。

「ロッキーの兄弟車のトヨタ『ライズ』はもう少し納期が遅いみたいです。軽自動車も考えたのですが、やはり価格より車格を考慮すると、軽自動車1台ですべてを賄うのが難しいのでどうしようか迷っています」

 軽自動車の工業製品としての出来の良さは認めるものの、やはりある程度の年齢の人にとって車格を気にすることもあるようで、そういった意味ではコンパクトカーにメリットがあるといえるでしょう。

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 最近の軽自動車は新車価格が高騰しており、車種によっては1リッターのコンパクトカーのほうが安いケースもあるようです。

 軽自動車とコンパクトカーは性能も価格差もなくなりつつあるなか、維持費の安さか、お金を出してでも乗りやすさを優先するか、軽自動車とコンパクトカーで究極の選択を迫られそうです。