三菱の軽自動車は、1961年4月に発売されたライトバンの「三菱360」から歴史が始まり、昨年2021年に誕生60周年を迎えました。三菱はこれまで数多くの軽自動車をラインナップしてきましたが、なかにはかなりユニークなモデルも存在。そこで、三菱が誇るすごい軽自動車を、3車種ピックアップして紹介します。

かつて三菱が販売していた秀逸な軽自動車を振り返る

 1961年4月に、三菱は初の軽自動車であるライトバンの「三菱360」を発売。さらに翌1962年には乗用車の「ミニカ」が誕生し、それから60年以上にもわたって軽自動車の販売を続けてきました。

 2022年1月14日から開催される「東京オートサロン2022」では、三菱から新たな軽EVのコンセプトカーが出展されることがアナウンスされており、大いに注目を集めそうです。

 軽自動車は時代のニーズにあわせて変化を続けてきましたが、これまで長い歴史を刻んできた三菱の軽自動車のなかにも、エポックメイキングなモデルが存在。

 そこで、三菱が誇るすごい軽自動車を、3車種ピックアップして紹介します。

●三菱「ミニカ スキッパー」

 1960年代の終わりから1970年代の初頭にかけて、軽自動車市場ではパワー競争が繰り広げられていました。さらに、ライバルに差をつけるために、洗練されたスタイリングのスペシャリティカーも次々に誕生。

 そのなかの1台が1971年5月に発売された三菱「ミニカ スキッパー」です。

 外観は往年の名車である「ギャラン GTO」のイメージを踏襲したクーペで、当時流行のファストバックスタイルを軽自動車で実現しました。

 フロントは丸目4灯ヘッドライトにより精悍な印象で、リアは斬新なガラスハッチの「ハイカットオフテール」が特徴ですが、さらに後方視界を確保するためにガラスハッチとは別に日本初の「スクープドウインドウ」が採用されました。

 なお、スクープドウインドウは2代目以降のトヨタ「プリウス」や、ホンダ2代目「CR-X」なども採用しており、今では珍しくありませんが当時としてはかなり先進的です、

 また、ラジアルタイヤ、バケットシート、ステレオなど、小型車のスポーティモデル並の装備がふんだんに盛り込まれたのもミニカ スキッパーの特徴のひとつでした。

 エンジンもスポーティな外観に見合うようにトップグレードの「GT」には、360cc水冷2サイクル2気筒の「2G10型」にSUツインキャブが装備され、最高出力38馬力(グロス)を発揮。

 エアクリーナーケースを金色に塗装していたことから「ゴールドエンジン」と呼称され、最高速度は120km/hを誇りました。

 その後、排出ガス規制に対応するため、1972年10月に水冷4サイクルの「バルカン」エンジンに換装され、車名を「ミニカ スキッパーIV」に改め、1974年まで生産されました。

●三菱「ミニキャブ バン エステート4WD」

 前述のとおり、三菱の軽自動車は商用モデルからスタート。現在は軽自動車で唯一無二のEVである「ミニキャブ MiEV」が自社生産されています。

 このミニキャブも長い歴史があり、1966年8月に初代の「ミニキャブ トラック」が誕生。

 その後も代を重ね、1976年4月に3代目として新たな軽自動車規格に暫定的に対応した471ccエンジンの「ミニキャブ5」が登場し、翌1977年にはボディ、エンジンともに新規格となった「ミニキャブワイド55」がデビューしました。

 そして、1982年には、シリーズ初の4WDモデルが追加されました。この4WDモデルは2スピードのトランスファーを搭載したパートタイム式で、本格的に悪路走破性を考慮しており、同年に誕生した「デリカ スターワゴン4WD」を彷彿とさせました。

 さらに、1984年に4代目では、軽自動車では初となる「オートフリーハブ」を採用した「ミニキャブ バン エステート4WD」が発売されました。

 オートフリーハブは2WDでの走行時に、前輪のホイールハブをドライブシャフトから自動で切り離すことで、悪路走破性はそのままに静粛性や燃費の向上が図られ、初代「パジェロ」にも搭載されていました。

 ミニキャブ バン エステート4WDは、軽ワンボックスバンながらオフロードカーという稀有なモデルでした。

●三菱「ミニカ ダンガンZZ」

 三菱は1983年に、軽自動車で初のターボエンジンを搭載した「ミニカ エコノ ターボ」を発売。最高出力39馬力と高性能化を果たしたことから、軽自動車市場では第二次パワー競争が始まりました。

 その後、1987年にスズキ「アルトワークス」が550ccエンジンで最高出力64馬力に到達し、ダイハツも1988年に「ミラ TR-XX」が64馬力を発揮して追従。ターボエンジンで先行していた三菱ですが、パワー競争ではライバルの後塵を拝していました。

 そこで、三菱は1989年1月に、550cc時代の軽自動車の集大成ともいうべく高性能モデルの「ミニカ ダンガンZZ」を発売しました。

 外観はボンネットのエアスクープやリアスポイラー、3本出しマフラーで高性能さをアピール。

 搭載されたエンジンは、1気筒あたり3本の吸気バルブと2本の排気バルブを持つ、量産4輪車では世界初の5バルブエンジンで、3気筒自然吸気とターボを設定。

 ターボエンジンの最高出力はライバルに並ぶ64馬力を誇り、最高回転数は9000rpmを許容し、駆動方式は新開発のHCU式(油圧カップリング式)フルタイム4WDと2WDの展開で、加速性能は1リッタークラスのターボ車を凌駕するほどでした。

 その後、1990年に排気量が660ccへ軽自動車規格が改正されたため、550ccのミニカ ダンガンZZはわずか1年半ほどで生産終了し、660ccエンジンにスイッチされました。

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 軽自動車は「庶民の足」として誕生しましたが、今や日本でもっとも売れているクルマとなり、近年は安全運転支援システムの搭載や快適装備の標準化などによって、価格や車重はコンパクトカー(登録車)と変わらなくなってしまいました。

 また、現在も税金や保険料などが優遇されていますが、燃費に代表される環境性能について軽自動車は登録車に及ばず、東京都から優遇処置の見直しも提案されました。

 今後、軽自動車の電動化も加速するとみられますから、近い将来には軽自動車の在り方も見直されるかもしれません。