日産は2022年1月14日に東京オートサロン2022の会場で、7代目となる新型「フェアレディZ」の日本仕様を発表しました。そこで、歴代フェアレディZのなかから、特別なモデルを3車種ピックアップして紹介します。

日産新型「フェアレディZ」登場! 特別なZを振り返る

 日産は2022年1月14日に、千葉県・幕張メッセで開催された「東京オートサロン2022」の会場で、新型「フェアレディZ」の日本仕様を初公開しました。

 7代目となる新型フェアレディZは2022年6月下旬に、特別仕様車の「フェアレディZ プロトスペック」を皮切りに発売されますが、すでにZファンならずとも注目を集めています。

 フェアレディZは1969年に次世代のスポーツカーとして誕生し、以来ファストバッククーペのボディに6気筒エンジンを搭載し、駆動方式はFRのみという伝統を守ってきました。

 そして、歴代モデルのなかには、特別なモデルも存在。そこで、注目に値するスペシャルなフェアレディZを、3車種ピックアップして紹介します。

●日産「フェアレディZ 432/432R」

 前述のとおり初代フェアレディZは1969年に発売されました。初代のイメージリーダー的存在なのは、専用デザインのフロントノーズとオーバーフェンダーを装着した2.4リッター車の「フェアレディ240ZG」ですが、よりスパルタンで高性能なモデルとして「フェアレディZ 432」がありました。

 スタンダードモデルは最高出力130馬力(グロス)を発揮する2リッター直列6気筒SOHCツインキャブの「L20型」エンジンを搭載していましたが、432は同年に発売された初代「スカイラインGT-R」と同じく、最高出力160馬力(グロス)を誇る2リッター直列6気筒DOHC4バルブ3連キャブレターの「S20型」エンジンを搭載していました。

 なお、「432」の名は、4バルブ、3キャブレター、2カムシャフトに由来しています。

 432はモータースポーツベース車として開発されましたが、さらに100kg以上も軽量化した「フェアレディZ 432R」も存在しました。

 軽量化の手法としては、FRP製ボンネットを採用し、フロントウインドウ以外の窓がすべてガラスからアクリルに変えられ、内装ではラジオやヒーターだけでなく時計も削除。

 また、イグニッションキーはシフトレバーの後方に移設されており、ハンドルロックが取り外され、下まわりのアンダーコートも省かれていたため、音や熱が容赦なく室内に侵入してくるなど、公道を走ることは考慮されていませんでした。

 S20型エンジンのスペックはそのままですが、エアクリーナーボックスが無いため、キャブレターのファンネルもむき出しの状態となっていました。

 本来なら432Rはレースに出場する目的以外には販売しないことになっていましたが、ナンバーを取得している個体もあり、現存数は10台ほどといわれ、歴代フェアレディZのなかでも超激レアなモデルです。

 ちなみに、新型フェアレディZの発表と同時に、カスタマイズされた参考出品車「フェアレディZ カスタマイズド プロト」がお披露目されましたが、外観はこの432Rをオマージュしていました。

●日産「フェアレディ300ZR」

 1983年に発売された3代目フェアレディZ(Z31型)は大きな変革期を迎えました。2代目は初代のデザインを踏襲していましたが、3代目はワイド感を強調し、実際にボディサイズを拡大。そして、エンジンも直列6気筒から、全車V型6気筒SOHCにスイッチされました。

 ロングノーズのファストバッククーペという以外は一新され、フェアレディZは新たな一歩を踏み出したことになります。

 そして、3年後の1986年にビッグマイナーチェンジが実施され、外装は全体的に角を丸めた新たなデザインへ変わり、3リッターエンジン車は輸出仕様と同形状のワイドフェンダー化され、よりスタイリッシュかつ迫力あるフォルムへと変貌を遂げました。

 このマイナーチェンジと同時に、最高出力190馬力を発揮する3リッターV型6気筒DOHC自然吸気の「VG30DE型」エンジンを搭載した「300ZR」が、新たに加わりました。

 300ZRの出力は3リッターV型6気筒SOHCターボの「300ZX」よりも劣っていましたが、アクセルに対するエンジンのレスポンスが優れ、新開発されたMTと強化された脚まわりと相まって、スポーツカーとしてのポテンシャルが大きく高められました。

 なお、Z31型のなかでも300ZRは、唯一の自然吸気エンジン車でした。

●日産「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS」

 歴代フェアレディZはスポーツカーであることから、前出の432Rのようにモータースポーツでも活躍してきました。

 その432R以来となるモータースポーツに直結したモデルとして、2007年にNISMOの手によって開発された「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS」(以下、380RS)が登場。

 380RSは5代目(Z33型)のスーパー耐久参戦用ホモロゲーションモデル「フェアレディZ Version NISMO Type 380RS-Competition」をベースに、公道仕様にモディファイされた300台限定販売のコンプリートカーです。

 外観は同じくNISMOが開発した「Version NISMO」とほぼ変わらない仕様で、前後のバンパーとスポイラー、サイドシルプロテクター、フェンダーモール、大口径スポーツマフラー、エンブレムなどが専用装備となっていました。

 一方、エンジンは380RS用のみに特別に仕立てられており、スタンダードモデルの3.5リッターV型6気筒「VQ35HR型」をベースに排気量を3.8リッターにアップし、高強度の専用鍛造ピストン、強化素材のコンロッドとクランクシャフト、専用プロフィールのカムシャフトなどが組み込まれました。

 まさにレーシングエンジンを公道仕様にデチューンしたかたちで、最高出力は350馬力を発揮。

 同時に高剛性化されたシャシに、スプリングとダンパー、スタビライザーが強化されたサスペンション、ブレーキは4輪ともブレンボ製アルミキャリパーが装着され、旋回性能も大幅に向上していました。

 380RSはレーシングカーに近いスポーツカーとして開発されましたが、チューニングの内容を考えると、当時の539万7000円(消費税5%込)という価格は、かなりリーズナブルだったのではないでしょうか。

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 今では数少ない国産スポーツカーラインナップに新型フェアレディZが加わりましたが、先代のZ34型から大きく変わっていないという意見もあります。

 エンジンは新しくなりましたがプラットフォームは先代からキャリーオーバーされ、デザインも一新していますが外観のシルエットはほとんど変わっていません。

 これは、大量の販売台数が期待できないことから、コスト面でシビアにならざるを得ないと考えられますが、もうひとつは、大きく変わることを是としないという理由もありそうです。

 フェアレディZというクルマはもはやアイコン化しており、大きく変わってしまうのはファンが許さないでしょう。

 なお、同様なモデルとしてポルシェ「911」が挙げられますが、両車とも伝統を守りながら進化し、数多くのファンが存在するという共通点があります。