降雪地域のドライバーも、このGWで冬タイヤから夏タイヤへと交換する人が多いのではないでしょうか。交換する夏タイヤをチェックして、もし寿命が来ていたり不具合があったならば、新しいタイヤへと買い換えなければなりません。いま、新しいタイヤを選ぶ基準はどのようにすればいいのでしょうか。また同じタイヤメーカーで同じサイズでも、価格がピンからキリまである理由とはなんなのでしょうか。

タイヤの性能指標となるグレーディングシステム(等級制度)

 降雪地域に住んでいる人も、そろそろスタッドレスタイヤから夏タイヤに取り替える時期になりました。

 スタッドレスタイヤとして使えるのは、プラットフォームが出てくる前の溝深さが半分までで、それ以上減ってしまったタイヤは夏タイヤとしては使えますが冬は使えません。

 もったいないからとそのまま夏まで履いているというケースもあるかもしれません。しかし減ったスタッドレスタイヤでは高速道路でのハイドロプレーニング現象が起きやすいので注意しなくてはなりません。

 昨年2021年秋まで履いていた夏タイヤがまだ使えそうなら良いですが、もう寿命が来ているようならば、新しいタイヤに換えなくてはいけません。夏タイヤでも溝が浅くなると高速道路でのハイドロプレーニング現象を起こしやすくなりますから、安全性を優先すれば4mm以下になっていたら新しいタイヤに交換したほうがいいでしょう。

 また製造から6年以上経ったタイヤも、ゴムが硬くなってウエットグリップが落ちている可能性があるし、乗り心地が硬くなり、溝が減っていると騒音も大きくなっている可能性もあるため、安全性と快適性のために新品に換えることをお勧めします。

 溝深さも十分ある、製造からまだ6年経ってない、という条件が揃っていても、大きな傷があったりゴムがひび割れていたりするタイヤは使いものにならないと考えたほうがいいです。空気が漏れやすいとか、突然バーストする危険性もあるからです。そのあたりもチェックしておきましょう。

 新しい夏タイヤを選ぶとき、最近はガソリン代が高いせいもあって「低燃費タイヤ」を選ぶ人が増えています。

 燃費を良くするためには、タイヤの転がり抵抗が小さいほど良いのですが、転がり抵抗が小さいタイヤはウエットグリップが悪くなる傾向があります。ウエットグリップを良くすると転がり抵抗が大きくなります。これが二律背反ということです。

 転がり抵抗が小さくて燃費が良くても、ウエットグリップが低くて、急ブレーキをかけたときに滑ってぶつかってしまっては、大損してしまいます。

 そこでタイヤにはラベリング制度を設けて、転がり抵抗とウエットグリップの両方の性能を「グレーディングシステム(等級制度)」によって示し、タイヤを購入するユーザーにわかりやすくしています。

なぜ転がり抵抗とウエットグリップの両方が良い性能のタイヤは高価なのか

 転がり抵抗係数はAAA、AA、A、B、Cの5段階、ウエットグリップ性能はa、b、c、dの4段階で表します。

このうち、転がり抵抗性能の等級がA以上で、ウエットグリップ性能の等級がaからdの範囲内にあるタイヤを「低燃費タイヤ」と定義し、統一マークを表記して低燃費タイヤの普及促進を図っています。

 これはJATMA(日本自動車タイヤ協会)が2010年1月から開始したもので、日本ブランドのタイヤはこれに則って表示しています。またミシュラン、グッドイヤー、ハンコック、クムホ、ピレリ、ネクセン、マキシスなども、日本で販売するタイヤはこのラベリングを実施しています。

 欧州でのタイヤラベリングは、燃費(転がり抵抗)、ウエットグリップ性能に加えて、車外騒音に関する情報を表示する制度で2012年に導入されています。

 さらにタイヤラベルを消費者が見やすく、理解を深めた上で購入できるように2021年5月1日から新しいラベリング制度が導入されています。これは「燃費」と「ウエットグリップ性能」のクラス分けが新たに構成され、それぞれがA、B、C、D、Eの5つのグレードで表示され、車外騒音はdB(デシベル)の数字に加え、A、B、Cの3つのグレードでわかりやすく表示されるようになりました。

 欧州タイヤラベリングにおける燃費「C」は、JATMAラベリングのおおよそ「A」に相当するといわれています。

 ただし、このラベリング制度をユーザーがもっとわかりやすくするためには、ラベリング制度の表示方法自体を世界共通化してほしいと考えます。

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 転がり抵抗とウエットグリップ性能の二律背反をいかに両立させるか、さらに両方の性能を引き上げるかという技術競争になっています。同じメーカーのタイヤでも、転がり抵抗とウエットグリップの両方が良い性能のタイヤもあります。

 技術的には達成できるのですから、その技術を全部のタイヤに使えばいいのにと思うかもしれません。そこにはコストというネックがあります。両方良い性能のタイヤの価格が高いことでわかります。

 トレッドゴムの中にシリカ(珪素)を混ぜると転がり抵抗とウエットグリップの両方が良くなります。シリカをたくさん混ぜることができればどんどん両方の性能が良くなるそうです。ただしその代償としてコストが上昇、結果的に販売価格が上昇してしまうというわけです。

 価格の高いタイヤには、それなりに意味があるわけです。