2019年に国内向け、2021年には海外向けの生産を終了し、歴史に幕を下ろしてしまった三菱「パジェロ」。同社を代表するクロスカントリー4WD車として、時代を駆け抜けました。そして、歴代では豊富なバリエーションが展開されましたが、なかでも異彩を放っていたのが1997年に登場した「パジェロ エボリューション」です。

砂漠の高速ランナー「パジェロ エボリューション」を振り返る

 三菱を代表するクロスカントリー4WD車(以下、クロカン車)の「パジェロ」は、2019年に国内向け、2021年には海外向けの生産を終了し、惜しまれつつ歴史に幕を下ろしました。

 1982年に初代が誕生したパジェロは、「ジープ」に匹敵する悪路走破性を持ちながら普段使いも可能な快適性を両立する、新世代のクロカン車として開発されました。

 このコンセプトが見事にユーザーニーズにマッチし、パジェロは国内外でヒットを記録。

 さらに1991年に登場した2代目は、当時、日本の自動車市場を席巻した「RVブーム」を背景に、初代を大きく上まわる大ヒット作となり、RVブームをけん引する存在になりました。

 また、歴代のパジェロは複数のボディタイプとエンジンをラインナップし、豊富なバリエーションを展開してきましたが、なかでもひと際異彩を放つモデルだったのが、1997年に発売された「パジェロ ボリューション」です。

 そこで、2022年でデビュー25周年という大きな節目を迎えるパジェロ エボリューションとはどんなクルマだったのか、振り返ります。

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 1997年9月に発売されたパジェロ エボリューションは、2代目パジェロの3ドア・ショートボディをベースに開発されました。

 三菱は1983年から世界でもっとも過酷といわれるクロスカントリーラリー「パリ-ダカールラリー」に積極的に参戦し、パジェロで総合優勝を記録するなど、大いに活躍していました。

 パリ-ダカールラリーはさまざまな車両によってクラス分けされ、当初、パジェロは市販車をベースに改造されたマシンによって戦うクラスに参戦していたことから、市販の状態でのポテンシャル向上が必須であり、パジェロ エボリューションは1998年のパリ〜ダカールラリーに向けたベース車でした。

 外観はクロカン車には似つかわしくないほどアグレッシブなデザインのエアロパーツを装着。

 具体的には4輪に大型のオーバーフェンダー、フィン付大型リアスポイラー、ステップ付サイドエアダム、専用デザインでフォグランプをビルトインした大型前後バンパー、エアインテーク付きのアルミ製ボンネットとアルミ製スキッドプレートが取り付けられ、見た目の迫力だけでなく、実戦での機能が優先されていました。

 また、シャシまわりでは剛性のアップとブレーキの強化、足まわりではベースが前輪ダブルウイッシュボーンのトーションバースプリングだったのをコイルスプリングへ変更し、後輪は同じくリジットアクスルから新開発のマルチリンクにコンバートされ、4輪独立サスペンション化されました。

 トレッドをフロント、リアとも1590mmと大幅に拡大(フロント+125mm、リア+110mm)し、コーナリング性能、操縦安定性、悪路走破性を大幅に向上。さらにフロント240mm、リア270mmの超ロングストロークを実現し、接地性、悪路走破性とともに乗り心地も向上されました。

 内装ではカーボン調パネルのインパネ、本革巻ステアリング、ブラック基調の専用シート生地の採用し、フロントシートはホールド性の高いレカロ製が奢られるなどスポーティ感が演出されていました。

 搭載されたエンジンは最高出力280馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒DOHC MIVEC自然吸気で、トランスミッションは5速MTと5速ATを設定。

 駆動方式はパートタイム式とフルタイム式の両方の特徴を併せ持つ「スーパーセレクト4WD」を採用し、さらにトルセンLSDとビスカスカップリングを組み合わせた「ハイブリッドLSD」が装着され、エンジンパワーに見合う駆動力向上が図られました。

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 戦うためにモディファイされたパジェロ エボリューションは、予定どおり1998年の「パリ-グラナダ-ダカールラリー」の市販車改造クラスへ実戦投入され、総合で1-2-3フィニッシュを飾る大活躍を見せました。