2007年に発売された三菱「デリカD:5」。2019年にはビッグマイナーチェンジを遂げましたが、2022年になってもフルモデルチェンジの話は聞こえてきません。なぜ販売15年目にしてもなお、フルモデルチェンジがなされないのでしょうか。

 三菱のミニバン「デリカ D:5」は2007年1月に発売されてから15年以上にわたってフルモデルチェンジがおこなわれていません。
 
 なぜ、デリカ D:5はフルモデルチェンジがされることなく販売され続けているのでしょうか。

 近年のクルマは、おおよそ5年から6年程度でフルモデルチェンジを行うことが一般的です。

 フルモデルチェンジによってプラットフォームやパワートレインを刷新しなければ、競合モデルに比べて性能面や機能面で劣ってしまい、商品としての魅力が低下してしまいます。

 そんななかで、2007年1月の登場以来、15年以上にわたってフルモデルチェンジをすることなく販売され続けているのがデリカ D:5です。

 単に長く販売されているだけでなく、2021年の新車販売台数ランキングでは 全体の36位にランクインするなど根強い人気があるのも特徴です。

 そんなデリカ D:5の魅力について、三菱の広報担当者は「ほかのミニバンにはない悪路走破性と、ミニバンならではの積載性を兼ね備えた唯一無二のオールラウンドミニバン」と説明します。

 デリカ D:5は、最大8名乗車が可能なミニバンでありながら、「環状骨格(リブボーンフレーム)」と呼ばれる強固な構造を持ち、三菱独自のAWDシステムが組み合わされることでSUVと同等以上の悪路走破性を持っています。

 また、クラス唯一のクリーンディーゼルエンジン搭載車でもあり、トルクフルな走りと経済性の高さを両立している点もポイントです。

 そうした魅力を持つデリカ D:5は、アウトドアブームも追い風となって、ファミリー層を中心に高く評価されており、それが販売台数にも反映していると見られます。

 では、なぜデリカ D:5は、長い間フルモデルチェンジがおこなわれることがないのでしょうか。

 前出の担当者は、この点について「『オールラウンドミニバン』というデリカD:5のコンセプトをお客さまに受け入れていただきご好評いただいているため」と話し、さらに次のように続けます。

「ロングライフではありますが、内外観のデザインの一新と、予防安全機能を追加した2019年のビッグマイナーチェンジや、一部改良の実施、特別仕様車の投入など、お客さまのニーズに合わせた商品力向上を図っています」

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 実際に、現在販売されているデリカ D:5は、内外装のデザインや安全機能に古さを感じることはありません。

 燃費性能はライバルに比べて若干劣りますが、価格の安い軽油を使用燃料とするため、ランニングコストの差はそれほど大きくはありません。

 つまり、唯一無二のコンセプトを持ち、さらには必要な改良を施していることがデリカD:5が長い間フルモデルチェンジをせずに販売され続けている理由ということのようです。

「SUV×ミニバン」という唯一無二の存在

 一方、ある自動車業界関係者は、その参入障壁の高さも理由のひとつであると分析します。

「デリカ D:5は、単なるクロスオーバーSUV風のミニバンではなく、実際に高い悪路走破性能を持ちます。

 もし、ライバルのミニバンたちにデリカD:5と同等のパフォーマンスを持たせようとすれば、既存のプラットフォームではなく、専用のものを新規開発しなければなりませんが、それには多大なコストが必要となります。

 あるいは、『ランドクルーザー』のような本格的なクロスカントリー車をベースにすることも考えられますが、ランドクルーザーの販売状況を考えると、わざわざ派生モデルのミニバンを開発する必要もありません。

 つまり、デリカ D:5は、ほかの自動車メーカーが簡単には手を出せないポジションを築いています。

 競合車が事実上存在しないことから、デリカ D:5はフルモデルチェンジを積極的におこなう必要がなく、マイナーチェンジという形で、ユーザーのニーズに合わせた改良をおこなうことで対応していると見られます」

 このように、デリカ D:5の独特の立ち位置が、フルモデルチェンジをすることなく販売され続けている理由となっているようです。

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 15年年以上にわたってフルモデルチェンジがされていないデリカ D:5ですが、現状のパワートレインで各種規制に対応できなくなれば、フルモデルチェンジをおこなわざるを得ません。

 現在、三菱ではプラグインハイブリッド車の「アウトランダーPHEV」が主力モデルとして人気を博していますが、将来的にはデリカ D:5にもなんらかの電動モデルが登場することになるのかもしれません。