道路の端や中央分離帯を見ると、クルマからポイ捨てされたであろうゴミが見られます。実際にポイ捨てすればどのような法令に違反するのでしょうか。

 タバコの吸い殻ひとつやペットボトル1本など、ゴミのポイ捨ては大きさに関わらず、絶対にしてはいけない行為です。
 
 では、クルマからのゴミのポイ捨てはどのような法令違反となるのでしょうか。

 2022年3月4日に京都府警八幡署は、市内の路上で7回にわたり軽乗用車の運転席側から空き瓶などを道路や側溝に捨てた市内在住の男性を、廃棄物処理法違反容疑で書類送検したと発表しています。

 運転中に窓からゴミを投げ捨てると、後続のクルマの車体にキズや凹みを生じさせたり、周囲の通行人に怪我を負わせたり、周囲の人々に危険を及ぼす可能性もあります。
 
 SNSでも、走行中のクルマからのゴミのポイ捨てを目撃した「マナーが悪いのひと言では尽きないほど悪質」「ポイ捨てする奴はゴミ以下!」「クルマの窓からゴミを捨てる神経がわからない」といった投稿が見られます。

 では、クルマからのゴミのポイ捨てはどんな法令に反するものなのでしょうか。

 首都圏の県警交通安全課の担当者は、「クルマからのゴミのポイ捨ては、道路交通法第76条をはじめ、複数の法令違反となる可能性があります」と説明します。

 道路交通法第76条の4項では「何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない」としており、そのなかでは、「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること」「道路において進行中の車両等から物件を投げること」などを記載しています。

 つまり、道路を走行中に窓からモノを投げ捨てる行為は、モノが何であったとしても法令に違反することになります。
 
 道路交通法第76条の違反とみなされた場合には、違反金や違反点ではなく、5万円以下の罰金が科されることになります。

 ただ、前出の交通安全課担当者は「違反金や罰則の有無に関わらず、運転者のマナーとしてゴミのポイ捨ては絶対におこなってはいけない行為です」と話し、ポイ捨てをおこなわないように呼びかけます。

 とくに、注意するべきゴミのひとつがタバコの吸殻です。運転者のなかには、走行中に窓をあけてタバコを吸っているという人もいるかもしれません。

 タバコの吸殻はサイズも大きくなく、風に飛ばされやすいゴミのひとつであるため、走行中に手から飛ばされてしまう可能性もあるでしょう。

 運転中の喫煙は禁止されていませんが、周囲の人が気持ちよく過ごせるようにするためにも、都度、灰皿を使用したり、走行中の喫煙を控えたりして、誤ってポイ捨てにつながらないような工夫をすることが求められます。

ゴミのポイ捨てはほかにもこんな法令違反になる!

 走行中以外の場面でも、もちろんゴミのポイ捨ては法令違反とみなされる可能性があります。

 ゴミのポイ捨ては、前述の法令以外にはどのようなものに該当するのでしょうか。
 
 軽犯罪法の第1条27では、「公共の利益に反してみだりにゴミ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」は刑法によって1日以上30日未満の期間で刑事施設に拘置され、1000円以上1万円未満の罰金を支払うこととされています。

 この法律では「川、みぞその他の水路の流通を妨げるような行為をした者」も取り締まりの対象としており、タバコの吸い殻やゴミなどを道路の側溝に投げ捨てるといった行為も、違法行為とみなされる可能性があります。

 また、川に関する法令としては、河川法施行令も挙げられ、第16条の4第1項にて「河川区域内の土地に土石(砂を含む)またはゴミ、ふん尿、鳥獣の死体その他の汚物若しくは、廃物を捨てること」を禁止しています。

 同法には3か月以下の懲役、もしくは20万円以下の罰金が規定されており、街中のみならず、川や付近の土手であってもゴミの投棄は禁じられています。

 さらに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の第16条では、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」としており、違反者は同法第25条によって5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれを併科されることになります。

 以上のような法律のほか、全国の地方自治体によってゴミのポイ捨てを禁止する条例が定められていることがほとんどです。

 例えば、東京都ではゴミのポイ捨てなどの行為を規制する条例を31区市町村において制定しており、そのうち19区市町村が罰金等の罰則規定を設けています。

 このように、ゴミのポイ捨てはクルマの運転中はもちろん、それ以外のケースでもマナーやモラルの問題であり、明確な違法行為となります。

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 ゴミのポイ捨ては、街中の環境や景観を悪化させるだけでなく、市街地に動物を寄せ集めたり、捨てられたゴミを魚が誤飲することで、生態系を破壊したりする要因のひとつにもなります。

 車内にゴミが溜まらないよう、ゴミ箱を設置して自宅で処理するなど、しっかりと対策を講じるようにしましょう。