峠道や交通事故の事故現場では、道路に黒く「タイヤ痕」が残っていることがあります。タイヤ痕がつくメカニズムや、タイヤによる違いなどはどのようになっているのでしょうか。

道路に黒い跡が…「タイヤ痕(ブラックマーク)」はなぜつく?

 山の峠道や交通事故の事故現場では、道路に黒くタイヤの跡が残っていることもあります。
 
 そうしたタイヤの跡は「タイヤ痕(ブラックマーク)」と呼ばれることもありますが、どのような状態であれば道路に跡がつくのでしょうか。

 タイヤ痕についてブリヂストンの担当者は「一般的にタイヤ痕はタイヤのゴムが削れて路面に付着したものです」と説明します。

 とくに、「急発進・急ブレーキ・急旋回などタイヤが激しく摩耗するような走行をした場合に付着しやすい」とのことで、通常の走行時では比較的つきにくいものであることがうかがえます。

 例えば、急ブレーキの際にはタイヤがロックされ、地面とタイヤの一部分が擦れる状態となります。

 急発進のときも同様で、瞬間的に地面とタイヤの一部分が強く擦れる状態となっています。

 通常の走行時では、タイヤも回転し、一部分が強く摩耗させられるということはありませんが、急発進・急ブレーキ・急旋回といった瞬間的にロックされた状態のタイヤが地面と接する場合には、タイヤが地面に強く擦れて黒く跡が残ってしまうということです。

 また、前出のブリヂストン担当者は「軟らかいゴムを使用しているタイヤのほうがタイヤ痕が付着しやすい」と話します。

 タイヤは、それぞれメーカーやブランドなどによってゴムの硬度が異なります。

 例えば、夏タイヤと冬タイヤでも異なり、基本的に気温が高い夏は、ゴムが熱の影響を受けにくくするために硬度が高くされています。

 一方の冬タイヤは、路面全体にタイヤがしっかりと接地してグリップ性能を発揮できるよう、硬度が低めのゴムが使用されています。

 また、スポーツ走行を楽しみたい人のなかには、タイヤのグリップ性能を求めるために、あえて硬度が低いタイヤを使用するという人も少なくありません。

 その分、タイヤの寿命が比較的短いという弱点もあるため、タイヤを選択する際にも注意が必要です。

公道でのタイヤ痕は罪に問われる?「器物損壊」にあたる可能性も

 そんなタイヤ痕ですが、ドリフトといった意図的な行為によって道路につけた場合には、罪に問われる可能性もあります。
 
 日本で初めてタイヤ痕が罪に問われたのは2005年7月のことです。

 静岡県静岡市内のイベント会場において、2人の男性がドリフト走行をおこない、カラー塗装されていた道路にタイヤ痕をつけました。

 静岡県警は2人を、タイヤ痕による「器物損壊」と複数名で危険な運転行為をおこなったとして「共同危険行為」の罪で逮捕しました。

 また、2022年4月には福井県吉田郡に位置する永平寺町松岡公園のバスケットコートで円を描くようなタイヤ痕が発見されました。

 タイヤ痕に加えて、ペイントやパネルも一部剥がれており、器物損壊で調べが進められています。

 コートを所有するクラブチームではタイヤ痕を落とすために、たわしでこするといった対応をおこなうとしていました。

 公共の場所での意図的な行為によるタイヤ痕は、このように器物損壊といった法令違反にみなされる可能性があります。

 また、公道上でのドリフトなどの行為は危険運転や安全運転義務違反などに抵触することが考えられます。

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 そんなタイヤ痕ですが、数日経っても消えないというケースも多く見られます。

 自宅のガレージや会社の敷地などでタイヤ痕がついてしまったときには、メラミンスポンジやナイロンブラシといったアイテムの使用が効果的です。

 また、軽微なタイヤ痕であれば、重曹を溶かした水を霧吹きなどで吹きかけてブラシで擦ることで落とせる場合もあるといいます。