2022年5月にフルモデルチェンジしたばかりのミニバン「ステップワゴン」ですが、かつて車中泊ユーザー向けに家族4人が寝ることのできるホンダ純正ルーフテント付きの特装車を販売していたことがあります。どんなモデルだったのでしょうか。

時代が早すぎた!? 屋根にポップアップルーフを装着したステップワゴン「フィールドデッキ」

 車中泊人気が高まるなか、ファミリーユーザーのなかには「家族いっしょに1台で寝たい」とのニーズも密かに高まっています。いくら室内の広いミニバンでも、快適に眠ることができるのは、せいぜい大人2人+αだからです。
 
 そんな車中泊層の悩みに対し、ホンダは「ステップワゴン」で「家族4人が眠ることができる」理想の答えを出していました。

 ファミリーで車中泊を楽しむといっても、1台に家族4名が眠るのはなかなか困難です。

 例えば2名は車内で過ごし、2名は車外にテントを張って、というのが一般的な流れでした。

 そんななか、ホンダがメーカーみずから誕生させたのが、屋根にポップアップルーフを装着したステップワゴンでした。

 名前は「ステップワゴン フィールドデッキ」。

 1996年5月に登場した初代ステップワゴンのデビューから約2年後の1998年、メーカー純正の車中泊仕様車として誕生しました。

 軽トラックの架装や福祉車両の開発・製造などを担当するホンダの関連会社であるホンダ特装(当時)が開発し、ホンダ各販売店で正規発売されました。

 ステップワゴン フィールドデッキの屋根に搭載された跳ね上げ式のポップアップルーフは、見た目にも楽しいものです。開くとまさに三角形のテント形状になります。

 もちろん閉じておけば全高は1955mm(2WD)に収まり、通常のステップワゴンと変わらない使い勝手で使用することができます。

 ルーフテントには、ウェットスーツに使われる防水性や伸縮性に優れた素材が使用され、耐候性にも配慮した設計。

 正面と両サイドには虫よけネット付き窓も備わり、採光や通気性にも優れています。

 跳ね上げた状態のポップアップルーフテント内には、大人2名が就寝可能なベッドスペースが誕生します。

 これなら、3列シートを倒し2名程度が眠れる室内のベッド空間と合わせ、合計でおよそ4名が就寝可能となります。

 ミニバンだけで実現する、夢の「ファミリーでの車中泊」も余裕で可能となるのです。

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 ステップワゴン フィールドデッキのベースモデルは、初代ステップワゴン「G」と「W」、さらにGをベースとした特別仕様車「ホワイティ」の各ダブルサンルーフ仕様車でした。

 ベース車(ダブルサンルーフ仕様)に対し、FRP製のポップアップルーフによる重量増は45kgに収められています。

 室内からポップアップルーフへの出入口は、屋根の前後にふたつある各サンルーフの開口部を有効利用していました。

 メーカー純正の特装車であるステップワゴン フィールドデッキ。

 2001年におこなわれた初代ステップワゴンのフルモデルチェンジ時期まで製造されていたようですが、残念ながら2代目には継承されませんでした。

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 車中泊ブームが訪れるはるか20年以上前から、純正の車中泊仕様車を誕生させていたホンダ。

 2代目ステップワゴンへ継承されなかったことからも想像できるように、少し時代が早すぎたようです。

 しかしアウトドアブームのいまこそ、純正ポップアップルーフを備えたミニバンを「欲しい!」と切望されている車中泊層がかなり多いでしょう。

 ましてや、2名分のベッドが増設できるメリットを知れば、欲しいと感じる潜在層もさらに増えるかもしれません。

 2022年5月にフルモデルチェンジを実施したばかりの6代目ステップワゴンでの「フィールドデッキ」復活を、大いに期待したいところです。