長崎県には、バス停利用者が小休憩できるスペース「フルーツバス停」が存在します。その名のとおり、メロンやスイカ、イチゴをリアルに再現した建造物で、SNS映えも期待できそうなかわいらしいスポットです。なぜ、このようなスポットが誕生したのでしょうか。

メロンのなかで小休憩! 「フルーツバス停」とはいったい何?

 フルーツバス停を、ご存じでしょうか。

 ネットで「フルーツバス停」と検索すると、まるでおとぎの国のような雰囲気のカラフルなバス停が現れます。

 バス停といっても、バス停そのものではなく、バス停のすぐ隣にある休憩スペースです。 

 写真や動画で見る限り、サイズはかなり大きく見えますし、フルーツの種類もいろいろありそうです。

 フルーツバス停は九州の長崎県内にあると聞いて、早速現地に行ってみました。

 長崎駅近くでカーシェアして、長崎自動車道の諫早(いさはや)ICで降り、国道207号線を佐賀方面に進みます。

 しばらく走ると、右手に有明海、さらにその先には雲仙岳が見えてきました。左手にはJR長崎本線が走ります。

 JR長里駅の手前、諫早市小長井町に入ったところで、ありました。フルーツバス停。

 最初は、「スイカバス停」の殿崎バス停です。そのすぐ隣には、「フルーツバス停通り」という縦長でカラフルな看板が目を引きます。

 さらに国道207号線を進むと、有明海をバックに「メロンバス停」。その向かいには「イチゴバス停」。ここが平原バス停です。インスタなどSNSでよく登場する、映えるポイントです。

 それにしても、どのフルーツバス停もデザインのクオリティがとても高く、それぞれのフルーツの特徴をしっかりと表現していることに驚きます。

 なんだかとても、美味しそうなのです。

「イチゴバス停」に隣接する場所にカーシェアのクルマを一時停車させて、「イチゴバス停」の中に入ってみましたが「キャンプ場のログハウスか!?」と思えるような、ゆったりした空間で「これならバスを待っている時間も楽しいはず」という感想を持ちました。高さは、大人の背丈の2倍以上あります。

「イチゴバス停」の隣には、「ときめき フルーツバス停通りマップ」という大きな看板があります。

 それによると、小深井バス停、長戸バス停、小長井支所前バス停、井崎バス停、大久保バス停、築切バス停、釜バス停、阿弥陀崎バス停まで小長井町内の国道207号線沿いや山間部に、メロン、ミカン、トマト、イチゴ、スイカの合計16基(後述のながさき旅ネットによる)のフルーツバス停が設置されています。

 山間部にあるのは、山茶花高原ピクニックパーク・ハーブ園に続くワインディング路の途中にある、たらみ小長井工場前にオレンジ色のスペシャルカラーリングを施した「ミカンバス停」の畜産センター前バス停です。

「フルーツバス停」誕生のきっかけとは

 全国でも珍しい、こうしたフルーツバス停はどうして生まれたのでしょうか。

 長崎県の観光振興課と一般社団法人 長崎県観光連盟が運営する「ながさき旅ネット」によりますと、設置のきっかけは1990年に開催された長崎旅博覧会とのことです。

 グリム童話のシンデレラのカボチャの馬車から発想したといいます。

 設置から今年で32年目ですが、フルーツバス停はどれも外装も内装も綺麗な状態で保たれています。 

 そこで、フルーツバス停の現状について詳しく知るため、諫早市小長井支所で話を聞いてみました。

 職員の方々は、背中にカラフルなフルーツバス停を描いたポロシャツを着ていました。

 対応して頂いた職員の皆さんによりますと「フルーツバス停は3年前に補修しました」ということです。それでも、有明海に近く、または雨も比較的多い土地柄で、フルーツバス停の高い耐久性を確保しているといえるでしょう。

 また「なぜフルーツがモチーフなのですか?」という問いに対しては「昔はこのあたり、フルーツを栽培する農家が多かったのですが、最近は地域住民が高齢化してフルーツ農家が減ってしまいました」ということです。

 長崎県のこの周辺は、そもそもフルーツに関係する農家が多い地域です。

 代表例は、フルーツゼリーで全国でその名を知られている「たらみ」でしょう。1969年に長崎県多良見町で多良見成果として発足し、1988年に株式会社たらみとなりフルーツゼリーの製造を始めています。ミカンバス停がある「たらみタラミ小長井工場」は2000年に竣工しています。

 さて、フルーツバス停の関連グッズが並べられていたのですが、支所内では販売していないということで、小長井支所から10kmほど先の、山茶花高原ピクニックパーク・ハーブ園まで走っていきました。

 イチゴバス停のキーホルダーや、スイカバス停のポストカード、そして5種類のフルーツバス停が勢揃いしているマグネットバッチを購入。

 売店の方は「遠方からフルーツバス停を見に来る方が結構います。北海道から自走してきた若い方々もいました」というほど、フルーツバス停は全国的に注目が集まっているようです。

 取材当日は、小雨模様でしたが、フルーツバス停が小長井周辺の風景を楽しく彩ってくれ、心の中が晴れ晴れとした良い1日を過ごすことができました。

 翌日、JR長崎駅からJR博多駅まで乗車した特急かもめ車内からも、「メロンバス停」の平原バス停などを見つけることができました。

 皆さんも長崎旅行の際、フルーツバス停巡りをしてみてはいかがでしょうか。